RapiZyme™ RNase を使用した調整可能な RNA の消化による配列の確認および修飾のマッピング
要約
sgRNA や mRNA などの RNA 医薬品は、ヒトの疾患を治療するための遺伝子治療用途における重要な治療法です。このような RNA 分子の迅速な開発とその展開には、新しい分析法の迅速な開発が必要です。この分析法は、液体クロマトグラフィーと質量分析の組み合わせ(LC-MS)による配列のオリゴマッピングを用いて、治療用 RNA のアイデンティティー、純度、修飾を決定することを目的としています。MS ベースの配列確認では、RNA フラグメントの直接検出および配列内のヌクレオシド修飾の位置決定を行います。現在利用できる酵素ツールによるRNA フラグメントの生成で得られるカバレッジは、不完全または部分的であり、配列の解釈が極めて曖昧になります。相補的な切断特異性を有する酵素ツールの利用が可能となることで、この問題を解消し、配列のギャップを補完するとともに、データ解析を効率化し、信頼性を高めることができますこのアプリケーションノートでは、RapiZyme MC1 および RapiZyme クサチビン用に最適化されたプロトコルを評価し、sgRNA オリゴマッピングにおけるシーケンスカバーレッジの向上に焦点を当てて、各 RNase の再現性と相補的特異性について調査します。この新しいワークフローには、waters_connect™ 内の MAP Sequence アプリおよび 2 つの補助的なマイクロアプリを含むデータ解析ソフトウェアが含まれています。これらのアプリケーションは、ルーチンの RNA フラグメント同定、シーケンスカバレッジ評価、および定量のためのデータ分析を容易にする、効率的なワークフローを提供します。
アプリケーションのメリット
- LC-MS 適合性と高いシグナルを維持しつつ、より一意的な質量が得られる sgRNA の完全なシーケンスカバレッジ
- 化学変性剤や酵素阻害剤を使用しない、自動化に適合する、シンプルで再現性のよいプロトコル
- 部分消化を行い、オーバーラップする消化産物を生成する機能
- waters_connect アプリケーションによる in silico mRNA 消化計算によって促進される精密質量マッチングに基づく、mRNA 消化物の自動アノテーション
- データ分析の効率化のために waters_connect MAP Sequence に完全統合
はじめに
背景:
SARS-Cov-2 のパンデミックに対する mRNA ワクチンが成功したことにより、感染性疾患の治療や、CRISPR sgRNA を用いたゲノム編集による遺伝子治療を行うための RNA 医薬品の開発が加速しました。これと並行した分析技術の進展により、創薬ラボ、開発ラボ、QC ラボで実施される特性解析やリリース試験作業の所要時間を短縮することができます。LC-MS を用いたオリゴマッピングや配列確認による治療用 mRNA のアイデンティティー、純度、修飾の確認は、分子の直接分析の戦略として広く受け入れられいます。ボトムアップのアプローチを行うペプチドマッピングと同様、RNA を酵素消化して RNA フラグメントを生成し、これらを逆相(または親水性相互作用)カラムを用いた液体クロマトグラフィー(LC)により分離できます。消化物の成分は、カラムから溶出された後、イオン化され質量分析(MS)によって検出されます1。現在、RNase T1 がオリゴマッピング LC-MS に最もよく使用される酵素です。この酵素は、グアノシン残基(G)の 3' 末端で RNA を切断します。その結果、多くの場合、RNase T1 は、特に G リッチ領域に作用する際、小さな消化産物(モノマー、ダイマー、トリマーなど)を生成します。これらの生成物は、配列内の複数の部位に非特異的にマッチし、データ解析結果の不確実性につながります。さらに、RNA 分子の同一の小さなセグメントは、シーケンスカバーレッジの計算に役立ちません。このことが、カバレッジのギャップや信頼性の低い配列情報につながります。
