• アプリケーションノート

液体クロマトグラフィー高分解能質量分析計を用いた抽出物のスクリーニングでの分析検討事項

液体クロマトグラフィー高分解能質量分析計を用いた抽出物のスクリーニングでの分析検討事項

  • Rachel Sanig
  • Isabel Riba
  • Waters Corporation

要約

世界的な規制の増加に伴って、医薬品の包装材、食品に接触する材料、医療機器およびさまざまな産業にわたるその他の消耗品の、潜在的な抽出物・浸出物(E&L)の化合物成分のスクリーニングが、ますます重要になっています。消費者の安全を保証し、このような化合物によるリスクを低減するには、害を及ぼす可能性がある化合物を同定することが重要です。

高分解能質量分析と結合された液体クロマトグラフィー(LC-HRMS)は、不揮発性有機化合物の分析に一般的に採用される手法です。使用するスクリーニングメソッドは幅広い多様な化学物質をカバーし、低い濃度の化合物を検出できる高感度が必要です。サンプル抽出手法に関しては規制のガイダンスがありますが、分析装置でのスクリーニングメソッドの開発について、現在規則として定められたガイドラインがありません。分析者が自分自身で、可能性のある E&L 化合物の成分を分析する LC-HRMS スクリーニングメソッドを設計し、導入する必要があります。

この試験の目的は、既存の E&L スクリーニングメソッドおよびそれが通常の E&L 化合物に与える影響を評価し、一次通過の汎用スクリーニングメソッドでの分析法条件の適切な組み合わせを評価することです。抽出物・浸出物(E&L)の分析用の、LC-HRMS スクリーニングメソッドを設計するときに行うことがある、追加の検討事項も記載されています。

アプリケーションのメリット

  • 抽出物・浸出物のスクリーニングアプリケーション用の、初期の汎用 LC-HRMS メソッドのデザインでのヒントおよび検討事項
  • 幅広い化学的多様性を対象とする感度の高い一次通過の抽出物スクリーニングメソッド
  • 化粧品、食品に接触する材料、医薬品包装、医療機器の抽出物のアプリケーション用の高分解能質量分析計を用いた、簡潔な LC-MS メソッド

はじめに

世界的な規制の増加に伴って、医薬品の包装、食品が接触する材料、医療機器およびその他の多様な産業にわたる消耗品での抽出可能および浸出可能(E&L)化合物の成分スクリーニングは、ますます重要性が高まっています1,2。 消費者の安全を保証し、このような化合物によるリスクを低減するには、害を及ぼす可能性がある化合物を同定することが重要です。

これらの成分の製造プロセスを検討するとき、最初の原材料から最終製品までいくつかのステップがあり、これらのステップそれぞれにおいて追加の不純物および分解産物が発生し、潜在的な E&L が生成される可能性があります。これらの化合物は非常に複雑であり、多様な化学物質が含まれている可能性があり、スクリーニングおよび特性評価には幅広い分析手法が必要です。高分解能質量分析と結合された液体クロマトグラフィー(LC-HRMS)は、不揮発性有機化合物の分析に一般的に採用される手法です。使用するスクリーニングメソッドは幅広い化学物質をカバーし、低い濃度の化合物を検出できる高感度が必要です。

サンプル抽出手法に関しては規制のガイダンスがありますが、これらの分析装置でのスクリーニングメソッドの開発について、現在は規則として定められたガイドラインがありません3,4,5。分析者が自分自身で、可能性のある E&L 化合物の成分を分析する LC-HRMS スクリーニングメソッドを設計し、導入する必要があります。

この試験の目的は、既存の社内開発の E&L スクリーニングメソッドおよびそれが通常の E&L 化合物に与える影響を評価し、一次通過の汎用スクリーニングメソッドでの分析法条件の適切な組み合わせを評価することです。ここに記載されている分析法は最適化済みのものではありませんが、広範な既存の E&L スクリーニングメソッドに基づいて、限られた数の溶媒、添加剤、分析法条件を用いて開発されたものです。これは、可能性として多数の分析種およびケミストリーの種類にわたり、分析種のターゲットリストが必ずしも知られていない場合に、汎用 E&L スクリーニングメソッドについて組織内で最善のソリューションを見つけるためです。特定のケミストリーの特定の分析種については、より対象を絞った、最適化した分析法を推奨します。E&L の分析用の、LC-MS スクリーニングメソッドを設計するときに行うことがある、追加の検討事項も記載されています。

