• アプリケーションノート

Xevo™ G3 QTof、BioAccord™ LC-MS システムおよび waters_connect™ インフォマティクスを用いたバイオ医薬品タンパク質の特性解析および特性モニタリング

Xevo™ G3 QTof、BioAccord™ LC-MS システムおよび waters_connect™ インフォマティクスを用いたバイオ医薬品タンパク質の特性解析および特性モニタリング

  • Kellen DeLaney
  • Samantha Ippoliti
  • Ying Qing Yu
  • Waters Corporation

要約

バイオシミラーのモノクローナル抗体(mAb)医薬品の普及が進むにつれて、それらの分析上の同等性を適切に評価するための効率的なツールが強く求められています。これらのツールにより、ペプチドマッピングによる特性解析試験(特性の定義)における翻訳後修飾(PTM)の位置特定、開発および商品化におけるサンプル全体にわたる主要な製品特性やプロセス特性の相対存在比のモニタリングなど、詳細なペプチドレベルの分析が可能になると考えられます。コンプライアンス対応の waters_connect インフォマティクスプラットホームは、取り込みから分析、レポート作成までのワークフローを実行するための、効率的なアプリベースの自動ワークフローを提供します。この試験では、ACQUITY™ Premier UPLC™ システムと接続した Xevo G3 QTof 質量分析計で、waters_connect UNIFI™ アプリのペプチドマッピングワークフローを使用して特性解析を行いました。ペプチドマッピングデータを解析した後、選択した特性のペプチドをサイエンスライブラリー内のカスタムデータベースに追加し、続いてターゲット分析のために Peptide MAM アプリにインポートしました。Peptide MAM アプリを使用し、BioAccord LC-ToF 質量検出システムで、バイオシミラーサンプルおよび苛酷条件全体にわたって特性をモニターしました。結果から、複数の目的に適合した LC-HRMS 装置プラットホームにまたがる特性解析およびモニタリングのための合理化された統合ワークフローであることが示されました。

アプリケーションのメリット

  • Xevo G3 QTof を使用した修飾の位置特定を伴う、イノベーターおよびバイオシミラー mAb の信頼性の高いペプチドマッピング
  • ネットワーク対応の waters_connect インフォマティクスプラットホーム内の装置全体にわたって、分析法をシームレスに移管
  • ターゲット特性モニタリングおよび「新規ピーク」検出に基づく純度評価をサポートする BioAccord システムでのペプチドの MAM 分析のための効率的なコンプライアンス対応ワークフロー

はじめに

モノクローナル抗体(mAb)医薬品を上市する前に、その重要品質特性(CQA)を慎重に評価して、製造プロセスにおいて製品の安全性と有効性が維持できることを確認する必要があります。このプロセスには、ペプチドマッピングを使用したタンパク質の特性解析が含まれ、これには潜在的な CQA の同定を容易にするために、mAb の高いシーケンスカバー率と修飾の位置特定の両方が必要です。また、開発および商品化の進捗に応じて、サンプル全体にわたってこれらの特性をモニターすることが必要です。CQA の存在量の変化により、製品の有効性、安全性、プロセスの頑健性に関連する要因に関する情報が得られます。上市する新製品、および同じ配列を持つが製造プロセスの違いにより一部の特性のレベルが変化している可能性があるバイオシミラー医薬品において、CQA の適切な評価が重要になります。バイオシミラーとしての同等性の判定には、バイオシミラー製品のイノベーターレファレンス物質との特性の比較、および苛酷処理や強制分解時の挙動のプロファイルが同等であることの両方が含まれます。従来、これは個々の特性を評価するために最適化された複数の直交する分析手法を必要とするプロセスでした。しかし現在では、単一の LC-MS 分析メソッドを使用して、複数のサンプルにわたる多数のターゲット特性を定量できる、マルチ特性分析(MAM)の使用がますます増えています。

