本アプリケーションノートでは、ACQUITY APCシステムを用いた分離と従来のGPCシステムでの分離を比較しています。低拡散システムと3 μm以下のハイブリッドパーティクルテクノロジーカラムにより、分析時間の短縮と分解能の向上、さらに低分子量オリゴマーにおける分子量情報の信頼性が得られます。これらの技術の組み合わせは、低分子量ポリマーサンプルにおいて、今まで以上に正確な分子量情報の提供をもたらします。早期にポリマーのわずかな違いを判別することにより、化学・生物素材ポリマー開発の生産性向上に大きく貢献します。
ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)は、ポリマーの特性解析において確立された有益な手法です。しかし、多くの情報を得られる一方 GPC 分析特有の制限もあります。カラムの基材には主にスチレンジビニルベンゼンが用いられており、長期間安定して使用するには適切なコンディショニングと低背圧下での使用が要求されます。その粒子径は一般的に 5 µm 以上と大きく、その結果、分離能が損なわれてしまいます。GPC 分析の生産性向上のために粒子径 5 µm 以下のカラムも市販されていますが、GPC カラムの耐圧は低いため、時間短縮には制限があります。加えて、大きなシステム容量を持つ従来の GPC システムでは、バンド拡散を低減するために内径の大きなカラムを使用する必要があり、それにより分離能の低下が起こります。Waters ACQUITY APC(アドバンスド ポリマー クロマトグラフィー)システムと粒子径 3 µm 以下のハイブリッドパーティクルカラムの組み合わせにより、システムの安定性が向上し、高圧下においても正確な流速を保つことが可能です。加えて、システム全体で拡散が低く抑えられていることは、特に低分子領域のオリゴマーの分離能に大きく影響します。低分子量オリゴマー分離における分析時間の短縮と分離能の向上は、ポリマー開発における迅速なモニタリングや早期の新規ポリマー素材の発見につながり、結果的により早く新規ポリマーを製品化することが可能となります。
本アプリケーションノートでは、ACQUITY APC システムを用いた分離と従来の GPC システムでの分離を比較しています。低拡散システムと粒子径 3 µm 以下のハイブリッドパーティクルテクノロジーカラムにより、分析時間の短縮と分離能の向上、さらに低分子量オリゴマーにおける分子量情報の信頼性が得られます。これらの技術の組み合わせは、低分子量ポリマーサンプルにおいて、今まで以上に正確な分子量情報を提供します。早期にポリマーのわずかな違いを判別することにより、化学・生物素材ポリマー開発の生産性向上に大きく貢献します。
検出: |
2414 RI |
RI フローセル: |
35 ℃ |
移動相: |
THF |
流量: |
1 mL/ 分 |
カラム: |
Styragel 4e、2 および 0.5、7.8 × 300 mm(3 本直列接続) |
カラム温度: |
35 ℃ |
サンプル溶離溶媒: |
THF |
注入量: |
20 µL |
検出: |
ACQUITY RI |
RI フローセル: |
35 ℃ |
移動相: |
THF |
流量: |
1 mL/ 分 |
カラム: |
ACQUITY APC XT 200Å および 2 本の 45Å 4.6 × 150 mm(3 本直列接続) |
カラム温度: |
35 ℃ |
サンプル溶離溶媒: |
THF |
注入量: |
20 µL |
データ管理: |
Empower 3 CDS |
1 mg/mL Waters ポリスチレン標準品(100K、10K、1K)
2 mg/mL エポキシ樹脂
SEC を用いた正確なポリマー分析には、カラムの分子量分画範囲に適した標準品を使い検量線を作成することが重要です。従来の GPC システムでは、1 分析に 1 時間もしくはそれ以上かかることもあり、標準品とサンプルの一連の分析には多くの時間を必要としていました。サンプルの各分子量情報の算出には標準品の結果と比較を行う必要があり、そのためには標準品を用いて作成する検量線の正確さが求められます。GPC 分析特有の分析時間の長さに加えて、従来の GPC システムはシステム容量が大きく、ピークのバンド拡散や分離能の低下を引き起こし、結果的に較正点の正確さを損ないます。ACQUITY APC システムは、従来の GPC システムと比べてバンド拡散を低減したことにより、標準品において図 1 のように、低分子量域のピークがよりシャープになります。さらに低拡散の APC システムと頑健性の高い粒子径 3 µm 以下の APC カラムテクノロジーとの組み合わせが高流速・高背圧での使用を可能にし、1 K ポリスチレン標準品において分離能の向上と、5 倍の分析時間短縮を実現しています。
APC システムの高分離能により、分子量 1 K のポリスチレン標準品に含まれる低分子量ピークも検出可能となります。これにより低分子量の標準品を追加で分析する必要がなくなります。標準品の供給元や、他の測定手法で得られた分子量情報をそのまま使用することができます。その結果、図 2 に示すようにこの曲線から算出されたサンプルの分子量情報をより信頼性のあるものにできます。
較正曲線の作成には一連の標準品を分析する必要があり、従来の GPC システムでは、準備、平衡化、分析の作業で、数時間から数日を必要とします。そのため、検量線を頻繁に作成することを避け、過去の検量線を用いてサンプルの分子量情報を算出することもあります。ACQUITY APC システムでは、低システム容量により平衡化時間が大幅に短縮でき、高流速でより小さな粒子径を用いることで分析時間も大きく短縮されます。その結果、システムおよびカラムの平衡化と、検量線作成用標準品の分析を 1 時間以内に終わらせることができます。分離能の高さから、検量線に求められるのは、数点の標準品の準備と分析だけになります。
サンプル分析において検量線の頑健性は、低分子量オリゴマーの分子量測定に高い信頼性をもたらします。図 3 にエポキシ樹脂のクロマトグラムとポリスチレンの検量線から得られた分子量情報を示しました。3 連の ACQUITY APC XT 4.6 × 150 mm カラムを使用した分析の分析時間は 5 分でした。
APC による高速分析は、プロセス開発における反応モニタリングにも有用です。分離能の向上は合成や劣化によってポリマーに起こる変化を迅速に確認できます。個々の分子量をモニタリングすることで、このような変化を早期に発見することが可能であり、ポリマーへの更なる理解と特性の予測が可能になります。その結果、新規ポリマーの開発を促進し、より迅速な商業化を実現します。
アドバンスド ポリマー クロマトグラフィーシステムは、微細なハイブリッドパーティクルを用いた低拡散かつ高圧下での分析が可能であり、従来の GPC システムの性能を大きく超えるシステムです。APC システムとカラムテクノロジーの進歩により、従来の GPC に比べ低分子量オリゴマーの分離能の向上を実現しました。この APC の性能により、頑健性の高い検量線を短時間で作成することが可能となり、ポリマーの特性を把握するために必要な分子量情報の信頼性が向上します。低分子量ポリマーの分析において APC による分析時間の短縮と分離能の向上を組み合わせることで、開発過程のポリマーについて信頼性の高い情報を得ることができ、その結果、新しいポリマーを迅速に市場へ送り出すことが可能となります。
720004630JA、2013 年 3 月