プレカラム誘導体化を用いるアミノ酸分析法の ACQUITY UPLC から ACQUITY UPLC H-Class PLUS バイナリーシステムへの適応を成功させるための装置に関する考慮事項
要約
液体クロマトグラフィーによるアミノ酸分析(AAA)には、分析種の化学的特性および物理的特性に起因する特有の課題があります。ほとんどのアミノ酸には発色団がないため、UV による分析では AccQ•Tag などの誘導体化手法がよく使用されます。さらに、化学的性質が多様であるために、広範なアミノ酸の分離が困難になっています。2007 年に Waters ACQUITY UPLC システムを使用して、この点を勘案した AccQ•Tag ソリューションがリリースされ、さまざまなマトリックス中のアミノ酸に関する完全なソリューションとなっています。一方、装置の改良に伴い、アミノ酸分析を新しいシステムに移行する必要がありました。
以下の試験では、AccQ•Tag 誘導体化を使用するアミノ酸分析に用いる分析法を、ACQUITY UPLC から ACQUITY UPLC H-Class PLUS バイナリーシステムに移行します。ピーク形状、分解能、直線性、検出/定量限界、日内/日間精度など、すべての重要な性能特性を維持しつつ、装置の設計の違いがこのプロセスにどのように影響するかを理解することが重要です。このアプリケーションノートでは、タンパク質加水分解物、細胞培養液、食品・飼料、アルキル化システインサンプルに含まれるアミノ酸などの複数のアミノ酸アプリケーション分野の分析法の、ACQUITY UPLC から ACQUITY UPLC H-Class PLUS バイナリーシステムへの適応について説明します。重要な性能特性は、分析法の適応後も維持されてきました。さらに、複数の栄養ドリンクに含まれるタウリンの定量分析でもほぼ同じ結果が得られ、分析法の適応が成功したことがさらに証明されました。
アプリケーションのメリット
- AccQ•Tag Ultra ケミストリーキットに含まれるカラム、標準品と試薬、溶離液により、高速で信頼性が高く、再現性のあるアミノ酸の誘導体化、分離、定量を実現
- ACQUITY UPLC H-Class PLUS バイナリーシステムでは、困難なグラジエントにおいてより高い精度が得られ、高速になったため、ハイスループット分析が可能に
- 確立された方法を新しいテクノロジーに適応させることにより、ラボの生産性と柔軟性が向上
- 分析法の適応後、ピーク形状、分離能、直線性、定量限界、日内/日間精度など、すべての重要な性能特性の維持が可能に
はじめに
液体クロマトグラフィーによるアミノ酸分析(AAA)には、分析種の化学的特性および物理的特性に起因する特有の課題があります。さらに、製薬業界の現状では、開発された LC 分析法は、分析法の存続期間中にさまざまな異なるハードウェアプラットホームで実行される可能性があります。これは、分析法が一般的に複数のラボで(多くの場合、世界中で)実行される業界のグローバルな性質によるアーティファクトである可能性もあり、新しいテクノロジーの開発や古いテクノロジーの廃止などのハードウェアの進化によるものである可能性もあります。分析法開発時には、複数のハードウェアプラットホームを評価して、システム容量や拡散、カラムヒーター、インジェクターの設計など、装置の違いによる影響を理解することが推奨されます。
この研究では、ACQUITY UPLC で開発された古い分析法を、いくつかの重要な設計上の違いが含まれる新しい LC プラットホームである ACQUITY UPLC H-Class PLUS バイナリーシステムに移行します。いずれのシステムもバイナリー高圧溶媒送液を使用していますが、インジェクターの設計とカラムヒーターが 2 つのシステムの間で大きく異なります。従来の ACQUITY UPLC では、カラムに固定ループインジェクターとパッシブプレヒーターを使用していますが、ACQUITY UPLC H-Class PLUS バイナリーでは、フロースルーニードルインジェクターとアクティブプレヒーターを使用しています。固有の設計の違いがあるため、元の ACQUITY UPLC から ACQUITY UPLC H-Class PLUS バイナリーシステムに移行する際は、重要な性能特性を維持するために、分析法の変更がいくつか必要になりました。最終的な分析法では、ピーク形状、分解能、直線性、検出/定量限界、日内/日間精度、未知物質の定量分析に関して、ほぼ同一の結果が得られました。
実験方法
サンプルの説明