タンパク質特性解析のためのペプチドマップには通常、特性を正確に同定するために、MSMS 機能を備えた高分解能質量分析計が必要ですが、これらの特性のモニタリングは、サイズが小さく低コストで、MS の専門家でないユーザーに適した、簡単に操作できるよりシンプルな質量分析計で行うことができます。統合型 waters_connect インフォマティクスプラットホームにより、コンプライアンス対応の環境において、LC-MS 装置間で分析法をシームレスに移管することができます(図 1)。この試験では、最新世代の Xevo G3 QTof 質量検出器で、waters_connect インフォマティクスプラットホーム内でペプチドマッピングおよびモニタリングワークフローを実施する方法について実証します。4 種類のインフリキシマブのサンプル(イノベーターの Remicade™ およびバイオシミラーの Inflectra™、Avsola™、Renflexis™)のペプチドマップを、脱アミド化、酸化、リジン切断、グリコシル化などの特性について分析しました。トリプシン消化 mAb サンプルのペプチド特性解析を、翻訳後修飾(PTM)の同定および位置特定のために、waters_connect に統合された UNIFI アプリケーションを使用して、Xevo G3 QTof 装置で行いました。特性のモニタリングは、統合型 Peptide MAM アプリケーションを使用して、BioAccord LC-MS システムで行いました2。 熱ストレス試験において、複数のバイオシミラーおよび複数のタイムポイントにわたって、特性を高い再現性でモニターすることができました。

図 1.waters_connect インフォマティクスプラットホーム内でのタンパク質特性解析(特性定義)および特性モニタリングのワークフロー。

実験方法

サンプルの説明

インフリキシマブサンプルを、37 ℃ で、ゼロ(ストレスなし)、1 週間、または 2 週間、熱ストレス処理した後、還元、アルキル化、脱塩、トリプシン消化、0.1% ギ酸による酸性化を行い、最終濃度 0.2 µg/µL に希釈しました。

MS 条件

LC システム:

ACQUITY Premier UPLC システム – BSM 構成

検出:

ACQUITY Premier TUV、10 mm 分析フローセル、λ = 214 nm

バイアル:

MaxPeak HPS を採用した QuanRecovery™ バイアル(製品番号:186009186)

カラム:

ACQUITY Premier Peptide CSH C18 130 Å 1.7 μm、2.1 ×100 mm

カラム温度:

60 ℃

サンプル温度:

8 ℃

注入量:

2 µL

流量:

0.200 mL/分

移動相 A:

0.1% ギ酸水溶液(LC-MS グレード)

移動相 B:

0.1% ギ酸アセトニトリル溶液(LC-MS グレード)

グラジエント:

50 分で 1 ~ 35 %B のグラジエント(合計実行時間 80 分)

特性解析のMS 条件

MS システム:

Xevo G3 QTof

イオン化モード:

ESI+

取り込み範囲:

m/z 100 ~ 2000

キャピラリー電圧:

2.2 kV

コリジョンエネルギー:

低エネルギー:6 V

高エネルギーランプ:20 ~ 50 V

コーン電圧:

20 V

ソース温度:

120 ℃

脱溶媒温度:

350 ℃

コーンガス:

35 L/時間

脱溶媒ガス:

600 L/時間

インテリジェントデータキャプチャー(IDC)

低(5)

モニタリングのMS 条件

MS システム:

BioAccord システム

イオン化モード:

ESI+

取り込み範囲:

m/z 50 ~ 2000

キャピラリー電圧:

1.2 kV

コーン電圧:

30 V

フラグメンテーションコーン電圧:

60 ~ 120 V

脱溶媒温度:

350 ℃

インテリジェントデータキャプチャー(IDC)

オン

データ管理

データの取り込みおよび解析には、統合型 UNIFI アプリケーション(バージョン 3.1.0.16)および Peptide MAM アプリケーション(バージョン 1.5.0.13)を搭載した waters_connect インフォマティクス(バージョン 2.2.0)を使用しました。

結果および考察

バイオシミラー mAb 医薬品を発売する前に、CQA を同定し、先発医薬品と比較して相対定量する必要があります。以前、Xevo G3 QTof 質量分析計でこのワークフローを実施する方法を説明しています3。 今回、Xevo G3 QTof で特性解析した後の特性のモニタリングのために、ワークフローを QC に適した BioAccord LC-MS システムに移行する方法を実証します(図 1)。

各 mAb のトリプシン消化サンプルを、Xevo G3 QTof 質量分析計に接続した ACQUITY Premier UPLC システムで分析しました。MSE(データインディペンデント取得)を、低レベルの修飾を受けたペプチドを含むペプチドの同定に使用しました。データは、waters_connect UNIFI アプリを使用して取り込み、統合ペプチドマッピングワークフローを用いて解析しました。各インフリキシマブサンプルを、精密質量(5 ppm 以内)および高エネルギーデータチャンネルのフラグメントイオン(b/y イオン ≥3)に基づいて、シーケンスカバー率 95% 以上で特性解析しました。さらに、6 ヵ所の酸化 PTM、12 ヵ所の脱アミド化 PTM、28 ヵ所のグリコシル化 PTM が同定されました。図 2 に、非修飾型および酸化型の 2 つのペプチド(重鎖トリプシン消化ペプチド(HT)-02 および HT-11)の高エネルギー MSE スペクトルを示します。各ペプチドのアミノ酸骨格間におけるフラグメントイオンのマッチングのカバー率が高いことにより、ペプチド割り当ての確実な同定、およびペプチド配列内の別々のアミノ酸に対する修飾の位置特定を行うことができます。スペクトルがデータインディペンデント取得で取り込まれているため、分析法開発が簡素化した一方で、質の高い割り当てが保たれました。

