法中毒学目的のみに使用してください。
このアプリケーションブリーフでは、既存の毒性学ライブラリーの ACQUITY QDa 質量検出器への移管可能性を評価します。
薬物管理において有望なツールである ACQUITY QDa を使用した、既存の毒性学ライブラリーの医薬品の定性的スクリーニングへの適用。
近年、分析毒性学に使用できる包括的なスペクトルライブラリーが開発されました。このライブラリーは元々、Waters ACQUITY TQD 質量分析計を使用して生成されたものです。イオン源内衝突誘起解離のプロセスから化合物固有のフラグメンテーションパターンを得るために、複数のコーン電圧でフルスキャン質量スペクトルを取り込んで、ライブラリーを作成しました¹。10 年以上前にこのメソッドが最初に適用されて以来、このアプローチは、新世代の装置に適用され²、ライブラリーが拡張されてきました。現在では、950 を超える毒性学的類縁物質のデータが含まれています。本研究の目的は、既存のライブラリーを ACQUITY QDa³ と組み合わせて使用し、法化学ラボおよび薬物管理ラボで使用する、シンプルで低コストの定性的スクリーニングおよび同定用のシステムを提供できるかどうかを評価することでした。この試験では、代表的な試薬として、いくつかの市販薬および処方薬を分析しました。
認定標準物質(Sigma-Aldrich)から調製した混合物を使用して、予備的なスペクトル試験をさまざまな合法薬物および違法薬物について行いました。それぞれ 10 種の化合物を含む 8 つの混合物を分析しました。
後続の試験用の真正サンプルは、錠剤、カプセルまたは液状のいくつかの市販薬および処方薬を使用して調製しました。
個別の錠剤/カプセルまたは液状で提供されている 250 µL の医薬品を、25 mL のメタノール-水混合液(70:30)に添加し、室温で 30 分間超音波処理しました。得られた溶液 1 mL を 2 mL のマイクロ遠心チューブに移し、13,000 rpm で 5 分間遠心分離しました。上清 50 µL をマキシマムリカバリーバイアル中で 950 µL の水で希釈し、ボルテックス混合しました。得られた溶液 10 µL を使用して LC-MS 分析を実施しました。
ACQUITY UPLC I-Class(FTN)および確立された毒性学スクリーニンググラジエントを使用して、15 分以内にクロマトグラフィー分離を行いました1,2,4。 ACQUITY QDa を ESI+ で動作させ、5 種類のコーン電圧(10 V、20 V、35 V、45 V、55 V)で、m/z 範囲 80 ~ 650 にわたってフルスキャンデータを取り込みました。
ACQUITY UPLC I-Class システムと ACQUITY QDa を組み合わせて使用して、レファレンス保持時間および複数のスペクトルで構成されるライブラリーに対してサンプルをスクリーニングするという確立された手法に従って、複数の医薬品のデータを取り込みました1,2,4。
濃度 200 ng/mL の薬物標準試料の混合物を使用して、電圧の予備評価を行いました。元の ACQUITY TQD ライブラリーを作成した時に使用した電圧と同じ電圧(15 V 刻みで 20 V ~ 95 V)で ACQUITY QDa を使用してデータを取り込みました。この最初のデータでは、同じコーン電圧において、ACQUITY QDa ではフラグメンテーションの増加が認められたため、ACQUITY QDa でも同等になるように、ライブラリーの電圧を調整しました。続いて、この変更したライブラリーを 8 種類の医薬品の分析に適用しました。
8 サンプルそれぞれについて複数のコーン電圧で取り込んだデータを、ChromaLynx アプリケーションマネージャーと MassLynx ソフトウェアを使用して解析しました。その結果、各サンプル内の成分が検出され、ライブラリー検索によって同定できました。物質同定の信頼度は、平均ライブラリー一致係数(最大値 1000)として提示されています。平均一致係数は、5 種類のコーン電圧にわたって取り込まれた実測スペクトルとライブラリースペクトルを比較することによって決まります。
8 サンプルそれぞれにおいて検出された有効成分を、ChromaLynx によって決定された平均一致係数とともに表 1 にリストしています。医薬品の 1 つであるイムランでは、ライブラリーとの一致がありませんでしたが、5 種類のコーン電圧それぞれにおいて、同じ保持時間に大きなレスポンスが見られました。製品の添付文書にイムランの有効成分はアザチオプリンであると記載されており、図 1 に示すスペクトルデータと一致しています。次に、取り込まれたデータを使用してアザチオプリンのライブラリーエントリーを作成しました。
表 1. 分析した各医薬品の有効成分、ならびに開示されている濃度およびライブラリーエントリーとの平均一致係数
*アザチオプリンはライブラリーに存在せず、実測スペクトルをライブラリーエントリーの作成に使用しました。
LEMSIP MAX Cold & Flu Remedy の分析について、ChromaLynx アプリケーションマネージャーのブラウザーで利用できる情報の例を図 2 に示します。
この試験では、一連の代表的な医薬品を使用して、既存の毒性学ライブラリーの ACQUITY QDa 質量検出器への適用可能性を評価しました。確立されたクロマトグラフィー分析法および定性的スクリーニングを適用したところ、ライブラリースペクトルと取り込まれたデータが非常に良く一致し、医薬品の有効成分を同定することができました。したがって、この改変した毒性学ライブラリーと ACQUITY QDa の組み合わせは、法化学試験および薬物管理試験のための低コストのソリューションとして有望と思われます。
720006004JA、2017 年 5 月