アミノ酸加水分解物の定量法では、ノルバリン(製品番号: 186009301)を内部標準、0.1 N HCl を希釈剤として使用して、Waters アミノ酸標準(製品番号: WAT088122)からキャリブレーション標準試料を調製しました。内部標準の原液は、0.1 N HCl 中に 2,500 µM の濃度で調製しました。キャリブレーション試薬の最終濃度は、すべてのアミノ酸について 1、5、10、20、50、100、200、500 μM(ただしシステインでは 0.5、2.5、5、10、25、50、100、250 μM)で、ノルバリン(内部標準)は 250 µM でした。精度サンプルは 500 µM(システインは 250 µM)の濃度で調製しました。ノルバリンは、すべての標準サンプルおよび精度サンプルで一定の 250 µM に保ちました。
日内/日間精度分析のために、3 回の繰り返しで誘導体化し、プールしてボルテックス混合しました。次に、サンプルを等しい 3 アリコートに分け、分析までオートサンプラー中に 20 ℃ で保存しました。1 バイアルからの 6 回の注入を各精度日に使用し、計 3 日(1 日 1 サンプル) x 6 注入 = 計 18 注入を行いました。
アルキル化システイン分析では、カルボキシメチルシステイン(CM)とピリジルエチルシステイン(PE)のストック溶液を 0.1 N HCl 中に調製しました。アミノ酸加水分解物標準品に CM、PE、ノルバリンを添加して、すべてのアミノ酸の最終濃度を 500 µM にしました(システインは 250 µM)。
アミノ酸細胞培養液標準品(製品番号:186009300)およびアミノ酸食品・飼料標準品(製品番号:186009299)を、アミノ酸標準品キットの取扱説明書1 に従って調製し、ノルバリンを含むすべてのアミノ酸の濃度を 500 µM(システインは 250 µM)にしました。
未知サンプル:2 種の栄養ドリンクのサンプルを、0.1 N HCl を使用して 1:10、1:100、および 1:200 に希釈し、最終濃度 250 µM になるようにノルバリンを添加して誘導体化しました。
すべての標準試料およびサンプルの誘導体化は、アミノ酸標準品キットの取扱説明書に記載されている手順に従って行いました1。溶離液 A1/A2 および溶離液 B は、UPLC アミノ酸分析ソリューションガイドの指示に従って調製しました。
Final LC Conditions
Gradient
データ管理
クロマトグラフィーソフトウェア: |
Empower 3、FR 3 |
結果および考察
元の Waters UPLC アミノ酸分析(AAA)ソリューションは、アミノ酸分析用の Waters AccQ•Tag Ultra ケミストリーと組み合わせて開発されたもので、異なるアミノ酸または追加のアミノ酸を含むタンパク質およびペプチドの加水分解物(同定および特性解析のため)、細胞培地、食品および飼料の栄養組成を分析するために開発されました。これらの分析法は、2007 年に開発され、発売された ACQUITY UPLC システム上で開発されました。過去 14 年以上の間に、LC ハードウェアには多くのイノベーションが導入されてきました。現在のユーザーおよびアミノ酸分析に不慣れな科学者のいずれにおいても、最新かつ最先端の LC ハードウェアでこれらの分析を実行するためのガイダンスを提供することが不可欠となります。アミノ酸分析ソリューションの一部として提供される分析法が開発され、定量分析で使用するために必要な、対称的なピーク形状と、すべてのピークで十分な分離が得られるようになりました。これらすべての分析法の特性を、ACQUITY UPLC H-Class PLUS バイナリーシステムに適用した後も維持することが不可欠でした。
クロマトグラフィーを最適化するための分析法パラメーターの適用
分析法を ACQUITY UPLC から ACQUITY UPLC H-Class PLUS バイナリーシステムに移行する際、システム間の設計とハードウェアの違いのため、一部の分析法パラメーターを調整してクロマトグラフィー性能を維持することが必要と予想されました。最初の分析法の変換と調整は加水分解物標準品を用いて行い、続いて、細胞培養液、食品・飼料、アルキル化システインの分析に使用できる分析法に拡張しました。上記の分析法を ACQUITY UPLC H-Class PLUS バイナリーシステムに移行すると、17 種のアミノ酸すべてが良好に分離されましたが、最も早く溶出するピークであるヒスチジンは、強溶媒の影響によりピークが前方向にずれました。これは、誘導体化試薬に由来する 20% の有機物を含むサンプルによるものですが、すべての早く溶出するピークを十分に分離するためには、0.1% の有機物が初期の開始条件に必要でした。