ACQUITY™ Premier および Xevo™ TQ-S Micro を用いた動物用医薬品の分析性能の向上
要約
MaxPeak™ High Performance Surfaces(HPS)を採用することで、液体クロマトグラフィー-タンデム質量分析(LC-MS/MS)における金属に吸着しやすい化合物との相互作用が低減し、化合物のレスポンスが向上します。今回、主要なクラスを代表するさまざまな動物用医薬品の分析における Waters™ ACQUITY™ Premier UPLC™ システムである Xevo TQ-S Micro の有用性を実証し、金属に吸着しやすいことが既知であるテトラサイクリンに対する MaxPeak High Performance Surfaces (HPS)の性能の向上について説明します。
アプリケーションのメリット
金属に吸着しやすい動物用医薬品に対する感度が向上し、以前の分析法の検出限界が拡張
はじめに
食品に含まれる動物用医薬品のモニタリングは、公衆衛生および貿易において重要です。これらの医薬品には極性が非常に高いものから非極性のものまで、多様な化学的性質が見られますが、一部の医薬品(特にテトラサイクリン)は金属イオンに対して親和性があり、ステンレススチール製の流路を使用するクロマトグラフィーシステムでは、望ましくない相互作用が発生する場合があります。今回、牛乳に含まれる各クラスを代表するさまざまな動物用医薬品化合物の分析において、MaxPeak HPS の採用により、金属に親和性を示す化合物との相互作用を防ぐ Waters ACQUITY Premier システムの応用について紹介します。また、金属に吸着しやすい動物用医薬品を分析する場合の性能上のメリットについて、一般的なステンレススチール製 UPLC との比較を示します。
実験方法
サンプル前処理として、参考文献(1)に記載されているプロトコルを使用して、18 種の動物用医薬品標準試料を、牛乳サンプルに 1 ~ 50 µg/kg の濃度範囲でスパイクしました。Waters Xevo TQ-S micro タンデム四重極型質量分析計に接続した Waters ACQUITY Premier システムまたは Waters ACQUITY UPLC H-Class を使用してサンプルを分析しました。流路とグラジエント送液ができる限り同一条件になるように、いずれの UPLC システムにもクオータナリーポンプとフロースルーニードル(FTN)オートサンプラーを使用しました。ACQUITY Premier では ACQUITY Premier BEH™ C18 1.7 µm 2.1 × 100 mm カラムを使用し、ACQUITY UPLC H-Class では ACQUITY UPLC BEH C18 1.7 µm 2.1 × 100 mm カラムを使用しました。両方の LC システムで溶媒(A)0.1% ギ酸と(B)メタノールを使用し、初期混合液 2% B を 2 分間ホールドし、次に 5 分間にわたって 30% ~ 80% B のグラジエントを適用し、最後の 2 分間で 45% B から 70% B まで急に上昇させました。MS/MS 分析では、化合物ごとに 2 つのトランジションを使用しました。イオン源およびコリジョンセルのパラメーターはこの装置用に最適化されており、マルチプルリアクションモニタリング(MRM)トランジションについては参考文献(1)に記載されています。
結果および考察
ACQUITY Premier-Xevo TQ-S micro システムを使用した場合、動物用医薬品のすべての主要なクラスを代表するように選択した 18 種の被験化合物が、マトリックス中にキャリブレーション範囲全体にわたって良好な直線性を示して正常に検出されました。これらの結果は、ACQUITY Premier が動物用医薬品のすべての主要なクラスの分析に適していることを示しています。表 1 に、18 種類の動物用医薬品について、直線性と R2 をまとめています。被験化合物の直線性の範囲は 2 ~ 50 µg/kg 以内、R2 は 0.990 超、残差は 15% 未満であることがわかりました。
2 つのシステムで生成されたデータを比較したところ、HPS を採用したシステムを使用した場合に、金属に吸着しやすいテトラサイクリン化合物の感度が向上していることが分かりました。図 1 に、MaxPeak HPS と表面加工されていない標準的な UPLC システムの間の、キャリブレーションポイント全体にわたるピーク面積の差(%)を示します。MaxPeak HPS を使用すると、これらの化合物が UPLC システムおよびカラム内部の金属表面と相互作用しなくなるため、化合物のレスポンスが 60 ~ 90% 増加し、面積カウントでのレスポンスが増加します。図 2 に、これら 2 つのシステムで得られた 3 種のテトラサイクリン化合物の MRM クロマトグラムを示します。
結論
ACQUITY Premier は、食品マトリックス中の動物用医薬品の分析に適しています。さらに、このシステムでは MaxPeak HPS の金属の相互作用が低減することで、牛乳マトリックス中の動物用医薬品を分析する際における、金属に吸着しやすい化合物(この例ではテトラサイクリン)に対する感度が向上します。
参考文献
- Michael S. Young, Kim Van Tran.Optimized Extraction and Clean-up Protocols for LC-MS/MS Multi-Residue Determination of Veterinary Drugs in Milk.Waters Application Note, 720004089EN, August 2011.
720007545JA、2022 年 2 月