効率的な非還元モノクローナル抗体(mAb)サブユニットの LC-MS 分析を用いた、イノベーターおよびバイオシミラー中の対になっていないシステイン修飾のスクリーニング
要約
このアプリケーションノートでは、イノベーターおよびバイオシミラーの mAb サンプル中の、対になっていないシステイン修飾分析用の迅速スクリーニングメソッドを設計した Similis Bio と Waters™ Corporation の共同研究を紹介します。IgG サブクラス全体にわたって保存された配列には、偶数のシステイン残基が含まれており、これらはすべてジスルフィド結合で対を形成しています1。 ただし、一部の mAb には、相補性決定領域(CDR)に追加の対になっていないシステインがあり、これらが mAb 生成プロセス中に存在する遊離システインやグルタチオンと反応することがあります。結合領域中のこれらの対になっていないシステイン修飾は、mAb の生物学活性に影響する可能性があります。この共同研究の目標は、液体クロマトグラフィー-質量分析(LC-MS)に基づくシンプルで高速のシステイン修飾ワークフローを開発して、Similis Bio でのバイオシミラー mAb のプロセス開発において、大規模のサンプルセットをサポートすることです。この目標をサポートするためのよりハイスループットのワークフローでは、還元ステップを用いない mAb サブユニット消化を行うため、対になっていないシステインおよびシステイン修飾の存在が曖昧になります。このことを考慮して、非還元条件下での 5 分間 FabRICATOR® 消化プロトコルを開発し、続いて BioAccord™ LC-MS システムを使用して 5 分間分析を実施しました。waters_connect™ インフォマティクスプラットフォーム内の INTACT Mass アプリを使用することにより、得られたデータのチャージデコンボリューション、質量マッチング、修飾の相対存在量の計算が自動的に行われ、各サンプルについて取り込み完了注入として報告されました。
アプリケーションのメリット
- Fab 領域内の対になっていないシステイン修飾の迅速かつ明確な分析用の 5 分間迅速非還元 FabRICATOR サブユニット mAb 消化および 5 分間 LC-MS 分析
- 初心者でも簡単に使用できるように設計されたベンチトップ型 TOF MS である BioAccord LC-MS システムを活用して、データ取り込みを簡素化
- 規制対応機能によるほぼリアルタイムの自動データ取り込み、分析、レポート作成ができる Intact Mass アプリを備えた waters_connect インフォマティクスプラットフォームの利用
はじめに
モノクローナル抗体(mAb)は、過去 10 年にわたって成功を収めてきたバイオ医薬品の中でも主要な部分を占めています。古い製品の多くは特許権存続期間の満了が近づいていることから、多くの企業は、イノベーターとタンパク質配列が同じであるが、製造に用いる細胞株やプロセスパラメーターの違いにより修飾が異なる可能性のあるバイオシミラー mAb 製品の開発に投資しています。バイオシミラーを開発する企業の基本的な目標は、バイオシミラー製品に「レファレンス製品と臨床的に有意な違いがない」ことを証明することです2。 つまり、分子の生物学的活性に影響する可能性のある一次構造のバリアント(脱アミド化、酸化など)がすべて、レファレンス製品と同様のレベルで存在する必要があることを意味します。液体クロマトグラフィー-質量分析(LC-MS)は、これらの修飾を、インタクトレベル、還元サブユニットレベル、ペプチドレベルで特性解析するために使用される強力なツールです。
mAb バイオ医薬品ではあまり一般的ではありませんが、もう 1 つの重要な修飾として、配列内の対になっていないシステイン残基の反応が挙げられます。IgG は、システイン残基の間の鎖間ジスルフィド結合を介してつながった 2 本の重鎖(HC)と 2 本の軽鎖(LC)で構成されています。重鎖および軽鎖の他のシステインは、鎖内ジスルフィド結合を介して対を形成しています。鎖間および鎖内のジスルフィドはいずれも、分子の安定な三次構造に寄与します。一部の mAb では、超可変領域に追加の対になっていないシステイン残基が含まれることがあります。この原因により不安定になって凝集を引き起こし、生物学的活性が失われることが示されています3。 安定性の問題がなくても、製造中のこれらの残基の修飾(システイン化、グルタチオン化など)が、生物学的活性に直接影響し、バイオシミラーとしての性質が損なわれる可能性があります。