プレカラムインラインフィルターを使用すると、粒子をろ過してカラムが保護されるだけでなく、ボリュームが追加されて強溶媒の影響を軽減するのに役立つ点に注目してください。強溶媒の影響に対処するために、複数の調整を行いました。まず、標準の 15 µL ニードルを、内径が大きいオプションの 30 µL ニードルに交換しました。注入量は 1 µL に維持されました。大きいニードルではピーク形状が改善しました(図 1A)。4.4% でのピーク非対称性は、標準の 15 µL ニードルでは 0.50 でしたが、30 µL ニードルを使用すると 0.66 に改善しました。さらに、1 µL の注入の面積精度を両方のニードルを用いて評価しましたが、区別できる違いはありませんでした。
ヒスチジンのピーク形状に影響を及ぼすもう 1 つの要因は、使用するニードル洗浄溶媒の組成です。ニードル洗浄溶媒は、ニードルの外側を洗浄するのに用いられます。また、ニードルの内部はプログラムされたグラジエントでフラッシュ洗浄されます。ニードルの洗浄後、少量の洗浄溶媒がニードルに残り、次の注入で対象のサンプルと共に注入される場合があります。使用する注入量はわずか 1 µL であるため、洗浄溶媒の有機組成が高い場合は、少量の残留洗浄溶媒でもピーク形状に影響を及ぼす可能性があります(図 1B)。実験結果に基づき、95% 水:5% アセトニトリルのニードル洗浄溶媒の使用を推奨します。推奨するニードル洗浄溶媒組成でキャリーオーバーが認められないことを確認するため、キャリーオーバー試験を行いました。最高濃度のキャリブレーション標準試料を注入した後、5% アセトニトリル洗浄を使用したところ、注入したブランクにキャリーオーバーは観察されませんでした。
ニードルサイズの増加とニードル洗浄溶媒組成の変更により、ヒスチジンのピーク形状が改善しましたが、ピーク形状の最大の改善は、カラム温度を低くしたときに見られました(図 1C)。温度が下がると、ヒスチジンのピーク対称性は、非対称値(4.4% ピーク高さ) 0.51(55 ℃)から 0.76(45 ℃)に改善します。ただし、温度が下がると、システインとリジンの間の分離度が 2.55(55 ℃)から 1.70(45 ℃)に低下します。これら 2 つの挙動を考慮し、ヒスチジンのピーク形状の改善とシステイン-リジン間の分離の低下のバランスを取って、最終的なカラム温度として 45 ℃ を選択しました。
要約すれば、加水分解物の分析法移管のために、ACQUITY UPLC H-Class PLUS バイナリーシステムで使用した最終的な装置と分析法には、オプションの 30 µL ニードル、95:5 水:アセトニトリルのニードル洗浄溶媒組成、カラム温度 45 ℃ の使用という調整が加わりました。500 µM アミノ酸標準品について、元の分析法を使用して ACQUITY UPLC で得られたクロマトグラムと、調整された分析法条件を使用して ACQUITY UPLC H-Class PLUS バイナリーシステムで得られたクロマトグラムの例を図 2 に示します。
重要なクロマトグラフィー要件として、早く溶出するヒスチジンのピークの適切な形状およびすべてのピークの全体的な分離の 2 つが挙げられます。調整した分析法を用いて ACQUITY UPLC H-Class PLUS バイナリーシステムで得られたクロマトグラムは、これらの要件を両方満たしていました。
加水分解物分析法の性能の検証
分析法条件の調整後、次のステップとして、ACQUITY UPLC H-Class PLUS バイナリーシステムで分析法の性能を検証し、ACQUITY UPLC での AccQ•Tag Ultra 分析法で以前に実証された結果との同等性を確認しました2。 これには直線性、定量限界(LOQ)、および日内・日間精度の評価を含めました。ACQUITY UPLC H-Class PLUS バイナリーシステムで収集したデータは、上記の分析法調整(30 µL ニードル、ニードル洗浄溶媒組成 = 95:5 水:アセトニトリル、カラム温度 = 45 ℃)を使用して得たものです。
直線性は、すべてのアミノ酸について以前設定した範囲 1 ~ 500 µM(システインについては 0.5 ~ 250 µM)で評価しました。ノルバリンを内部標準として使用し、250 µM という中間キャリブレーション範囲の濃度で調製しました。検量線は、各濃度レベルを 1 回注入して作成しました。データ量が多いため、例として 4 種の化合物の R2 およびキャリブレーション偏差の結果を表 1 に示します。これらは、クロマトグラムのさまざまな部分で溶出するアミノ酸です。