図 2.(左)重鎖トリプシンペプチド 02(HT02)および(右)HT-11 の、(上)非修飾型および(下)酸化型の Xevo G3 QTof LC-MSE 高エネルギーフラグメンテーションスペクトル。これにより、各ペプチドの酸化部位の位置特定が可能になりました。

各バイオシミラーの分析上の同等性を確立するために、waters_connect インフォマティクスプラットホーム内の MAM ワークフローでモニタリングする特性を選択することができます。これには、効率化したデータ取り込み、解析、レポート作成が含まれます。修飾型および非修飾型を含むターゲットモニタリング用に選択した各ペプチドを、カスタムサイエンスライブラリーに追加することができます。waters_connect のサイエンスライブラリーは、成分のレポジトリーとしての役割を果たし、これを後でターゲット分析に使用して、質量、電荷、保持時間をはじめとする多数の特性に関連する情報を保存することができます。サイエンスライブラリーは、マニュアルのデータ入力を必要とせずに各分子ごとに作成することができるとともに、データのトレーサビリティーを維持することができます。モニターする特性を選択すると、それらをサイエンスライブラリーから Peptide MAM アプリの分析メソッドにインポートしてモニタリングすることができます。表 1 に、この試験でのモニタリング用に選択した特性のリストを示します。 

表 1.Peptide MAM アプリでのモニタリング用に選択した潜在的 CQA のリスト。

さまざまなサンプルセットにわたる特性のモニタリングを、BioAccord LC-MS システムで実行しました。BioAccord LC-MS システムは、特性に基づく分析において頑健で質の高い結果が得られる、非常に使いやすく目的に適合した TOF ベースの HRMS プラットホームです。今回、Xevo G3 QTof MS で同定された特性のサブセットを使用しました。これらの特性を、インフリキシマブバイオシミラー製品のサンプルおよび苛酷試験で強制分解にさらしたサンプルにわたってモニターしました。システム適合性注入をサンプル注入の間にはさみ、システムが確立された性能仕様の範囲内の結果を生成していることを確認しました。これらのシステム適合性注入には、MassPREP™ ペプチド混合液(製品番号:186002337)を使用しました。これらの注入は、Peptide MAM アプリのサンプルリストでフラグ付けされ、質量誤差、保持時間誤差、レスポンス、ピーク幅などの指定した基準に基づいて評価されます。Peptide MAM アプリで結果を解析した後、図 3A に示すように、システム適合性注入を個別にレビューすることができます。ペプチドの測定は、各クロマトグラムとして、またはすべてのシステム適合性注入全体にわたるトレンドとして視覚化することができ、各注入の合格/不合格基準の評価、およびサンプルシーケンスにおける系統的なシフトの特定が可能になります。

サンプルシーケンス全体にわたって特性をモニターする場合、すべてのサンプル注入について指定されたレファレンス注入に対する保持時間のアライメントを行って、適切なピークの共検出を確保します。長いシーケンスの最後の注入の、保持時間に関するアライメントの例を図 3B に示します。上の重ね描きクロマトグラム(青色はレファレンスサンプル、オレンジ色は現在のサンプル)はアライメント前、下の重ね描きクロマトグラムはアライメント後を示します。UPLC システムの頑健な性能により、アライメント前のクロマトグラムもよく一致していますが、保持時間のアライメントにより、すべての注入のクロマトグラムをほぼ完全に重ね合わせることができます。保持時間のアライメントの結果をレビューした後、図 3C に示すように、モニタリングする特性の相対的定量を、サンプルごとまたは特性ごとにすぐに棒グラフとして表示することができ、データの迅速な評価が可能になります。View Injection(注入を表示)タブをクリックすると、図 3D に示した情報が表示され、個別の特性の詳細を調べることができます。ここでは、各ペプチド型に対応するピークをクロマトグラムおよび質量スペクトルとして表示することができます。

図 3.Peptide MAM アプリのワークフローのステップ。これには、(A)システム適合性注入のレビュー、(B)保持時間のアライメント、(C)モニタリングした特性のレビュー、(D)個々の注入の特性の調査が含まれます。