実験方法

分析プロトコル

標準試料注入前に、バックグラウンドノイズおよび汚染を最小限に抑えるために、酸、塩基および IPA を用いた徹底的な洗浄を含むクリーニングプロトコルをシステムに実施しました。さまざまな化合物種類を評価するために、2 種の混合標準試料(Waters LC-MS QC レファレンス標準試料(LC-MS 用混合液)および Waters E&L スクリーニング標準試料(E&L 混合液))を注入して、ネガティブおよびポジティブ ESI(エレクトロスプレーイオン化)の両モードでイオン化する幅広い極性、質量、化合物ケミストリーをカバーしました(表 1 および表 2)。メタノールのブランク注入を実行した後、ポジティブイオン化モードおよびネガティブイオン化モードの両方で各標準試料を 3 回注入しました。

表 1.  Waters LC-MS QC レファレンス標準試料(製品番号:186006963
表 2.  Waters E&L スクリーニング標準試料(製品番号:186008063

LC 条件

LC システム:

ACQUITY UPLC I-Class FTN

カラム:

CORTECS UPLC C 18 カラム、90 Å、1.6 µm、2.1 mm × 100 mm (Waters 製品番号:186007095)

カラム温度:

40 ℃

注入量:

1 μL

MS 条件

MS システム:

IMS QTof 質量分析計

コリジョンガス:

アルゴン供給

イオン化モード:

ESI+、ESI-

取り込みモード:

HDMSE

取り込み範囲:

m/z 50 ~ 1500

スキャン時間:

0.2 秒

イオン源温度:

120 ℃

脱溶媒温度:

500 ℃

脱溶媒ガス:

800 L/時間

コーンガス:

50 L/時間

レファレンス質量:

ロイシンエンケファリン [M+H]+ m/z 556.2766

ロイシンエンケファリン [M-H]- m/z 554.2620

キャピラリー電圧:

ESI+、ESI- 1 kV

コリジョンエネルギー:

ESI+

低エネルギー:6 eV

高エネルギーランプ:20~40 eV

ESI-

低エネルギー:6 eV

高エネルギーランプ:30~70 eV

データ管理

クロマトグラフィーソフトウェア:

UNIFI 科学情報システム v1.9.4

MS ソフトウェア:

UNIFI 科学情報システム v1.9.4

インフォマティクス:

UNIFI 科学情報システム v1.9.4

分析メソッド

3 つの移動相の組み合わせと 3 つのグラジエントを比較・評価しました。

移動相

移動相の組み合わせ 1(MPC 1)

移動相 A:

0.1% ギ酸水溶液

移動相 B:

0.1% ギ酸メタノール溶液

移動相の組み合わせ 2(MPC 2)

移動相 A:

水 + 1 mM 酢酸アンモニウム + 0.1% 酢酸

移動相 B:

メタノール

移動相の組み合わせ 3(MPC 3)

移動相 A:

水 + 1 mM 酢酸アンモニウム + 0.1% ギ酸

移動相 B:

メタノール + 1 mM 酢酸アンモニウム + 0.1% ギ酸

結果および考察

グラジエント比較

3 つの異なるグラジエント条件を、移動相の組み合わせそれぞれで評価しました。同様のトレンドがさまざまな移動相にわたって見られました。ここで強調表示されている結果は、移動相の組み合わせ 2(MPC 2)およびポジティブイオン化モードで得られたものです。

1. グラジエント 1

MPC 2 およびグラジエント 1 を使用して、LC-MS 混合液(図 1)および E&L 混合液(図 2)について得られた LC クロマトグラムが強調表示されています。LC-MS 混合液では、極性分析種がカラムから非常に速く溶出し、ボイドボリュームで溶出する一部の分析種が検出されないリスクが生じます。これらの早期に溶出する分析種も良好には分離されません。E&L 混合液では、良好なピーク形状が観察される場合であっても、分析種の多くが 4 分の時間帯に溶出しました。これは複雑な混合液では望ましくないことです。 