ACQUITY UPLC H-Class PLUS バイナリーシステムで実行した調整後の分析法では、非常に高い決定係数(R2)、ならびに公称濃度からの非常に低い % 偏差が得られました。特に定量限界(1 µM、システインは 0.5 µM)および検量線の下限の部分で得られました。これは、非常に正確で信頼性の高い定量分析法であることを示す証拠です。
日内および日間での保持時間と濃度の精度を評価するため、最高のキャリブレーション濃度(500 µM、システインは 250 µM)に調製したアミノ酸標準サンプルを 6 回の繰り返しで 3 日間にわたって注入しました。表 2 に、ACQUITY UPLC H-Class PLUS バイナリーシステムで得られた日内精度および日間精度の値を示します。
日内および日間の保持時間の結果は %RSD が非常に低く、再現性が良好であることを示しています。3 日間にわたって見られた最大の保持時間の RSD はわずか 0.2% でした。これは、わずか 0.3 秒という保持時間の標準偏差に対応します。この点は、ACQUITY UPLC H-Class PLUS バイナリーシステムで得られるグラジエント精度が非常に優れていることを示しています。さらに、日内および日間の濃度の結果も、すべてのアミノ酸について非常に低い %RSD を示しており、6 回の繰り返し注入にわたって全体として最も高い値はわずか 0.3% です。1 日 6 回で 3 日間の計 18 回の注入について計算した日間精度も、非常に低い %RSD を示しています。3 日間にわたる分析で測定された最大の日間 RSD はわずか 0.2% でした。ACQUITY UPLC H-Class PLUS バイナリーシステムで得られた日内精度および日間精度が低かったという結果は、分析法の適応が成功したことのさらなる証拠です。
細胞培養液、食品・飼料、およびアルキル化システインの分析法の適応
次に、アミノ酸加水分解物標準品を使用して決定した分析法の調整を、細胞培養培地、食品・飼料、アルキル化システインの分析に用いる分析法に適用しました。さまざまなアプリケーション分野向けにアミノ酸分析ソリューションが開発されており、各標準品は関連するアミノ酸を含むようにカスタマイズされています。これらの分析法については、直線性、精度、および定量限界の評価などの詳細な分析法検証は行いませんでした。ここでは、各分析法について適切な標準および内部標準としてノルバリンを用いて、クロマトグラフィー分離のみを検証しました。
市販のアミノ酸食品・飼料標準品および手動調製したアルキル化システインのサンプルを、アミノ酸加水分解物標準品に使用したものと同じ分析法および装置条件を使用して分析しました。アミノ酸食品・飼料標準には、加水分解物の 17 種のアミノ酸と、タウリン、α-アミノ酪酸(AABA)、メチオニンスルホン(MetSO2)、システイン酸が含まれています。システイン酸が早く溶出すること(ヒスチジンの前)を考えると、システイン酸の添加は強溶媒の影響に起因する問題が生じる可能性があります。また、MetSO2 の添加は必要とされるアスパラギンの分離度が問題となる可能性があります。ヒスチジンのピーク形状改善のための変更がすでに行われているため、システイン酸のピーク形状も非常に良好であり、これ以上の調整は不要でした。さらに、MetSO2 とアスパラギンの分離度は 1.7 でした。この値は、ほとんどの定性的分析法および定量的分析法に十分であり、ACQUITY UPLC システムで取り込まれた以前のデータと同等です。
アルキル化システインサンプルには、17 種のアミノ酸からなる加水分解物標準品を使用し、さらにピリジルエチルシステイン(PE Cys)とカルボキシメチルシステイン(CM Cys)を添加しました。システインは加水分解時に不安定であるため、システインをアルキル化するのが一般的な分析のアプローチとなります。アルキル化した形態は安定しており、定量に使用できます3。これらの追加のピークの溶出位置はアラニンに非常に近接しているため、調整した分析法を使用して分析する場合も、すべてのピークの十分な分離を確保する必要がありました。結果として得られた CM Cys-Ala と Ala-PE Cysの分離度の値はそれぞれ 1.9 および 2.6 であり、これらの値はいずれも定性研究および定量研究において許容範囲です(図 3)。