Peptide MAM アプリを使用して、4 種類のインフリキシマブ製品にわたる C 末端リジン切断およびグリコシル化の相対的定量の結果を生成しました。図 4 に、3 種類のバイオシミラー(Inflectra、Avsola、Renflexis)を、イノベーター(Remicade)と比較した結果をまとめています。各サンプルの 3 回繰り返し注入について、平均相対標準偏差は 4% 未満でした。この再現性の高さにより、モニターするペプチド型の相対レベルの違いを判定することができました。C 末端リジンの存在量は、Remicade、Inflectra、Avsola で 80 ~ 90% と同様でしたが、Renflexis では 20% 未満とはるかに低い値でした。リジン切断は、バイオ医薬品製造で見られる一般的な修飾であり、受容体への結合に影響する可能性があるため、この測定は重要です4

HT-26 ペプチドのさまざまな N グリコフォームの存在量も、サンプル間で異なっていました。各製品は異なる細胞株に由来するため(Remicade と Inflectra はマウス由来、Avsola と Renflexis はチャイニーズハムスター卵巣細胞株由来)、グリコシル化の違いが予想されます。これらの違いは医薬品の免疫原性、PK、受容体との相互作用に影響する可能性があるため、これらを定量することは重要です。G0F が 4 サンプルすべてで最も多いグリコフォームで、その存在量は、Avsola で 73% と最も多く、Inflectra で 54% と最も低いという結果でした。2 番目に多いグリコフォームである G1F は、約 20 ~ 40% の範囲でさまざまでした。あまり多くないグリコフォーム(G2F、G0F-GlcNAc、G1F-GlcNAc)もサンプル間でさまざまでした。最も注目すべき点は、G1F-GlcNAc が、Remicade の約 2% から 3 種類のバイオシミラーの約 0.3% までさまざまであることです。

図 4.イノベーターインフリキシマブ(Remicade)と 3 種類のバイオシミラー(Inflectra、Avsola、Renflexis)の間のリジン切断および N グリコシル化の比較。

サンプル間の相違をさらに調査するため、イノベーターと 1 種類のバイオシミラー(Inflectra)について、強制分解苛酷試験を実施しました。加速苛酷試験は、予想される上限値以上の条件に医薬品をさらすことで、医薬品の有効期限と安定性を評価する上で役立ちます5。 今回、サンプルを 37 ℃ で 1 週間および 2 週間熱ストレスにさらし、複数のペプチドにおける酸化または脱アミド化の程度を定量しました。結果は図 5 にまとめており、青色は Remicade、オレンジ色は Inflectra で、色が濃いほどストレスの持続時間が長いことを示します。全般的に、各ペプチドの脱アミド化の割合は 2 つのサンプル間で一致しており、熱ストレスの時間が長くなるにつれて増加しました。いずれのサンプルでもペプチドの酸化には明確な傾向はありませんでしたが、違いは認められました。バイオシミラーは、ストレスに対して同一のレスポンスを示すとは予想されませんが、同様の経路で分解されると予想されます。ただし、何らかの違いが認められた場合は、リスク評価を行って、医薬品の安全性および適切な取り扱いに対する潜在的な影響を判定する必要があります。

図 5.T0(苛酷処理なし)、T1w(1 週間)、T2w(2 週間)の 3 つのタイムポイントにおいてイノベーターインフリキシマブ(Remicade)とバイオシミラー(Inflectra)を比較する強制分解試験(高温)。

同等性の評価では、主要特性および重要特性の相対的定量に加えて、バイオシミラーサンプルで変動率が大きい「新規ピーク」をモニターすることが重要になる場合がしばしばあります。新規ピーク検出は、MS データチャンネルの新規の特性または変化した特性(つまり、レファレンスサンプルに存在せず、ターゲット特性のリストに含まれない「ピーク」)を認識するため、製品純度の試験として使用される Peptide MAM ワークフローの重要な要素です。MAM アプリの NPD(新規ピーク検出)の機能に関する詳細は、最近のアプリケーションノートで公表しています6。このステップは、苛酷処理サンプルの不純物分析や、相違を迅速に評価するのに役立ちます。新規ピーク検出機能により、図 6 に示す基準を使用して、苛酷処理サンプルの「新規ピーク」が 40 個検出されました。これらのピークの特性を左の表示にまとめています。Review(レビュー)リンクをクリックすると、新規ピークのデータレビュー画面が開き、各ピークをさらに調査することができます。ここで各ピークを、ユーザーが偽陽性と判定した場合に拒否することもできれば、さらなる調査が必要な新規ピークである場合には確認済みとマークすることもできます。確認済み新規ピークは、MSE 高エネルギーデータチャンネルからのフラグメンテーションデータに割り当てを確認するのに十分な特徴的な b/y イオンが見られる場合は UNIFI アプリのペプチドマッピングワークフローを使用して、あるいはターゲットペプチド MSMS を使用するそれ以降の調査により、同じデータセットから迅速に同定することができます。図 6 に示した例は、ペプチドマッピングのデータ解析で、HT 9-10 ペプチドの切れ残りと同定されました。これは、苛酷処理関連の不純物ではなく、サンプル前処理時のアーティファクトである可能性があります。いずれの場合も、必要に応じてさらに調査できるように、任意の新規ピークにフラグを付けることができます。

