容易に入手可能な材料と試薬を用いて、タンパク質溶液中のポリソルベート 20/80 を定量するための、LC-MS プラットホームを用いたハイスループットな分析法を開発しました。この分析法は、ソルビタン脂肪酸エステルの加水分解と、その後の遊離脂肪酸の迅速なメチル化に基づいています。ワンポットサンプル前処理を用いてサンプル前処理を行うことで、展開を容易にするとともに、製剤、開発、QC 環境への適合性が向上しました。ACQUITY QDa 質量検出器をインラインで接続した Waters ACQUITY UPLC H-Class PLUS で、ハイスループット逆相分離を使用し、脂肪酸メチルエステル(FAME)のプロファイリングを 10 分未満で実施し、高い特異性および感度を達成しました。この試験では、LC-MS ベースの加水分解分析法を使用することで、シングル四重極型質量分析計を用いて ppm レベル以下のポリソルベート成分が検出できることを実証しています。プラットホーム様の性質により、ポリソルベート 20 またはポリソルベート 80 を含む医薬品の分析における展開が容易になり、柔軟性が得られます。
モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン(PS-80)およびポリモノラウリン酸ポリオキシエチレンソルビタン(PS-20)は、バイオ医薬品の製造および製剤に使用される一般的な界面活性剤です。これらは界面活性剤として重要な成分であり、タンパク質の変性、凝集、表面への吸着による損失を最小限に抑えるのに役立ちます1。 臨床現場で使用される医薬品の有効期間および安全性を判定するには、安定剤としてのこれらの組成と安定性に関する知識が必要です。酸化および/または加水分解によるポリソルベートの分解は、ポリソルベート含有医薬品の有効性低下と関連しているため、これらの知識は非常に重要です1-2。 最近では、リパーゼ/エステラーゼなどの残留宿主細胞タンパク質による酵素活性が、ポリソルベートの追加の分解経路として特定されており、患者の安全性に対するリスクが更に高まっています3。 そのため、このような添加剤の特性解析、同定、および定量を実施し、ポリソルベートを含む医薬品製剤が安全で有効であることを、その剤型の状態で実証する必要があります。
図 1 に示すように、極性の頭部基および疎水性の尾部で構成されているポリソルベートは、本来不揮発性であり、UV 活性はわずかです。このような独特の特性により、インタクトレベルのポリソルベートの分析において、エバポレイト光散乱検出器(ELSD)や荷電化粒子検出器(CAD)などの別の検出技術が使用されるようになりました4-5。 ただし、このような分析法を HPLC システムに展開すると、溶出時間が長くなり(最長 40 分)、有害な物質や試薬を使用する複雑なサンプル前処理が必要になります。更に、ELSD 検出器や CAD 検出器は、インタクトなポリソルベートの分析に有用であることが実証されているものの、ポリソルベート濃度のわずかな変化を検出する上での信頼性には欠けており、ppm レベルの検出に限定されています。最近、ウォーターズは、効率的で高感度であることが示されている、文献に掲載された一般的な手法に基づくポリソルベート 80 の分析法を発表しました6。 この分析法では、図 2 のワークフローに示すように、図 1 にアスタリスクで示したポリソルベート 80 のエステル結合での塩基触媒加水分解後、疎水性脂肪酸の尾部(オレイン酸)を UV に基づいて検出することができ、ppm 以下の検出ができることが実証されました。この分析法は、アイソクラティック条件を使用しており、ポリソルベートの原料は、組成に関して純度が比較的高く、目的の遊離脂肪酸が UV 活性であるという考えに一部基づいています。実際には、表 1 に示すように、ポリソルベートではソルビタン分子に複数の脂肪酸エステルが結合している場合があります。それぞれの脂肪酸エステルは、結合しているアルキルの尾部の構造(飽和か不飽和か)によって様々なレベルの UV 活性を有する場合があります。ポリソルベートの種類によって脂肪酸プロファイルが幅広い濃度範囲に及ぶ可能性があることによってこの点が更に複雑になり、バイオ医薬品サンプル中のポリソルベートのターゲット成分について十分な検出器レスポンスを得るためのプラットホーム様の UV ベースの分析法開発の難しさが増しています。このことから、ポリソルベートに対する特異性および感度が向上し、PS-20 や PS-80 を含む医薬品の分析に汎用的に展開できる分析法が強く望まれます。