収率が低い場合は、対になっていないシステイン修飾が、インタクト mAb レベルでの通常の LC-MS 分析に特有の課題になります。システイン化およびグルタチオン化による質量シフトは、それぞれ +119 Da および +305 Da です。特にシステイン化の場合、質量シフトが C 末端リジンバリアント(+128 Da)に非常に近く、通常、一連の複雑な N 型糖鎖の間に埋もれてしまいます。これらの代表的な修飾は、カルボキシペプチダーゼ B や PNGaseF などの酵素でそれぞれ除去できますが、サンプル前処理にかかる時間が長くなり、一部の分子ではプロセシングが不完全になることがあります。インタクト mAb 分析がさらに複雑になるのを回避するため、mAb サブユニットワークフローを使用することができます4-7。 ただし、対になっていないシステイン修飾は、通常の還元剤を添加すると修飾が除去され、分析で検出されなくなるため、このようなメソッドを使用して分析することは困難です。さらに一歩進んだペプチドマッピングレベルでの分析でも、このサンプル前処理がさらに複雑になり、時間を要することから、同様の課題が生じ、ターゲット分析に適しているとは言えません。
効率的で迅速な対になっていないシステイン修飾のスクリーニングワークフローを実現するために、非還元 mAb サブユニット分析を行うことにしました。従来は、部分的酵素消化が、ヒンジ由来の mAb サブユニットを遊離させるアプローチの 1 つとして使用されてきましたが、現在では IdeS 酵素などのツールが、LC-MS 分析用の mAb サブユニットを確実に生成できる、より直接的なメソッドになっています8。 IdeS 酵素は、ヒンジの下の単一のアミノ酸部位で切断を行います。通常の還元条件下では、これにより、ほぼ等しいサイズ(約 25 kDa)のサブユニット分子種が 3 つ生成されます。この酵素は、非還元条件でも非常に有効です(約 100 kDa の (Fd’+LC)2 サブユニット 1 つと約 25 kDa の Fc 分子種の 2 コピーを生成)。市販で最も広く使用されている IdeS 酵素の 1 つは、FabRICATOR(Genovis AB)です。FabRICATOR 酵素の効率と高い特異性を BioAccord システムでの迅速 UPLC™-TOF 分析と組み合わせることにより、サブユニットワークフローの導入が成功し、対になっていないシステイン修飾をモニターすることができました(図 1)。これらの結果が確認され、RapiZyme™ トリプシンを使用したイノベーターサンプルの非還元ペプチドマッピングにより、部位の同定が可能になりました9。
実験方法
サンプル前処理(非還元サブユニット):約 1.5 mg/mL の各サンプル 3.3 µL(バイオリアクターから直接取得し、ProA キャプチャーを使用して精製したバイオシミラーサンプル)を 20 µL の FabRICATOR マスターミックス(0.5 ユニット/µL FabRICATOR 含有 25 mM トリス、pH 7.5)に添加し、37 ℃ で 5 分間インキュベーションしました(5 µg のサンプルを 10 ユニットの FabRICATOR(1:2)とインキュベーション)。サンプルは、LC-MS 分析用に 0.1% ギ酸水溶液で 1:1(v/v)希釈しました(最終サンプル濃度 0.1 mg/mL)。
サンプル前処理(非還元ペプチドマッピング):50 µg のイノベーターレファレンス物質を変性させ、遊離システインを 6M 尿素、2.5 mM ヨウ素酸アミド(IAM)中で 50 ℃ で 30 分間アルキル化しました(計 50 µL、mAb 濃度は 1 mg/mL)。このサンプルを消化バッファー(100 mM トリス塩酸、10 mM CaCl2、pH 7.5、製品番号:186010111)で 7 倍希釈し、10 µg の RapiZyme トリプシン(製品番号:186010108)を添加しました(1:5 w/w)(希釈後のサンプルは 0.14 mg/mL および 0.85M 尿素)。サンプルを、37 ℃ で 2 時間消化し、最終ギ酸濃度 0.3%(v:v)にして反応停止しました。
mAb サブユニット
LC 条件
LC システム: |
ACQUITY Premier UPLC システム |
検出: |
ACQUITY UPLC TUV(280 nm) |
カラム: |
ACQUITY Premier BEH™ C4 300 Å、1.7 µm、2.1 × 50 mm(製品番号:186010326) |
カラム温度: |
80 ℃ |
サンプル温度: |
6 ℃ |
注入: |
0.25 µg の FabRICATOR 消化 mAb(0.1 mg/mL のサンプルを 2.5 µL 注入) |