ACQUITY UPLC H-Class PLUS バイナリーシステムで検討した最後のアミノ酸アプリケーションは、アミノ酸細胞培養液標準品でした。このサンプルでは、さらに高濃度の溶離液 A(UPLC アミノ酸分析ガイドを参照)を分離に使用しており、加水分解物標準品の 17 種のアミノ酸と追加の 9 種のアミノ酸が含まれています。カラム温度は 50 ℃ に設定し、システムのセットアップには 30 µL の注入ニードルと 95:5 水:アセトニトリルの洗浄溶媒も含めました。内部標準としてノルバリンを使用したアミノ酸細胞培養液標準品の代表的なクロマトグラムを図 4 に示します。
細胞培養液標準品に 9 種のアミノ酸が追加されているため、調整された分析法パラメーターを使用した場合、いくつかのクリティカルペアの分離が重要な要件となりました。セリン/アルギニン/グリシンのトリプレットの範囲内でグルタミンが溶出するため、グルタミンの添加が問題となりました。調整された分析法条件では、Ser-Gln、Gln-Arg、Arg-Gly についてそれぞれ 2.7、1.4、1.7 という分離度が得られました。これらの分離度は、ACQUITY UPLC および元の分析法を使用して得られた分離度とほぼ同じです4。その他の追加のアミノ酸では、何の問題もなく十分な分離が得られました。ヒドロキシプロリンも早く溶出する化合物であるため、ヒドロキシプロリンの添加により、強溶媒の影響を受けずに、ヒスチジンと十分に分離され、対称的なピーク形状を示すことが必要でした。調整された分析法条件を使用した場合、ヒスチジンとヒドロキシプロリンの間の分離度は 1.4 で、いずれも対称的なピーク形状を示しました。全体的な結果も、ACQUITY UPLC システムで開発された元の方法と同等です。
栄養ドリンクのサンプル分析
ACQUITY UPLC で開発された元の分析法から ACQUITY UPLC H-Class PLUS バイナリーシステムで用いる分析法条件への分析法の適応が成功したことをさらに立証するために、2 つのシステムの間で定量的な例を比較しました。2 種の栄養ドリンクサンプル中のタウリン量を分析するための定量法を用いました。食品・飼料標準とノルバリンを内部標準として使用して、10 ~ 500 µM の範囲にわたる検量線を作成しました。未知サンプルは、1:10、1:100、1:200 に希釈してから誘導体化しました。1:10 に希釈したサンプルのタウリンのレスポンスは、最高のキャリブレーション標準を上回っていたため、残りの 2 サンプルの結果を表 3 に示します。
2 つの LC システムで得られた定量結果の値は非常に良く一致しており、4 つのサンプル調製物の間の差は最大でわずか 1.6% でした。これにより、ACQUITY UPLC H-Class PLUS バイナリーシステムへの分析法の適応が定量分析に適していることがさらに確認されます。
結論
製薬やバイオ医薬品の業界では、同じ分析法を多くの場合は数十年にもわたって使用されることが一般的です。さらに、新しい装置の開発と古いテクノロジーの廃止という自然な進化があります。重要な定性的性能および/または定量的性能を損なうことなく、新しい装置で実行できるように分析法を適応させることが不可欠になります。このアプリケーションノートでは、アミノ酸分析のために元々 ACQUITY UPLC で開発した分析法を、性能を損なうことなく ACQUITY UPLC H-Class PLUS バイナリーシステムに正常に適応させることができました。ピーク形状、分解能、直線性、精度、検出限界などの重要なパラメーターは、システム間で保持されていました。最後に、栄養ドリンク中のタウリンを定量分析したところ、ACQUITY UPLC と ACQUITY UPLC H-Class PLUS バイナリーシステムでほぼ同じ結果が得られ、分析法の適応が成功したことが実証されました。
参考文献
- Amino Acid Standard Kits.Waters Care and Use Manual.720006663EN, 2020.
- Amino Acid Analysis Application Notebook.720006130EN, 2018.
- Cohen, S. Analysis of Sulfur Containing Amino Acids III.Alkylation of Cysteine.Waters Lab Highlights.LAH0379, 1988.
- Hong, P, Wheat, TE, Mazzeo, JR, Diehl, DM.Monitoring Cell Culture Media with the Waters Amino Acid Analysis Solution.Waters Application Note 720002381EN, 2007.
720007368JA、2021 年 9 月