LC システム: |
ACQUITY UPLC H-Class PLUS Bio システム |
検出: |
ACQUITY UPLC TUV 検出器(5 mm チタンフローセル付き) 吸収波長:200 nm |
バイアル: |
Waters TruView |
カラム: |
ACQUITY UPLC BEH C8 カラム、130 Å、1.7 μm、2.1 × 100 mm |
カラム温度: |
30 ℃ |
サンプル温度: |
25 ℃ |
注入量: |
10 μL |
流速: |
0.2 mL/分 |
移動相 A: |
0.1 % ギ酸水溶液 |
移動相 B: |
0.1% ギ酸含有 MeCN 溶液 |
MS システム: |
ACQUITY QDa 検出器 |
イオン化モード: |
ポジティブ |
取り込み範囲: |
100 m/z ~ 600 m/z |
キャピラリー電圧: |
1.5 kV |
コーン電圧: |
15 V |
PS-80 メチルエステル |
ACQUITY QDa SIR(m/z) |
ミリスチン酸メチル |
243.4 |
パルミチン酸メチル |
271.45 |
ステアリン酸メチル |
299.51 |
オレイン酸メチル |
297.5 |
アラキジン酸メチル |
327.6 |
エイコセン酸メチル |
325.5 |
ベヘン酸メチル |
355.6 |
リグノセリン酸メチル |
383.7 |
PS-20 メチルエステル |
ACQUITY QDa SIR(m/z) |
カプロン酸メチル |
131.18 |
カプリル酸メチル |
159.24 |
カプリン酸メチル |
187.29 |
ラウリン酸メチル |
215.14 |
ミリスチン酸メチル |
243.4 |
パルミチン酸メチル |
271.5 |
ステアリン酸メチル |
299.5 |
オレイン酸メチル |
297.5 |
リノール酸メチル |
295.5 |
クロマトグラフィーソフトウェア: |
Empower 3 FR4 |
以前の試験で用いた分析法を出発点として、PS-20 または PS-80 の分析および定量のために、ターゲット分析種に対して高感度かつ特異的な分析条件を判断し、組織全体にわたって拡張可能・展開可能な幅広い適用可能性を持つ新しい MS ベースのプラットホーム分析法が開発されました6。 クロマトグラフィープロファイル、加水分解効率、検出器の感度、アッセイの直線性、抽出効率を分析法開発の基準とみなし、結果について以下のように考察しました。
クロマトグラフィーの最適化は、多くの場合、反復プロセスであり、ターゲット分析種のピークを様々な条件下で評価することで、ターゲットピークが隣接するピークから十分に分離され、共溶出を最小限に抑え、アッセイの正確度を高めるためのものです。MS ベースの分析法の場合、これはマトリックス効果によって課題となり、イオン化抑制によって分析感度が低下してスペクトルが複雑になることがあります。このことを念頭に分離条件を評価し、単一の分析法を使用して共溶出ピークを分離することにより、各種類のポリソルベートについて組成ごとに主要な脂肪酸を分離できるかどうかを判定しました(表 1)。表 1 を指針として使用し、市販の脂肪酸メチルエステルのパネルを純溶媒中に調製してグラジエント条件下で最適化し、ACQUITY QDa 質量検出器の SIR 機能を使用して、概念実証(proof-of-principle)を行いました。最適化した条件の結果を図 3 に示します。最適化プロセスの一環として、脂肪酸を十分に保持し、遅く溶出する分析種のピーク形状をテーリングに関して良好に維持するには、C8固定相を用いたカラム(製品番号: 186002877)が必要であることが分かりました。更に、C8カラムの保持力の向上により、スループットの点でより効率的な条件が確立できました。このケースでは、75% B から 100% B までの 18 分間のグラジエントを使用する場合、既存の HPLC ベースの ELSD 法や CAD 法と比べて、分離能の面で十分であり、スループットが中等度に向上することが分かりました。使用したメチル化脂肪酸のパネルは、表 1 に基づいてモニターする可能性のある分析種のサブセットであるため、必要に応じて合計分析時間を更に最適化できます。更に重要な点として、図 3 に示すように、最適化された条件を使用した場合、各ポリソルベートに含まれる主要な脂肪酸(青色のトレース)は、相互間並びに隣接するピークから十分に分離されると同時に(オレンジ色のトレース)、十分なグラジエントのスペースが得られて内部標準(点線)に対応することができました。良好な結果が観察されていることから、このグラジエントは進化するプラットホーム分析法の基礎となるでしょう。
