• アプリケーションノート

Xevo TQ-XS タンデム四重極型質量分析計を用いた高感度バイオアナリシス

Xevo TQ-XS タンデム四重極型質量分析計を用いた高感度バイオアナリシス

  • Billy J. Molloy
  • Robert S. Plumb
  • Waters Corporation

要約

Xevo TQ-XS タンデム四重極型質量分析計を用いた、再現性のある高感度 UPLC-MS/MS バイオアナリシス分析法を実証します。除タンパクによる簡単なサンプル前処理を、ミダゾラムおよびイミプラミンが 250 ag(0.2 pg/mL)までのオンカラムでの検出に使用しました。この検出限界は、3 つの別個の UPLC-MS/MS システムにわたって再現性があることも示されました。 

アプリケーションのメリット

  • 頑健で再現性があり、高感度のバイオアナリシス
  • 簡単なサンプル前処理
  • 最新の UPLC テクノロジーと合わせた、市場をリードするタンデム四重極型質量分析計の使用
  • 複数の UPLC-MS/MS システムにわたって測定される精度

はじめに

バイオアナリシスは、創薬および開発のプロセスの重要な部分になっており、薬物動態および用量反応に関する情報がこれによって提供されます。より倫理面を重視する試験でのより薬効の高い薬剤候補の低用量化、およびサンプルサイズの縮小(削減、代替、改善)により、LC-MS 法の感度がますます重要になっています。このような感度向上の要件と並んで、組織内でのまたは受託分析機関への、ラボ間で分析法をシームレスに移管するニーズがあります。このため、MS 感度が重要であるだけでなく、装置間の再現性も重要です。 

このアプリケーションノートでは、UPLC-MS/MS システムの一部として Xevo TQ-XS タンデム四重極型質量分析計を用いて達成した、頑健で再現性の高い高感度バイオアナリシス試験が実証されています。マトリックスサンプル(ヒト血漿)から、基本的な汎用サンプル前処理手法(除タンパク処理)を用いて、ミダゾラムおよびイミプラミンの 250 ag (0.25 フェムトグラム)の低い感度限度値がオンカラムで検出されました。このレベルの感度は、3 つの UPLC-MS/MS システムにわたって再現できることが実証されました。定量限界を計算するために、両方の化合物について、装置内精度および装置間精度もすべてのシステムで計算しました。 

実験方法

コントロールのヒト血漿を用いて、検量線、およびさまざまな濃度のミダゾラムとイミプラミンの両方が含まれている QC サンプルを作成しました。各化合物の 1 mg/mL メタノール溶液を希釈して、50:50 メタノール:水中に 10 ng/mL の混合ストック溶液(Sigma Aldrich(英国)から購入)を調製しました。これらの溶液は、検量線および QC サンプルを作成するためにスパイク溶液として使用しました。3 つの UPLC-MS/MS システムを使用して、新たに作成した検量線(0.2 ~ 100 pg/mL)および 12 の QC サンプル(4 × 0.2 pg/mL、4 × 0.4 pg/mL、4 × 1.0 pg/mL)を分析しました。これらのサンプルは、除タンパク処理を用いて以下のように前処理しました。300 µL のアセトニトリルを使用して 100 µL のサンプルを除タンパク処理しました。25,000 g で遠心分離した後、脱イオン水を使用して上清を 1:1 に希釈しました。次に、この希釈液 10 µL を UPLC-MS/MS システムに注入しました。 

分析条件

LC 条件

LC システム:

ACQUITY UPLC I-Class

検出:

Xevo TQ-XS

バイアル:

1 mL 96 ウェルプレート

カラム:

ACQUITY、2.1 × 50 mm、C18、1.7 µm

カラム温度:

55 ℃

サンプル温度:

10 ℃

注入量:

10 μL

流速:

0.45 mL/分

移動相 A:

0.1% ギ酸水溶液10 mM ギ酸アンモニウム含有

移動相 B:

0.1%ギ酸含有アセトニトリル

グラジエント:

1.9 分間にわたる 25 ~ 45% 移動相 B の直線グラジエント

グラジエントテーブル

MS 条件

MS システム:

Xevo TQ-XS

イオン化モード:

ESI+

取り込み範囲:

MRM トランジション:

ミダゾラム - 326.1 > 291.0 (CV = 60、CE = 26)

イミプラミン - 281.1 > 86.0 (CV = 30、CE = 16)

キャピラリー電圧:

0.5 kV

コリジョンエネルギー:

上記を参照

コーン電圧:

上記を参照

データ管理

クロマトグラフィーソフトウェア:

MassLynx v4.2

MS ソフトウェア:

MassLynx v4.2

インフォマティクス:

TargetLynx XS v4.2

結果および考察

この方法で達成できる感度と再現性を評価するため、3 つの別個の UPLC-MS/MS システムを使用して検量線および QC サンプルの分析を正常に実行しました。3 つの分析は、連続した 3 日間に行われ、バッチサイズと注入順序はすべて同じで、検量線(0.2、0.4、1、5、10、50、100 pg/mL)およびその前後のブランク試料で構成され、これに濃度の高い順に QC サンプルとその前後のブランク試料が続きました。3 つのシステムでは、ACQUITY UPLC I-Class を Xevo TQ-XS タンデム四重極型質量分析計と組み合わせて使用しました。2 つのターゲット分析種は、汎用クロマトグラフィーシステムで十分に保持され、ベースライン分離されました。ミダゾラムおよびイミプラミンの保持時間は、それぞれ 1.1 分および 1.6 分でした。3 つのシステムすべてでの両方の分析種の検量線は、ミダゾラムとイミプラミンの両方で 0.2 ~ 100 pg/mL の全範囲にわたって直線であり、r2 値は 1/x 重み付けで 0.99 を超えました。3 つの LC-MS システムすべてを使用した両分析種の検出限界は、両分析種について 0.2 pg/mL と判定され、最低レベルのキャリブレーターおよび 4 つの QC サンプルすべてが、すべての場合にこのレベルで検出可能でした(図 1 を参照)。各システムで 0.2、0.4、1.0 pg/mL での両分析種の精度(%CV)を計算し、両分析種の定量限界を決定しました。すべての QC レベルの平均濃度計算値は、すべての分析種について公称値の 15% 以内で正確でした。定量下限値(LLOQ)はイミプラミンおよびミダゾラムそれぞれについて 0.4 pg/mL および 1.0 pg/mL と決定され、両方の場合の全体的なシステム間精度は 8% 未満でした。図 2 に、イミプラミンについて、3 つのシステムでの %CV が濃度によってどのように変化したかが示されています。 

図 1. 検出限界(0.2 pg/mL、オンカラムで 250 ag)でのミダゾラムおよびイミプラミンの検出を示す UPLC-MS/MS クロマトグラム。A + D – システム 1、B + E – システム 2、C + F – システム 3。 
図 2. 3 つの UPLC-MS/MS 装置にわたる、0.2、0.4、1.0 pg/mL でのイミプラミンのシステム内精度(%CV) 

結論

ヒト血漿中のミダゾラムおよびイミプラミンの定量のための高感度 UPLC-MS/MS バイオアナリシス分析法が、ACQUITY UPLC I-Class と組み合わせた複数の Xevo TQ-XS 質量分析計を使用して実証されました。この分析法は、感度レベルが非常に高い(オンカラムで 250 ag)ことが示され、複数のシステムにわたって再現性があることが示されています。定量限界および直線性も計算されており、これらが複数のシステムにわたって再現性があることも示されています。 

720007208JA、2021 年 3 月

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