図 1.  LC-MS 混合液にグラジエント 1 を用いて得られた同定成分のクロマトグラム
図 2.  E&L 混合液にグラジエント 1 を用いて得られた同定成分のクロマトグラム

2. グラジエント 2

MPC 2 およびグラジエント 2 を使用して、LC-MS 混合液(図 3)および E&L 混合液(図 4)について得られた LC クロマトグラムが強調表示されています。LC-MS 混合液では、1 分のマークで溶出する極性分析種が多いほど、これらの分析種の分離は良好です。このグラジエントは有機移動相の比率が非常に低い状態で開始し、対象とするさまざまな種類のケミストリーの数が増加することから、初期の汎用スクリーニングメソッドに適しています。E&L 混合液では多くの分析種が 3 分の時間帯に溶出します。これにより分離が損なわれ、電荷の競合により、複雑な混合物での一部の分析種の検出が影響を受けます。

以下の Tinuvin 360 の場合に観察されるように、非極性分析種では検討する必要があります(図 4)。E&L 混合液では、極性が原因で Tinuvin 360 は最後に溶出する化合物になるはずですが、実際には Irganox 1076 が最後に溶出する分析種として観察され、Tinuvin 360 は全く観察されませんでした。この観察結果の可能性のある原因として、このグラジエントでの有機化合物の保持が短すぎて、分析種(Tinuvin 360)がカラムから溶出する時間がないことが考えられます。その後の E&L 混合液の注入で、Tinuvin 360 が 2 回目の注入で予測より早く溶出することによって、この推測が正しいことが示されました(図 5)。分析種が見つからないだけでなく、ターゲットスクリーニングで保持時間が不正確に記録される可能性があり、E&L 化合物の同定に影響を与えるため、上記は分析法開発の際に考慮することが重要な点です。

図 3.  LC-MS 混合液にグラジエント 2 を用いて得られた同定成分のクロマトグラム
図 4.  E&L 混合液にグラジエント 2 を用いて得られた同定成分のクロマトグラム
図 5.  E&L 混合液にグラジエント 2 を用いた注入 1 および注入 2 のクロマトグラム。注入 2 のクロマトグラムでは、Tinuvin 360 が青色のボックスで強調表示されています。

3. グラジエント 3

MPC 2 およびグラジエント 3 を使用して、LC-MS 混合液(図 6)および E&L 混合液(図 7)について得られた LC クロマトグラムが強調表示されています。LC-MS 混合液では、グラジエント 2 と同様に、開始時の有機移動相の比率が低いため、極性が高い分析種ほど、カラムでより適切に保持され、より良好な分離が観察されます。E&L 混合液では、大半の分析種がより広い時間帯で溶出して、分離が向上します。すべての注入で Tinuvin 360 が確実に最後に溶出される化合物にするために、有機化合物の保持は十分長くしました。

図 6.  LC-MS 混合液にグラジエント 3 を用いて得られた同定成分のクロマトグラム
図 7.  E&L 混合液にグラジエント 3 を用いて得られた同定成分のクロマトグラムTinuvin 360 が青色のボックスで強調表示されています

4. グラジエント比較のサマリー

これらの実験から、汎用 E&L スクリーニングメソッドを開発するには、グラジエント開始条件での低割合の有機移動相、およびグラジエント終了時の有機移動相の保持が、広範囲の分析種の検出にとって不可欠であると結論できます。これらの要因はグラジエント 3 で相互に結合されており、化合物の全範囲にわたって良好なレベルの分離が得られる一方、ボイドボリュームやカラムでの保持過剰による分析種が見つからないリスクが低減されます。

移動相の比較

3 つの異なる移動相の組み合わせを、3 つの異なるグラジエントそれぞれで評価しました。大半の分析種では、さまざまなグラジエントにわたって類似した結果が見られました。そのため、ここではグラジエント 3 で得られた結果を強調します。それぞれの移動相の組み合わせでの 3 回の繰り返し注入にわたる各分析種の平均 MS(質量分析)レスポンスが示されているチャートから、結果がわかります。移動相の組み合わせ 1(MPC 1)がピンク色で、移動相の組み合わせ 2(MPC 2)が青色で強調表示され、移動相の組み合わせ 3(MPC 3)が緑色で強調表示されています。