ポリソルベートの分析においては、加水分解の手法が一般的に使用されています。加水分解は、プロファイルの組成情報を取り込むための GC-MS ベースの分析でより頻繁に使用されていますが、医薬品中のポリソルベート濃度の評価において、インタクト質量分析法のように定量情報を得ることもできます。更に、サンプルマトリックスや構成成分が、干渉したりインタクトレベルでの MS スペクトルの複雑さを増大させたりするような場合に、加水分解手法が必要になることがあります。このケースでは、加水分解ステップの間に、タンパク質マトリックスの基本アミノ酸への加水分解が並行して起きるため、マトリックスがポリソルベートの分析に干渉する可能性が低減します。加水分解の効率を評価するため、24 時間にわたる経時試験を実施し、定量的に 95% 超が切断される最適条件を決定しました。USP グレードのポリソルベート(Sigma Aldrich、製品番号:1547925-2G、CAS:9005-64-5)を含む原液の個々のアリコートを、Eppendorf 5 mL コニカルチューブ中で 65℃ において 0.5 M NaOH で塩基触媒加水分解し、時間間隔を徐々に増加させていきました。結果に悪影響を与える可能性のある蒸発による損失を最小限に抑えるため、バイアルを慎重に密封しました。次に溶液を酸性にした後、ヘキサンを用いて液-液抽出を行い、切断された脂肪酸を分離しました。分離した脂肪酸は次に、RPLC 条件下で最適化したグラジエントを用いて分離しました。目的のピークを波形解析し、ピーク面積を時間の関数としてプロットしました。図 4 に示すように、例としてポリソルベート 20 を使用した場合、PS-20(ラウリン酸)または PS-80(オレイン酸)の中の主要脂肪酸の 95% 超を切断するには、少なくとも 15 時間必要でした。このことは、ポリソルベートの強制分解試験において、切断効率について同様の挙動を観察した Hewitt らの研究結果と一致しています4。 この試験では、95% を超える脂肪酸の加水分解を保証しつつ、ある程度の変動に対応できる最適な加水分解時間は18 時間と判定されました。サンプルの定性的評価や診断ツールには、より短い加水分解時間が使用できることに注意が必要です。
以前のウォーターズの研究および文献に示されているように、遊離脂肪酸は容易にイオン化し、質量分析計をエンドポイント検出器として用いて検出することができます6。 ただし、表 1 に示すように、ポリソルベートの組成は、脂肪酸の種類や飽和度により異なり、これらがイオン化効率に影響する場合があります。この点を考慮して、最適化プロセス時における各ポリソルベートの主要な脂肪酸(ラウリン酸とオレイン酸)について、検出モード(ネガティブとポジティブ)および構造(メチル化と非メチル化)を評価しました。予測の範囲内ではありましたが、ラウリン酸(PS-20)のような飽和脂肪酸の場合、オレイン酸(PS-80)ほどはイオン化されず、ポジティブモードとネガティブモードのスペクトル強度を比較すると、最大 1 桁の差がありました(データは示していません)。興味深い点として、遊離脂肪酸の分析においては、水の損失を最小限に抑え、検出器のレスポンスを改善するためにネガティブモードが好まれることが多いですが、この試験でネガティブモードを使用した場合には、全体的な強度プロファイルに顕著な改善は見られませんでした2。 考えられる原因の一部として、ネガティブモードでの取り込みに最適化されていない分析法を使用したことが挙げられます。これらの結果を考慮して、MS レスポンスを改善する別の分析法を評価しました。最近、Ichihara らは、MS レスポンスを高める可能性のある手段として、1 時間で行える適用可能なメタノリシス/メチル化プロセスを提案しました7。 現行の分析法における加水分解要件に比べて反応時間が短いことから、Ichihara らの論文に掲載された加水分解後の 1 時間のメタノリシス/メチル化ステップを採用しました。簡単に説明すると、加水分解(8% 塩酸メタノールの存在下)に続いて、メチル化試薬をサンプルバイアルに添加しました。この際、結露の影響を低減するために、サンプルバイアル中のヘッドスペースを最小限にするように注意を払いました。