流速: |
0.4 mL/分 |
移動相 A: |
0.1% ギ酸水溶液 |
移動相 B: |
0.1% ギ酸アセトニトリル溶液 |
グラジエントテーブル
MS 条件
MS システム: |
ACQUITY RDa™ |
イオン化モード: |
ESI ポジティブ、フルスキャン |
取り込み範囲: |
m/z 400 ~ 7000(高質量) |
キャピラリー電圧: |
1.5 kV |
コーン電圧: |
50 V |
脱溶媒温度: |
550 ℃ |
インテリジェントデータキャプチャ: |
オン |
ダイバートバルブ: |
0 ~ 0.5 分および 4 ~ 5 分に廃液へ 0.5 ~ 4 分に MS へ |
ペプチドマッピング - フォーカス DDA 実験
*注記:通常の完全長 DIA(MSE)ベースのペプチドマッピング特性解析メソッド(アプリケーションノート 720007840JA 9 に詳述)を、対象のペプチドを同定するためにまず使用しました。同定後、LC グラジエントを 15 分間の短いメソッドに適用し、m/z 包含リストを用いる DDA(データ依存型取り込み)を使用して、非修飾および低レベル修飾のシステイン化分子種を特性解析しました。
LC 条件
LC システム: |
ACQUITY Premier UPLC システム |
|
カラム: |
ACQUITY Premier Peptide CSH™ C₁₈、130Å、1.7 µm、2.1 × 100 mm(製品番号 186009488) |
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カラム温度: |
60 ℃ |
|
サンプル温度: |
6 ℃ |
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注入: |
0.2 µg の非還元トリプシン消化物(0.14 mg/mL のサンプルを 1.5 µL 注入) |
|
流速: |
0.2 mL/分 |
|
移動相 A: |
0.1% ギ酸水溶液 |
|
移動相 B: |
0.1% ギ酸アセトニトリル溶液 |
グラジエントテーブル(フォーカス 15 分間メソッド)
MS 条件:Xevo™ G3(対象ペプチドのターゲット DDA メソッド)
MS システム: |
Xevo G3 QTof |
イオン化モード: |
ESI ポジティブ、感度モード |
実験の種類: |
包含リストを用いる DDA |
取り込み範囲: |
m/z 50 ~ 2000 |
キャピラリー電圧: |
2.2 kV |
コーン電圧: |
20 V |
イオン源温度: |
120 ℃ |
脱溶媒温度: |
350 ℃ |
コーンガス: |
35 L/時間 |
脱溶媒ガス: |
600 L/時間 |
コリジョンエネルギー: |
質量依存ランプ (低質量 10 ~ 30 V、高質量25 ~ 55 V) |
DDA 設定: |
• スキャン時間 0.2 秒 • MSMS:最大 2 つの同時 MSMS 取り込み • サーベイスキャン設定を使用 • 強度が 7500 カウント/秒を超えたときに MSMS を開始 • 条件(累積 TIC がしきい値である 3,000,000 カウントを超える)またはタイムアウト(5.0 秒)に達したら MSMS を停止 • チャージ状態:2+、3+、4+、5+ • 脱同位体:オフ |
DDA 包含リスト: |
1. RT:8.1 分で m/z 913.39(チャージ状態 4+)のピーク 2. RT:7.4 分で m/z 928.89(チャージ状態 4+)のピーク |
データ管理
waters_connect インフォマティクスプラットフォーム(v 3.1)内の Intact Mass アプリ(v 1.4.0.0)でサブユニットのデータを取り込み、解析しました。ペプチドマッピングデータは、waters_connect インフォマティクスプラットフォーム(v 3.1)内の UNIFI™ アプリ(v 3.1.0.16)を用いて収集し、ペプチドマッピングワークフローで解析しました。
結果および考察
今回導入した非還元 mAb サブユニットワークフローにより、対になっていないシステイン残基とその修飾の迅速なスクリーニングが可能になります。この試験では、大規模なサンプルセットを迅速に解析してバイオシミラーのプロセス開発をサポートすることを最終目標に、このワークフローをイノベーターおよび Similis Bio によって提供されたバイオシミラーサンプルのサブセットに適用しました。その結果、さまざまな細胞培養条件がシステイン化およびグルタチオン化のレベルに与える影響を評価しました。5 分間の非還元 FabRICATOR 消化でサンプルを調製した後、BioAccord LC-MS システムでの 5 分間の LC-MS 分析法を使用して分析しました。INTACT Mass アプリの[取り込みおよび解析]機能を使用することにより、サンプルを迅速に分析用に登録し、データの進行状況をリアルタイムでモニターできるようになりました。また、取り込みの終了時に、注入ごとに自動的にデコンボリューションされ、レポート型式での結果を表示できるようになりました。