これらの限界に対処するため、Waters™ は、RNase T1 を補完する切断特異性を示す RNA 消化用の新しい遺伝子組換えエンドヌクレアーゼを開発しました。遺伝子組み換え RapiZyme MC1 および RapiZyme クサチビンは、図 1 に示すように、ジヌクレオチド部位を認識して切断する最適な活性を示します2。 さらに、いずれの RapiZyme RNase も部分消化生成物を生成する傾向があり、LC-MS 分析および配列決定に適した一意のオーバーラップした生成物が生じます。このアプリケーションノートでは、RapiZyme MC1 および RapiZyme クサチビンを使用し、再現性のあるCRISPR シングルガイド(sg)RNA の消化をシンプルなワンポットプロトコルで達成する方法を示します。これらの酵素を IonHance™ HFIP(ヘキサフルオロイソプロパノール)とともに使用して、mRNA Cleaver、MAP Sequence、Coverage Viewer などのマイクロアプリを用いる RNA データ分析ワークフローおよび UNIFI 解析ワークフローを活用することで、RNA 医薬品のより迅速な LC-MS 特性解析が可能になります3。再現性と規制対応したアーキテクチャーを備えるこれらのツールは、規制関連書類申請のサポートや、将来的に出荷試験に向けて導入が容易な選択肢として、創薬ラボと QC ラボの両方での使用に適しています。
実験方法
RNase フリーの環境:RNA 作業を行う前に、70% イソプロピルアルコール(IPA)で作業エリアを除染し、 RNase フリーな作業スペースを整えました。使用した試薬はすべて RNase フリー(品質保証)で、RNase フリー水を用いて調製しました。
酵素調製:RapiZyme MC1 のバイアル(10,000 単位)1 本を、pH 8 の 200 mM 酢酸アンモニウムバッファー 200 µL に溶解して、RNase の 50 U/µL ストック溶液を調製しました。RapiZyme クサチビンのバイアル(10,000 単位)1 本を、pH 9 の 200 mM 酢酸アンモニウムバッファー 200 µL に溶解して、RNase の 50 U/µL ストック溶液を調製しました。
RapiZyme MC1 を用いた sgRNA の消化
100 pmol(3.2 µg)の Hs.Cas9.HPRT1.2.AA sgRNA(IDT Technologies)を 200 mM 酢酸アンモニウム(pH 8)で 10 µL に希釈し、90 ℃ で 2 分間変性させた後 4 ℃ で急冷しました。RapiZyme RNase のストック溶液 1 µL(計 50 単位)を 18.2 MΩ の水で 10 µL に希釈し、これを各サンプルに添加し、十分に混合されるよう、穏やかにボルテックス処理し、遠心分離しました。この消化混合物を 30 ℃ で 1 時間インキューベーションしました。70 ℃ で 15 分間インキューベーションすることにより、酵素を熱不活化させました。
RapiZyme クサチビンを用いた sgRNA の消化
100 pmol(3.2 µg)の Hs.Cas9.HPRT1.2.AA sgRNA(IDT Technologies)を 200 mM 酢酸アンモニウム(pH 9)で 10 µL に希釈し、90 ℃ で 2 分間変性させた後 4 ℃ で冷却しました。RapiZyme クサチビンのストック溶液 1 µL(計 50 単位)を 18.2 MΩ の水で 10 µL に希釈し、これを各サンプルに添加し、十分に混合されるよう、穏やかにボルテックス処理し、遠心分離しました。この消化混合物を 30 ℃ で 1 時間インキューベーションしました。75 ℃ で 15 分間インキューベーションすることにより、酵素を熱不活化させました。
RNase T1 を用いた sgRNA の消化
100 pmol(3.2 µg)の Hs.Cas9.HPRT1.2.AA sgRNA(IDT Technologies)を、200 mM 酢酸アンモニウム(pH 7)で 10 µL に希釈し、90 ℃ で 2 分間変性させた後 4 ℃ で冷却しました。10 µL の 18.2 MΩ の水で希釈した 250 単位の RNase T1(Worthington Biochemical Corporation)を添加し、十分に混合されるよう、穏やかにボルテックス処理し、遠心分離しました。この消化混合物を 37 ℃ で 1 時間インキューベーションしました。80 ℃ で 15 分間インキューベーションすることにより、酵素を熱不活化させました。