ポジティブ MS モードでのイオン源内の水の損失の最小化、および検出器のレスポンスの増大について結果を評価しました。図 5 に示すように、ポジティブモードを検出に使用した場合、メチル化脂肪酸(ラウリン酸メチル)は、非メチル化脂肪酸(ラウリン酸)と比較して MS レスポンスが 10 倍増大していました。これは、部分的には、イオン源内での水の損失が低減したこと(メチル化脂肪酸では損失レベルが大幅に低減(メチル化 < 5%、非メチル化 ≥ 50%))、および気相中でのカルボニル基のプロトン親和性がカルボン酸基と比較して高いことによります。メチル化脂肪酸における感度の顕著な改善と、必要なサンプル前処理が最小限で済むことを考慮し、最適化した分析法に、加水分解ステップの後にメタノールを使用する 1 時間のメチル化ステップを追加しました。
遊離脂肪酸のメチル化により、MS レスポンスの増大に加えて、液体抽出ステップ中に相分離を誘発するために塩溶液を導入する(以前の分析法で提案)必要性が低減します。これにより、サンプル前処理が簡素化するとともに、MS イオン化効率を抑制し、全体的なアッセイ感度を低下させる可能性がある外からの塩の導入を低減できます。純標準試料を使用して吸引試験を実施し、メチル化脂肪酸の抽出効率を判定しました。ラウリン酸メチルとオレイン酸メチルの原液を、低濃度(50 ppm)、中濃度(250 ppm)、高濃度(500 ppm)で調製しました。タンパク質加水分解の副生成物(アミノ酸)がないメチル化後のサンプルマトリックスの組成プロファイルを正確に反映するサンプル溶液中に、等量のアリコートを添加しました。次に 1.0 mL のヘキサンおよび水をサンプルに添加し、軽くボルテックス混合してから遠心分離して、下の水層(塩/アミノ酸)と上の有機層(メチル化脂肪酸)に分離させ、3 mL のブラントチップハミルトンシリンジ(1725 RNR、GA 22/51 mm/pst 3)を使用して抽出を行いました。抽出したサンプルを個別のバイアルに移し、乾固させた後、75:25 MeCN:H2O に再溶解しました。このプロセスを、同じスパイクを行ったサンプルを使用して更に 2 回繰り返しました。RPLC-MS 法を使用し、抽出物を注入する際には、キャリーオーバーをモニターするために注入間にブランク注入を行いました。クロマトグラムは同じ解析メソッドを使用して波形解析し、抽出全体にわたる合計ピーク面積を使用して回収率(%)を決定しました。図 6 に示すように、高濃度レベルで添加したラウリン酸メチル(PS-20)の 99.2% が初回の抽出で回収され、残りのラウリン酸メチルは 2 回目の抽出ステップで抽出されました。注入間のキャリーオーバーは見られませんでした。ラウリン酸メチルとオレイン酸メチルの各濃度について、同様の抽出効率が観察されました(データは示していません)。これらの結果から、脂肪酸メチルエステルが高い効率で有機相に分配され、分析には有機相のわずかな一部またはアリコートしか必要でなく、最適化した分析法の抽出プロセスが大幅に簡素化されていることが示されました。
今回の試験結果の適用可能性を実証するため、ポリソルベート 20(サンプル 1)とポリソルベート 80(サンプル 2)を含む 2 種類の医薬品について、表 2 に示した最適化した分析法を用いてポリソルベート濃度を分析しました。定量目的のため、表 2 に示した原料の加水分解生成物に基づいて、ポリソルベートの種類ごとに検量線を作成しました。これにより、各サンプルのポリソルベート濃度の直接定量が可能になり、分析精度が向上します。更に、以前の分析法と同様に、Nu-Chek Prep, Inc. から購入したトリデカン酸メチル(PS-20)および cis-10-ノナデカン酸メチル(PS-80)の内部標準物質を用いて、サンプル前処理中の非特異的損失が説明できました(存在する場合)。
