• アプリケーションノート

Waters™ ACQUITY™ RDa™ 質量検出器を用いた抽出物および浸出物(E&L)のスクリーニングのためのルーチン高分解能質量分析(HRMS)

Waters™ ACQUITY™ RDa™ 質量検出器を用いた抽出物および浸出物(E&L)のスクリーニングのためのルーチン高分解能質量分析(HRMS)

  • Chris Henry
  • Ashley Sage
  • Waters Corporation

体外診断(IVD)目的です。一部の国/地域では提供されていません。

要約

このテクニカルブリーフでは、抽出物および浸出物分析用の UNIFI™ ソフトウェアと ACQUITY RDa 質量検出器を使用した、ルーチン HRMS スクリーニングのターゲットワークフローに焦点を当てています。これを実証するために、18 種の一般的なポリマー添加剤の標準試料混合液(抽出物および浸出物のスクリーニング標準試料 SKU 製品番号:186008063)を分析しました。

  • ACQUITY RDa と UNIFI スクリーニングワークフローを組み合わせることで、サンプル成分および生成された関連フラグメントの同定および特性解析が、解析メソッド内のライブラリーを使用して自動的に実行
  • 手作業による解釈の必要なく、3.1 ppm 以下の精度の質量測定で、すべての成分を検出および同定
  • これにより、分析の専門知識の有無に関わらず、頑健な E&L スクリーニング特性解析を実現できるプラットホームが実証されました。

アプリケーションのメリット

  • E&L 化合物のルーチン取り込みで 5 ppm 未満の質量精度を達成
  • フラグメンテーションデータの同時取り込みにより、化合物同定の信頼性を向上
  • 専門知識のないユーザーも HRMS データへのアクセスが可能に
  • waters_connect インフォマティクスプラットホームの一環としての、コンプライアンス対応の UNIFI ソフトウェア
  • ACQUITY™ Bridged Ethylene Hybrid™(BEH™)カラムテクノロジーにより、カラムを劣化させることなく 70 ℃ でクロマトグラフィー分離が可能に

はじめに

医薬品、医療機器、食品接触材料(FCM)、電子ニコチンデリバリーシステム(ENDS)などの多数の業界分野で、抽出物および浸出物のモニタリングおよび特性解析に関する規制が増加するに伴い、これらの化合物を確実に同定するために必要な選択性が得られる装置へのアクセスニーズも高まっています1,2,3.4。 HRMS により、この化合物の特性解析機能が提供されますが、解析にはコストがかかり、操作には高度な専門知識が必要な場合があります。ACQUITY RDa 質量検出器を使用することで、専門知識の有無を問わず、HRMS 分析へのアクセスが可能になります。waters_connect™ ソフトウェアプラットホーム内の UNIFI スクリーニングアプリケーションとの組み合わせにより、抽出物・浸出物のルーチンスクリーニング用の頑健なプラットホームが提供されます。

結果および考察

ACQUITY RDa 検出器は、検出器、自動チューニング、質量キャリブレーションを含めて、手動での操作が不要で、自動的にセットアップされるため、分析者はサンプル分析および結果の生成にのみ集中することができます。このルーチンのセットアップ後、Scheduled Lockmass(スケジュールされたロックマス)機能が組み込まれたポジティブモードで、フルスキャン精密質量データを取り込みました。これにより、ラボ環境での温度変化などにより、質量精度にずれが生じる可能性を低減しました。この機能により、1 時間に 1 回ロックマス補正が実行されます。そのため、ロックマス溶液の使用量を大幅に低減しながら、安定した質量精度が得られます。Full Scan with Fragmentation(フルスキャンによるフラグメンテーション)機能を用いることで、コーン電圧のランプが可能になり、高エネルギースペクトルと低エネルギースペクトルの両方を同時に取り込むことができます。フラグメントイオン情報を含む高エネルギーデータ機能が自動的に割り当てられ、化合物の同定にさらなる信頼性がもたらされます。E&L 標準試料は、サンプル前処理を行わずに直接注入しました。BEH C18 カラムテクノロジーを使用することで、高いカラム温度(70 ℃)を使用してもカラムを劣化させることなく、E&L 混合液の成分を分離することができました(図 1)5

図 1.抽出物および浸出物スクリーニング標準試料のクロマトグラム。

すべての化合物は、表 1 の質量精度測定値 3.1 ppm 以下で検出および同定されました。

表 1. 検出された化合物のリストに、質量精度と保持時間が記載されています。

結論

  • ACQUITY RDa によって、スクリーニング標準試料のすべての成分を検出および同定する機能が実証されました。すべての成分が 3.1 ppm 以下の質量精度の測定値で同定されました
  • waters_connect の一環として RDa および UNIFI を用いることにより、シンプルで直感的なワークフローが得られ、抽出物および浸出物の HRMS 測定が、専門知識の有無にかかわらずに、誰でも同様に達成できるようになります。

参考文献

  1. ICH Q3E: Guideline for Extractables and Leachables (E&L).
  2. Guidance for Industry: Container Closure Systems for Packaging Human Drugs and Biologics.Food and Drug Administration (FDA).
  3. Guideline on plastic immediate packaging materials.European Medicines Agency (EMA).
  4. FDA Deeming Regulation (May 2016) – FDA’s New Regulations for E-Cigarettes, Cigars, and All Other Tobacco Products.
  5. Kevin D. Wyndham, Thomas H. Walter, Pamela C. Iraneta, Uwe D. Neue, Patrick D. McDonald, Damian Morrison, Mark Baynham.A Review of Waters Hybrid Particle Technology.Part 2: Ethylene Bridged [BEH Technology™] Hybrids and Their Use in Liquid Chromatography.Waters White Paper, 720001159EN, 2004.

720008297JA、2024 年 4 月

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