FabRICATOR 酵素により、非還元条件下において、UV クロマトグラム(図 2A)と TIC クロマトグラム(図 2B)に見られるように、共有結合した (Fd’+LC)2 分子種(約 100 kDa)や解離した Fc 鎖(約 25 kDa)が生じました。インタクト mAb 分析の場合、Fc 分子種(ピーク 1)には、システイン化およびグルタチオン化の結果が曖昧になる N 型糖鎖およびプロセシングされていない C 末端リジンが含まれていました。Fc の修飾による複雑さが除かれると、(Fd’+LC)2 分子種(ピーク 3)には、糖化の可能性、対になっていないシステイン修飾、および/または酸化のみが見られました。(注記:異性体化および脱アミド化も (Fd’+LC)2 分子種に起き得ますが、質量差が小さいため、ペプチドレベルの分析を行わないと識別できません。)この非還元 FabRICATOR メソッドのもう 1 つのメリットとして、Fab ドメインの両方のアームがインタクトのままであるため、1 重および 2 重に修飾されたシステイン分子種の両方が存在し、定量可能であることが挙げられます。これらの情報は、特に多価抗体において一方または両方のシステインが修飾されているかどうかよって生物学的活性に違いがある場合に、特に重要になる可能性があります。
INTACT Mass アプリの解析メソッドには、システイン化、グルタチオン化、糖化、酸化によるさまざまな修飾が含まれており、これらの修飾が、最大質量マッチング誤差 20 ppm に基づいて、デコンボリューション後の質量に自動的に割り当てられました。相対存在量比(%)が、(Fd’+LC)2 分子種のすべての割り当てられたフォームについて計算され、各分析のサマリーテーブルに報告されています。デコンボリューションスペクトル(図 3)が、サンプルのサブセット(システイン修飾が「低」レベルのイノベーターサンプルと、「中」レベルおよび「高」レベルのシステイン修飾を含む 2 つのバイオシミラーサンプル)について表示されています。+1 および +2 のシステイン化は赤色の矢印で示され、+1 のグルタチオン化は緑色の矢印で示されています(+2 のグルタチオン化は、いずれのサンプルでも検出されませんでした)。このサンプルセットの詳細な結果を表 1 に示します。約 5% というイノベーターの修飾は、Similis Bio から提供された直交するデータに基づく予想値と一致しています。バイオシミラーサンプルでは、16 ~ 63% のシステイン修飾が認められました。このサンプルセットでは、(Fd’+LC)2 分子種の糖化は 2 ~ 11% と測定されました。これらの結果に基づき、このサブユニット mAb メソッドにより、個々の分子種の確実な相対定量値が 0.5% まで得られました。
イノベーターサンプルで見られたシステイン化が実際に軽鎖の予想される対になっていないシステインに存在することを確認するために、非還元ペプチドマッピング分析を行いました。トリプシンによる消化の前に、サンプルを尿素で変性させ、IAM で事前にアルキル化して、存在する対になっていないシステインをブロックしました。対になっていないシステインをアルキル化試薬によってブロックしていないと、消化中にジスルフィドのスクランブル化が発生しやすくなります。これにより、偽のジスルフィド架橋ペプチド分子種が生成するため、分析が複雑になります。次に、サンプルを希釈して RapiZyme トリプシン消化物の尿素濃度を下げ、酵素:タンパク質比を 1:5 にしました。得られた消化物を反応停止し、DIA(MSE)フラグメンテーションモードで動作する Xevo G3 QTof 質量分析計を使用して、以前に発表した LC-MS メソッドで分析しました10。
対になっていないと推定されるシステインを含むペプチドには、鎖内ジスルフィド結合に関与する 2 番目のシステイン残基も含まれます。したがって、対象分子種は、実際は「2:T2-2:T7」とラベル付けしたジスルフィド結合を介してつながった 2 本のペプチドでした。このペプチド分子種には、+1 システイン化修飾または +1 「IAM」(ヨウ素アセトアミドによる事前アルキル化)のいずれかがあります。これは対になっていない非修飾システインであったことを意味します。波形解析された TIC クロマトグラム(図 4)からわかるように、これら 2 つの分子種はそれぞれ 26.5 分および 27.2 分に溶出しています。