簡単に説明すると、6 種類のポリソルベート溶液を、原料であるポリソルベートの 1,000 ppm(wt/wt)の原液を LC-MS グレードの水に連続希釈して、50 ppm、100 ppm、150 ppm、200 ppm、250 ppm、300 ppm の濃度になるように調製しました。6 種類の溶液から 50 µL アリコートを内部標準 50 µL が入った 5 mL エッペンドルフのコニカルチューブに移し、続いて 0.5 M NaOH を 50 µL 添加しました。蒸発による損失を最小限に抑えるため、テープでコニカルチューブを慎重にシールしました。65℃ で 18 時間インキュベートした後、反応容器を室温まで冷却し、50 µL の 1.0 M HCl で酸性にしました。次に、メチル化試薬を添加した後、再度容器を慎重にシールし、メタノリシス/メチル化を行いました。100℃ で 1 時間インキュベートした後、反応容器を室温まで冷却し、ヘキサン 1 mL および水 1 mL を反応容器に添加しました。次に、反応容器をボルテックスし、遠心分離して、有機層と水層に分離しました。上層の有機層の一部(0.5 mL)を抽出し、真空遠心分離機を使用して乾固させました。次に、サンプルを 0.50 mL の 75:25 MeCN:H2O に再懸濁しました。サンプルは、サンプル 1 とサンプル 2 の 50 µL アリコートを用いて、同じ方法で同じサンプルを 3 つ調製しました。内部標準コントロールは、LC-MS グレードのメタノール中の 1,000 ppm(wt/wt)の原液を 75:25 MeCN:H2O 中に連続希釈して、濃度 100 ppm になるように調整しました。
図 7 に示すように、ポリソルベート原料を使用して最適化したプロトコルに従って検量線を生成した後、原薬サンプル中のポリソルベートの濃度を、各サンプルについて直接測定することができました。このケースでは、サンプル 1 には 152±2 ppm のポリソルベート 20 が含まれ、サンプル 2 には 242±6 ppm のポリソルベート 80 が含まれていることが分かりました。検量線の直線性が良好で、サンプルの 3 回の繰り返し測定における偏差が最小限であることから、分析種の濃度のわずかな変化を検出する ACQUITY QDa 質量検出器に一貫性と信頼性があることがわかります。分析法の感度は、サンプルおよび検量線を初期濃度の 20 倍に希釈してから、表 2 に示したサンプルおよび抽出容量で検出していることで実証されています。これに関連して、ACQUITY QDa 質量検出器により、分析法に、ppm 以下のレベルに近い範囲で脂肪酸メチルエステルを効果的に検出する能力がもたらされることがデータからわかります。ラウリン酸などの飽和脂肪酸(PS-20)のレスポンス係数が低いことを考慮すると、これは素晴らしい成果です。同様に、サンプルマトリックスの容量は、サンプルを濃縮または更に希釈するために容易に調整でき、ラボ間でのサンプル濃度の変動に対処するために必要な拡張性が得られます。これらの結果をまとめると、ポリソルベートを含むバイオ医薬品の分析および定量において、この改変した分析法が組織全体で幅広く適用できることを実証しています。
医薬品の安定性、安全性、有効性を確実にするためには、安定剤として使用されているポリソルベート 20 およびポリソルベート 80 などの界面活性剤の特性解析およびモニタリングが不可欠です。一方、ポリソルベートの原料に含まれる成分の多様性と様々な物理化学的特性により、ターゲット分析種に特異的で感度の高いプラットホーム様の分析法開発に伴う課題が増大します。この試験では、実行可能な MS ベースの加水分解法が高い感度および特異性を有し、ポリソルベート 20 やポリソルベート 80 を含むサンプルの分析に広く適用できることが実証されました。この方法は、ワンポット分析法として実施でき、サンプル処理の必要性が低減して、バイオ医薬品中のポリソルベートの直接測定に使用できます。ACQUITY QDa 質量検出器の高い特異性と感度により、RPLC グラジエントを用い、中等度のスループットで、ポリソルベート 20 とポリソルベート 80 の両方について目的の脂肪酸成分を検出することができます。更に、この分析法は拡張性が高いことから、ポリソルベートの種類および濃度範囲が異なるサンプルを複数のラボにわたって展開する際の柔軟性が向上します。以上をまとめると、これらの結果は、バイオ医薬品の開発および製造でのポリソルベート 20 またはポリソルベート 80 含有サンプルの分析におけるプラットホーム様の加水分解法の適用可能性と価値を実証しています。
Aude Smeets、Michel Gerodez、および Xavier Taillieu は、GSK 企業グループの従業員です。
Robert E. Birdsall、David Dao、Brooke M. Koshel、Ying Qing Yu(ウォーターズコーポレーション)、Aude Smeets、Michel Gerodez、Xavier Taillieu(GlaxoSmithKline)
720007249JA、2021 年 5 月