1. ポジティブモード

「実験方法」セクションに記載された 3 種の移動相の組み合わせを使用して得られた、LC-MS および E&L 混合液中のすべての分析種のポジティブイオン化レスポンスを示すグラフが、図 8 に示されています。分析種の大半では、移動相の組み合わせ全体でわずかな変化しか示されていません。E&L 混合液の分析種では、ポジティブモードで MPC 2 または MPC 3 を使用する場合にレスポンスの増加が示されています。 

図 8.  ポジティブイオン化モードにおいて、移動相の組み合わせがすべての分析種に対する感度(3 回の注入の平均レスポンス)に与える影響(MPC 1 ピンク色、MPC 2 青色、MPC 3 緑色)

2. ネガティブモード

図 9 には、ネガティブイオンモードにおいて LC-MS 混合液および E&L 混合液の分析種に使用した移動相の組み合わせが示されています。ネガティブモードで MPC 1 および MPC 2 を使用する場合、分析種の範囲にわたって、レスポンスが MPC 3 と比較して増加することが示されています。

図 9.  ネガティブイオン化モードにおいて、移動相の組み合わせがすべての分析種に対する感度(3 回の注入の平均レスポンス)に与える影響(MPC 1 ピンク色、MPC 2 青色、MPC 3 緑色)

3. 移動相の比較のサマリー

移動相の比較により、移動相の組成が分析種のイオン化に与える影響がわかります。初期の汎用スクリーニングメソッドでは、特定の分析種の種類に対して強いバイアスがない添加剤を見つけることが重要です。上記に示されているデータから、ポジティブイオン化モードおよびネガティブイオン化モードの両方で、ほとんどの分析種にわたって、移動相の組み合わせ 2 で最高の平均レスポンスが得られました。

図 8 および 9 に、それぞれの分析種で観察されたすべての付加イオンについてのレスポンスの組み合わせが示されています。そのため、抽出可能化合物のイオン化では、移動相に添加剤を使用する場合に、分析種の選択に強いレスポンスが生じる場合があるため、付加イオンの形成を検討することが重要です。抽出可能化合物の化学構造によって異なりますが、酢酸アンモニウムなどの添加剤が含まれている移動相を使用する場合、アンモニウム付加イオンの形成が好ましい場合があります。

酢酸アンモニウムなどの添加剤を移動相に添加すると、さまざまな種類の付加イオン([M+NH4]+、[M+Na]+)が形成されることがあります。プロトン化分子より強力な可能性があるため、分析種全体のレスポンスで、これ.を考慮する必要があります。

追加の検討事項

調査および比較の作業を経て、分析種の範囲およびさまざまなイオン化モードにわたって、良好なクロマトグラフィー分離と MS レスポンスの最善の妥協を得るのは、グラジエント 3 および移動相の組み合わせ 2 であることが認められました。汎用 E&L スクリーニングアプリケーションのメソッドを改善するための、追加の検討事項について説明します。

1. 溶媒の評価

E&L スクリーニング試験を実施する際には、LC クロマトグラムでのバックグラウンドマトリックスを減らすのに役立つ、溶媒および添加剤の品質を検討することが重要です。さらに、添加剤の強度を評価することも重要です。ギ酸は酢酸より酸性が強いため、イオン化に適しています(酢酸の pKa は約 4.8、ギ酸の pKa は約 3.8 で、移動相でのこの酸の濃度が同じ場合、ギ酸で低い pH が得られます)。E&L 混合液を用いてさらに評価した結果、MPC 2 の移動相 A にギ酸を代替添加剤として使用した場合、大半の E&L 分析種混合液のレスポンスがわずかに増加することが示されました(図 10)。 

図 10A および 10B.  ポジティブイオン化モード(A)およびネガティブイオン化モード(B)で E&L 混合液についての、ギ酸のレスポンス(青色)および酢酸のレスポンス(ピンク色)の比較