時間のかかる LC グラジエントメソッドで対象のペプチドが検出されたため、フォーカスしたグラジエントを使用する 15 分間の短い LC-MS メソッドを開発し、ターゲットを絞った分析を行いました(データは示していません)。この 15 分間のメソッドでは、修飾システイン(m/z 928.9)ペプチド分子種および非修飾システイン(m/z 913.4)ペプチド分子種が、それぞれ 7.4 分および 8.1 分に溶出しました。この保持時間と m/z の情報を用いて、包含リストを用いたターゲット DDA(データ依存型取り込み)を作成し、対象のペプチドのみが検出およびフラグメンテーションされるようにしました。システイン化およびアルキル化されたペプチド分子種から得られたフラグメンテーションデータ(図 5)を比較して、修飾の場所を特定しました。システイン化ペプチド分子種における y9 + システイン(および対応する対になっていないシステイン分子種の y9 + IAM アルキル化)の存在により、これが予想される対になっていないシステインの場所であることが確認されます(黄色で強調表示)。
結論
このアプリケーションノートでは、IgG1 mAb の Fd' または LC の対になっていないシステインのシステイン化およびグルタチオン化のレベルを測定することを目的とした、迅速非還元サブユニット mAb スクリーニングワークフローの分析法最適化が正しく行えることを実証しています。このワークフローでは、非還元条件下での 5 分間の FabRICATOR 消化後、コンプライアンス対応の waters_connect インフォマティクスプラットフォームで動作する BioAccord LC-MS システムで LC-MS 分析を行いました。INTACT Mass アプリの自動のデコンボリューション、質量割り当て、レポート作成機能の使用により、サンプルからレポートに進むワークフローが合理化されました。このケースでは、イノベーターおよび Similis Bio からのバイオシミラーの mAb サンプルの試験において、非還元サブユニットメソッドを使用して、様々なレベル(5 ~ 63%)のシステイン修飾が認められ、イノベーターレファレンスサンプルの非還元ペプチドマッピングによって、対になっていない修飾システイン残基が予想部位で確認されました。
この遊離システインおよび修飾システインの部位分析用に最適化されたサブユニット mAb LC-MS ワークフローは、容易に採用および実施することができます。このワークフローにより、イノベーターまたはバイオシミラー候補の製品開発およびプロセス開発をサポートすることができます。BioAccord システムで waters_connect インフォマティクスを使用することにより、特定の部位が重要な品質特性またはプロセス特性であることが判明した場合に、同じプラットフォームを展開して、製造および製品品質評価をサポートする能力が得られます。
参考文献
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- Ippoliti S, Zampa N, Yu YQ, Lauber MA.Versatile and Rapid Digestion Protocols for Biopharmaceutical Characterization Using RapiZyme Trypsin.Waters Application Note 720007840.2023.
- DeLaney K, Ippoliti S, Reid L, Cornwell O, Yu YQ, Harry E, Towers M. Applying Peptide Mapping and Multi-Attribute Method (MAM) Workflow for Biosimilar mAb Drug Products Comparison on the Xevo G3 QTof Platform.Waters Application Note.720007632.2022.
FabRICATOR は Genovis AB の登録商標です。BioAccord、RapiZyme、waters_connect、ACQUITY、BEH、CSH、および RDa は Waters Technologies Corporation の商標です。
720008305JA、2024 年 4 月