このアプリケーションブリーフでは、Empower 3 ソフトウェアを使用した、PDA および MS スペクトルデータに基づくクロマトグラフィーピークのスペクトル純度の確認について説明します。
Empower クロマトグラフィーデータソフトウェアにより、PDA および MS スペクトルデータを使用して、クロマトグラフィーピークのスペクトル純度を確認することができます。
医薬品の品質試験に使用される分析法においては、目的の分析対象物が分離され、サンプルマトリックスの他の成分の干渉を受けないことを保証するために、特異性を評価する必要があります。ピークが検出されなかったり、可能性のある共溶出が特定できない場合、医薬品の安全性と有効性が損なわれる可能性があります。そのため、スペクトルの純度または単一性を確認することで、クロマトグラフィーピークが単一の化合物を示しているかどうか、または他のサンプル成分が共溶出しているかどうかを判断するのに役立ちます。さらに、定量の前にピーク純度チェックを実施することで、報告可能な結果の正確性を保証するのに役立ちます。
このテクノロジーブリーフでは、Empower 3 ソフトウェアのピーク純度ツールを使用して、Mucinex シロップサンプル中の医薬品有効成分(API)のスペクトル純度を評価する方法を説明します¹。ACQUITY PDA 検出器からの UV スペクトルデータと、ACQUITY QDa 質量検出器の MS スペクトルデータの両方を使用することにより、各有効成分がシロップサンプルの他の成分と共溶出していないことを確認できます。
Empower ソフトウェアのピーク純度ツールを使用して、ピーク全体にわたる各データポイントからのスペクトルを、レファレンススペクトルの頂点と比較することにより、クロマトグラフィーピークが単一成分で構成されているかどうか、またはスペクトルが均一であるかどうかを判断します。ピークのすべてのポイントでの UV スペクトルが同一である場合、クロマトグラフィーピークは単一の化合物を表しています。ただし、ピーク全体にわたる UV スペクトルに変化があると、ピークが複数の成分で構成されているか、あるいはサンプル注入時に他の化合物と共溶出していることを示しています²。
本研究では、PDA と MS の両方のスペクトルデータを使用して、Mucinex シロップ製剤中の API のスペクトル純度を検証します¹。まず、Empower 解析メソッドの純度機能を有効にして、波長とノイズの値を定義します(図 1)。次に、シロップサンプル中の API のピーク純度を評価しました(図 2)。例えば、UV 純度プロットでは、フェニレフリンのピーク純度がしきい値を下回っていることが示されています。これにより、フェニレフリンがスペクトル的に単一であり、サンプル中の他の成分と共溶出していないことがわかります(図 2B)。Empower 3 質量分析ウィンドウのピーク純度スペクトルは、クロマトグラフィーピークの開始点、頂点、終了点におけるピークの全体にわたる、PDA および MS スペクトルデータを 1 つのプロットで表示します(図 2C)。MS スペクトルは、ピーク全体において、フェニレフリンに固有の 1 つの質量(m/z)が存在することを示しています。UV ピーク純度プロットと MS スペクトルデータの両方から、フェニレフリンはスペクトル的に単一であり、シロップ製剤の他の成分と共溶出していないことが確認されました。
全体として、シロップサンプルの分析では、各 API のピーク純度がしきい値を下回っており、スペクトルが単一であることが示されています(図 3)。
Empower 3 ソフトウェアのピーク純度測定により、Mucinex シロップサンプル中の有効成分のスペクトル単一性が検証されました。これにより、有効成分が正しく分離され、製剤中の他の成分と共溶出しないことが確認されました。
UV スペクトルデータと MS スペクトルデータの両方を活用することで、特に同等の構造を持つ化合物について、クロマトグラフィーピーク純度評価における信頼性と保証が向上します。スペクトルのピーク純度を正確に評価することは、医薬品の安全性と有効性を保証するために不可欠です。
720006582JA、2019 年 5 月