2. 圧力の変動

多くの場合、E&L スクリーニングメソッドは、圧力限界が異なるさまざまな LC システムにわたって移管されます。使用した有機移動相はメタノールであり、アセトニトリルよりも粘度が高いため、低い圧力限界によるシステムの圧力超過を避け、この影響を軽減するために流速を下げ、この影響を緩和するためにカラム温度を上げました。流速を下げることにより、有機化合物の保持がさらに増加し、この変化の主要原因でした。

3. 最終分析法条件

既存の LC-MS スクリーニングメソッドを評価し、さらに検討した後、社内での E&L LC-HRMS スクリーニング用に選択された最終の汎用スクリーニング条件が、以下に示されています。

UPLC 条件

カラム:

Waters CORTECS UPLC C18 カラム、90 Å、1.6 µm、2.1 × 100 mm (製品番号:186007095)

カラム温度:

50 ℃

注入量:

1 μL

移動相の組み合わせ

移動相の組み合わせ

移動相 A:

水 + 1 mM 酢酸アンモニウム + 0.1% ギ酸

移動相 B:

メタノール

グラジエント

結論

最初の一次通過の汎用 E&L スクリーニングメソッドを評価しました。ここで説明されているメソッドは、既存のメソッドを組み合わせて開発されたものであり、最初の原理からメソッドを作成することは、この試験の目的ではなかったことを考慮することが重要です。さまざまなケミストリーの種類での多様な条件の影響を評価するために、徹底した試験および比較の作業が実施されました。E&L 分析者をサポートするための単一の汎用スクリーニングメソッドを作成するため、さらなる検討が行われました。

上述の実験で開発された分析法により、遅く溶出する化合物のキャリーオーバーのリスクが最小限に抑えられ、早期に保持された化合物のクロマトグラフィー分離能が向上します。さらなる変更により、圧力限界が異なるさまざまな LC システムにわたって、この分析法の移管が可能になり、溶媒強度も考慮されます。これによって広い極性範囲にわたって最高の全体感度が示され、特定のケミストリー種類へのバイアスもありませんでした。

全般的に、E&L 用の LC-MS スクリーニングメソッドを開発および合理化する際に考慮する、以下の主要な観察事項が実証されました。

- 汎用スクリーニングメソッドのクロマトグラフィーグラジエントを作成するとき、幅広い極性分析種を捕らえる一方で、カラムで保持しないまたはカラムでの保持が多すぎることによる分析種が失われるリスクを最小限に抑えるために、開始時の有機溶媒の割合および有機溶媒のホールドの長さが重要です。

- 移動相を選択するとき、特定の分析種へのバイアスを示さない溶媒、添加剤、バッファーの組み合わせを選ぶことは、最初の汎用スクリーニングメソッドでの適切な開始点です。移動相でバッファーを使用することは、望ましくない付加イオンの形成を抑えながら、一部の代表的な抽出物のレスポンスを向上させるのに役立つ場合があります。

まとめると、このアプリケーションノートでは、E&L の最初の汎用スクリーニングメソッドの開発のための推奨事項が記載されています。ただし、この分析法を特定の分析種のセットに採用する場合や、存在するケミストリーの種類が既知である場合は、さらに最適化することを推奨します。ポジティブイオン化モードおよびネガティブイオン化モードにおいて多種多様な移動相と添加剤を活用することで、より対象を絞ったスクリーニングメソッドが得られます。

参考文献

  1. Food and Drug Administration, 2000, Code of Federal Regulation Chapter 21.
  2. Official Journal of the European Union, 2011, Regulation 10/2011/EU.
  3. Food and Drug Administration, 2015, Analytical Procedures and Methods Validation for Drugs and Biologics Guidance for Industry https://www.fda.gov/files/drugs/published/Analytical-Procedures-and-Methods-Validation-for-Drugs-and-Biologics.pdf.
  4. Norwood, D.L., Paskiet, D., Ruberto, M. et al.Best Practices for Extractables and Leachables in Orally Inhaled and Nasal Drug Products: An Overview of the PQRI Recommendations.Pharm Res 25, 727–739 (2008). https://doi.org/10.1007/s11095-007-9521-z.
  5. ISO 10993–18:2020 Biological evaluation of medical devices–Part 18: Chemical Characterization of Medical Device Materials within a Risk Management Process, https://www.iso.org/standard/64750.html.

720007492JA、2022 年 1 月

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