• アプリケーションノート

Waters Premier カラムによるオリゴヌクレオチドのピーク回収率およびピーク形状の向上

Waters Premier カラムによるオリゴヌクレオチドのピーク回収率およびピーク形状の向上

  • Kenneth D. Berthelette
  • Steve Shiner
  • Matthew A. Lauber
  • Waters Corporation

要約

XBridge Premier オリゴヌクレオチド BEH C18 カラムを使用したオリゴヌクレオチド分離により、従来のカラムハードウェアに基づいた他社製カラムと比較して、より大きいピーク面積とよりシャープなピークが得られました。5 種類の分析種の分離について、他社製カラムでは平均 40% のピーク面積減少が観察されました。

アプリケーションのメリット

  • 分析種の回収率の向上
  • ピーク形状の改善
  • 準備不要の性能

はじめに

カラムハードウェアへの吸着による損失は、一般に非特異的吸着と呼ばれ、多くのワークフローで一般的な問題となっています。これは、分析種上の複数の残基がさまざまな表面と相互作用する可能性があるオリゴヌクレオチドの分離など、高分子のアプリケーションで最も大きな問題となっています。ステンレススチールやその他の金属表面では、イオンの二次的な相互作用や金属キレートが発生する可能性があるため、LC システムやカラムハードウェアにおいては特に問題となります。これにより、ピーク面積の減少、ピーク形状の歪み、また極端な場合には完全なピーク消失につながる可能性があります。回避策として、メドロン酸などの不動態化剤の使用や、金属表面の活性部位を占めるように類似の分析種でシステムを飽和させる方法などがあります。ただし、これらの手法には時間がかかり、多くの場合は一貫性がなく、一時しのぎに過ぎません。

結果および考察

High Performance Surface(HPS)テクノロジーをベースとするハードウェアを利用した Waters MaxPeak Premier カラムを使用することで、オリゴヌクレオチドとカラムハードウェアの望ましくない相互作用が大幅に低減できる可能性があります。これを実証するために、標準 LC 装置と 2 種の別々のカラムを使用して、オリゴヌクレオチドの単純な混合物を分析しました。最初に試験したカラムは、完全に多孔質の XBridge Premier Oligonucleotide BEH C18、130 Å、2.5 μm カラムで、もう 1 つは、ステンレススチール製ハードウェアで構築された表層多孔質の 2.7 μm の他社製 C18 カラムを使用しました。いずれの固定相にも pH 耐性があり、イオン対形成の RPLC 条件で使用するように設計されていました。実験に使用した分析種は、Waters MassPREP OST 標準品(製品番号 186004135)に含まれるオリゴデオキシチミジン(15、20、25、30、35 塩基)の 5 本のオリゴヌクレオチドでした。25 mM 酢酸へキシルアンモニウム(pH 7.0)をイオン対試薬として含む移動相を、溶離液の ACN とともにカラム温度 60 ℃ で使用しました。

図 1. XBridge Premier オリゴヌクレオチド BEH C18 カラム(上)および他社製 C18 カラム(下)における 5 種のオリゴヌクレオチドの分離。ピーク面積およびピーク面積の減少割合(%)を表に示しています。カラムでは、25 mM 酢酸へキシルアンモニウム(pH 7.0)を用いたアセトニトリルグラジエントを使用しました。カラム温度は 60 ℃ に設定し、UV 検出は 260 nm で行いました。分析法の詳細は、MassPREP OST Standard Care and Use Manual(『MassPREP OST 標準試料取扱説明書』)に概説しています1

図に示すように、他社製カラムでは、5 種のオリゴすべてにおいてピーク面積の減少が示されました。他社製カラムは、XBridge Premier オリゴヌクレオチド BEH C18 カラムよりもピーク面積が平均で 40% 小さくなっていました。さらに、ほとんどのオリゴにおいて、他社製カラムでよりひどいピークテーリングが見られました。特に注目されるのは、35 塩基において、他社製カラムでは不純物が共溶出していますが、MaxPeak Premier カラムではこれらが分離されています。HPS カラムハードウェアを採用したMaxPeak Premier カラムは、望ましくない二次的相互作用の問題にも対処しています。今回の分離では MaxPeak Premier システムを用いていませんが、MaxPeak Premier カラムを用いることで、パフォーマンスが大幅に向上しています。MaxPeak Premier カラムを MaxPeak Premier システムと組み合わせることで、パフォーマンスと堅牢性がさらに向上する可能性があります。

結論

Waters MaxPeak Premier ブランドのカラムは、分析種とカラムハードウェア表面の間の吸着性相互作用を低減します。オリゴヌクレオチドの分離では、二次的相互作用が発生して広範なアプリケーションで問題となる可能性がありますが、オリゴヌクレオチドの分離は、分離科学における重要かつ常に関連性の高い領域です。オリゴヌクレオチドは一般に、その構造のために金属表面の影響を非常に受けやすく、良好な回収率(ピーク面積)やピーク形状を得ることが非常に困難になる可能性があります。この研究では、XBridge Premier Oligonucleotide BEH C18 カラムを従来のステンレス製ハードウェアをベースとした他社製カラムと比較しました。MaxPeak Premier カラムは、他社製カラムよりも高いピーク面積とシャープなピークを達成しました。MaxPeak Premier カラムに切り替えると、分離が改善し、より正確な結果が得られます。MaxPeak Premier LC システムで MaxPeak Premier カラムを使用すると、さらに多くの利点が得られます。

参考文献

  1. Waters MassPREP OST Standard Care and Use Manual, 715001677EN

720007200JA、2021 年 3 月

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