図 6.Peptide MAM アプリで、レファレンスサンプルとしてのイノベーターインフリキシマブ(Remicade)をバイオシミラーサンプル(Inflectra)と比較した新規ピーク検出の結果。これには、(左)指定した比較基準が含まれる New Peak Detection Summary(新規ピーク検出サマリー)画面、および(右)後で切れ残り消化生成物として同定された個々の「新規」ピークのレビューが含まれます。「新規」ピークのユーザー評価および承認/拒否のために、抽出イオンクロマトグラムと同位体プロファイルが表示されています。

結論

バイオシミラー mAb は、イノベーターと同一の一次配列を有しますが、製造過程における違いが、医薬品間の特性プロファイルのばらつきにつながることがしばしばあります。バイオシミラーとしての同等性を評価する際は、分析比較試験で認められたそのような違いが臨床的に意味がないことを確認する必要があります。したがって、製品特性の解析およびモニタリングは、バイオシミラー医薬品を上市する際の重要なステップです。今回、waters_connect インフォマティクスプラットホームにより、waters_connect インフォマティクスプラットホームの制御下に動作する異なる装置システム間であっても、このコンプライアンス対応の MAM ワークフローが容易に実施できることを実証しました。Xevo G3 QTof 質量分析計により、高いシーケンスカバー率と PTM の位置特定が可能になり、これらを結果テーブルから選択して、潜在的 CQA のモニタリングに使用できるようになりました。次にこのリストをペプチド MAM モニタリングメソッドに入力して、大規模なサンプルセットにわたる相対ターゲット定量および新規ピーク検出に使用できるようになりました。このワークフローを、バイオシミラー製品のイノベーターレファレンスとの比較、およびこれらの分子を用いた苛酷試験の両方に展開しました。waters_connect プラットホームのカスタムサイエンスライブラリー機能によって 2 つのペプチド分析ワークフローをシームレスに統合することは、特性解析からモニタリング機能へ知識を移管する有効な方法であり、担当の分析ラボ組織にわたって展開することができます。

参考文献

  1. Rogers RS, Nightlinger NS, Livingston B, Campbell P, Bailey R, Balland A. Development of a Quantitative Mass Spectrometry Multi-Attribute Method for Characterization, Quality Control Testing, and Disposition of Biologics.mAbs.2015 Aug, 7(5), 881-890.
  2. Ranbaduge N, Yu YQ.A Streamlined Compliant Ready Workflow for Peptide-Based Multi-Attribute Method (MAM).Waters Application Note.720007094, December 2020.
  3. DeLaney K, Ippoliti S, Reid L, Cornwell O, Yu YQ, Harry E, Towers M. Applying Peptide Mapping and Multi-Attribute Method (MAM) Workflow for Biosimilar mAb Drug Products Comparison on the Xevo G3 QTof Platform.Waters Application Note, 720007632, May 2022.
  4. Faid V, Leblanc Y, Berger M, Seifert A, Bihoreau N, Chevreux G. C-terminal Lysine Clipping of IgG1: Impact on Binding to Human FcγRIIIa and Neonatal Fc Receptors.Eur J Pharm Sci.2021 Jan, 159, 105730.
  5. Pisupati K, Benet A, Yian Y, Okbazghi S, Kang J, Ford M, Saveliev S, Sen KI, Carlson E, Tolbert TJ, Ruotolo BT, Schwendeman SP, Schwendeman A. Biosimilarity Under Stress: A Forced Degradation Study of Remicade® and Remsima™.mAbs.2017 Aug, 9(7), 1197-1209.
  6. Ranbaduge N, Yu YQ.Extending the Capabilities of the BioAccord LC-MS System with a Streamlined Workflow for Compliant-Ready Multi-Attribute Method (MAM).Waters Application Note, 720006963, July 2020.

720007914JA、2023 年 5 月

トップに戻る トップに戻る