• アプリケーションノート

Waters MassTrak 内分泌ステロイドキャリブレーション試薬セットおよび品質管理セットの計量計測トレーサビリティー

Waters MassTrak 内分泌ステロイドキャリブレーション試薬セットおよび品質管理セットの計量計測トレーサビリティー

  • Dominic Foley
  • Padhraic Rossiter
  • Norma Breen
  • Lisa J. Calton
  • Waters Corporation

体外診断(IVD)目的です。一部の国/地域では提供されていません。

要約

臨床検査室での LC-MS/MS 分析法は、多くの場合、各国の規制ガイドラインおよび国際基準に準拠したバリデーション済みの自家調整検査法(LDT)に基づいています。一部の地域のラボでは、ISO 15189:2012 Medical laboratories–Requirements for quality and competence(医療検査室の品質と能力に対する要件)に準拠するために、計量計測的にトレーサブルなキャリブレーション物質を使用することが検査室に求められています。そのため、Waters MassTrak 内分泌ステロイドキャリブレーション試薬セットおよび品質管理セット(IVD)の設計、開発、製造には計量計測トレーサビリティーが取り入られており、ラボにおける ISO 15189 の準拠を支援し、バリデーション済みの LC-MS 分析法を使用する際の結果の正確度と統一に対する信頼性を提供しています。

このアプリケーションブリーフでは、Waters MassTrak 内分泌ステロイドキャリブレーション試薬セットおよび品質管理セットの概要および正確度、並びにロット間検査での比較を紹介します。

アプリケーションのメリット

  • ラボにおける ISO 15189 準拠に役立つ計量計測トレーサビリティーキャリブレーション試薬および品質管理セット
  • 正確なステロイドホルモンに対する信頼性が得られ、ラボの分析法統一への道が開ける
  • 凍結乾燥したキャリブレーション試薬および品質管理セットで、サンプル前処理にかかる時間が最小に

はじめに

多くの臨床検査室で用いられている LC-MS/MS 分析法は自家調整検査法(LDT)に基づいており、分析前ワークフローでの大幅な手動調製が必要です。これには検査室の検査技師による内部でのキャリブレーション試薬や QC サンプルの調製が含まれる場合がありますが、その場合、物質が不正確であったり、ミスが生じたりする可能性があり、ラボの効率低下につながります。更に、各国の規制ガイドラインおよび ISO 15189 などの国際基準に準拠するためには、結果の正確度を改善するための計量計測的にトレーサブルな物質が必要となります。LC-MS/MS 分析法における計量計測的にトレーサブルな物質を使用すると、特に、これらの物質が高い基準に則して製造され、製造ロット間のばらつきが少ない場合、ラボ間の統一への道筋をつけることもできます。

Waters MassTrak 内分泌ステロイドキャリブレーション試薬セットおよび品質管理セット(IVD)(図 1)には、凍結乾燥血清中に様々なステロイドホルモンが含まれており、利用可能な最高レベルの計量計測トレーサビリティーが得られます。コルチゾール、テストステロン、17-ヒドロキシプロゲステロン、プロゲステロンは、レファレンスの測定手順により値が割り当てられています。デヒドロエピアンドロステロン硫酸塩(DHEA-S)、21-デオキシコルチゾール、コルチコステロン、11-デオキシコルチゾール、アンドロステンジオン、11-デオキシコルチコステロン、デヒドロエピアンドロステロン(DHEA)、ジヒドロテストステロン(DHT)は処理済み血清中の認証標準物質を用いて、重量測定法で調製しました。すべてのステロイドホルモンの濃度は、独立の QC および適合性試験(PT)、あるいは可能な場合は外部品質評価(EQA)スキーマを使用して確認しています。

図 1. Waters MassTrak 内分泌ステロイドキャリブレーション試薬セットおよび品質管理セット

結果および考察

ラボの効率性の向上

MassTrak 内分泌ステロイドキャリブレーション試薬セットおよび品質管理セットは、ラボの ISO15189 準拠を支援するために設計および製造されています。主なメリットとして、再溶解してそのまま使用できる計量計測的にトレーサブルなキャリブレーション試薬および品質管理物質の使用により、ラボの効率が高まることが挙げられます。表 1 に、市販のキャリブレーション試薬および QC を使用すると、内部でキャリブレーション試薬を調製する際にラボで実施していた複数のステップが不要になり、時間とリソースが大幅に節約できることを示しています。

表 1. ラボの効率性の向上

計量計測トレーサビリティー

MassTrak 内分泌ステロイドキャリブレーション試薬セットおよび品質管理セットに関連する計量計測的トレーサビリティーでは、以下の 2 つのプロセスを使用します。アンドロステンジオン、11-デオキシコルチゾール、21-デオキシコルチゾール、コルチコステロン、11-デオキシコルチコステロン、DHEA-S、DHEA、DHT の内部一次標準品は CRM にトレーサブルな(NIST にトレーサブル)物質であり、値は重量測定法による割り当てに基づいています(図 2)。コルチゾール、テストステロン、17-OHP、プロゲステロンの内部二次標準品は、ゲント大学および Rfb のレファレンスの測定手順にトレーサブルで、値は二次的レファレンス測定手順による割り当てに基づいています(図 3)。一次標準品および二次標準品を使用して、MassTrak 内分泌ステロイドキャリブレーション試薬セットおよび品質管理セットの濃度を生成し、割り当てました。

図 2. MassTrak 内分泌ステロイドキャリブレーション試薬セットおよび品質管理セット中の、アンドロステンジオン、11-デオキシコルチゾール、21-デオキシコルチゾール、コルチコステロン、11-デオキシコルチコステロン、DHEAS、DHEA、DHT の計量計測トレーサビリティー 
図 3. MassTrak 内分泌ステロイドキャリブレーション試薬セットおよび品質管理セット中の、コルチゾール、テストステロン、17-OHP、プロゲステロンの計量計測トレーサビリティー 

正確度およびロット間の比較

キャリブレーション試薬セットの正確度は、内部 QC および外部品質評価(EQA)サンプルの評価により決定しました。キャリブレーション試薬用の 3 ロットの製造材料について、LC-MS/MS 分析のルーチン測定手順に従って、正確度、並びに低濃度および高濃度での割り当て値からの平均偏差を評価しました。結果は図 4 に示します。このデータにより、キャリブレーション試薬の正確度だけでなく、製造プロセスでのロット間の再現性も実証されました。このことは、ラボにおいて、異なる製造ロットを使用して、長期間にわたり標準品の統一を保つ場合に重要になります。

図 4. MassTrak 内分泌ステロイドキャリブレーション試薬セットの正確度を実証している、ステロイドホルモンの製造ロット A ~ C の割り当て値からの平均偏差のロット間比較

結論

MassTrak 内分泌ステロイドキャリブレーション試薬セットおよび品質管理セットの計量計測トレーサビリティーは確立され、ラボの ISO 15189 準拠に支援します。独立の QC および適合性試験(PT)スキーマを通じて、アッセイの正確度および精度が確認されました。

免責事項

MassTrak 内分泌ステロイドキャリブレーション試薬セットおよび品質管理セットは、一部の国/地域では販売されていません。提供状況については、最寄りのウォーターズの営業担当者にお問い合わせください。

720007404JA、2021 年 10 月

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