RNase 4 を用いた sgRNA の消化
10 µg の Hs.Cas9.HPRT1.2.AA sgRNA(IDT Technologies)(6.25 µL)を、NEB の推奨に従い、最終尿素濃度が 3M になるよう、3.75 µL の 8M 尿素と混合しました。この RNA を 90 ℃ で 5 分間変性させた後 25 ℃ で冷却しました。この変性 RNA 混合物を、NEB の推奨に従い、最終容量が 30 µL になるよう 20 µL の 1.5 X NEBuffer™ r1.1 で希釈し、1 µL の RNase 4(NEB #M1284)ストック溶液(50 U/µL)を添加しました。この混合物を 37 ℃ で 1 分間インキュベーションしました。1 µL の NEB RNase 阻害剤(NEB #M0314)を添加して反応を停止させた後、室温で 10 分間インキュベーションしました。
続いて各消化混合物を低吸着性 QuanRecovery™ バイアル(製品番号:186009186)に移し、各酵素について等量の RNA 消化物(50 pmol または 1.6 µg 相当)を注入して LC-MS 分析を行いました。
LC 条件
カラム: |
ACQUITY™ Premier Oligonucleotide BEH™ C18、300 Å、1.7 μm、2.1 × 50 mm(製品番号:186010539) |
移動相 A: |
0.1% N,N-ジイソプロピルエチルアミン(DIPEA)および 1%(v/v)IonHanceHFIP(製品番号:186010781)含有 18.2 MΩ 水 |
移動相 B: |
0.0375% DIPEA および 0.075%(v/v)IonHance HFIP(製品番号:186010781)含有 55:10:35 アセトニトリル:メタノール:18.2 MΩ 水 |
LC システム: |
ACQUITY Premier BSM システム |
検出器: |
Xevo™ G3 QTof |
波長: |
254 nm |
流速: |
0.4 mL/分 |
注入: |
10 μL |
カラム温度: |
70 ℃ |
サンプル温度: |
4 ℃ |
グラジエントテーブル
MS 条件
イオン源の種類: |
ESI |
極性: |
ネガティブ |
測定モード: |
感度 |
キャピラリー電圧: |
1.5 kV |
サンプルコーン電圧: |
40V |
イオン源温度: |
100 ℃ |
脱溶媒温度: |
550 ℃ |
コーンガス: |
50 L/時間 |
脱溶媒ガス: |
650 L/時間 |
スキャンレンジ: |
550 ~ 2000 |
スキャン時間: |
1.0 秒 |
コリジョンエネルギー: |
低 6 V |
高エネルギーランプ: |
10 ~ 45 V |
インテリジェントデータキャプチャー - 強度しきい値: |
中(10) |
ロック補正: |
自動(30 秒間隔) |
イベント:LC、サンプル: |
2.0 ~ 40.0 分 |
ロックマス:ロイシンエンケファリン: |
554.26202 (M-H+)1- |
ロックマス:幅と質量ウィンドウのコンバイン: |
3 スキャン、0.5 m/z |
結果および考察
この試験の目的は、RNA 消化における RapiZyme RNase のバッチ間性能およびその治療用 RNA のオリゴマッピングにおける有用性を評価することでした。この試験では、ヒト HPRT(ヒポキサンチン-グアニンホスホリラーゼ)遺伝子(Hs.Cas9.HPRT1.2.AA)をターゲットとするように設計された CRISPR sgRNA の分析を検討しました。
RapiZyme RNase の特異性
RapiZyme MC1 および RapiZyme クサチビンは、特定のジヌクレオチドの位置における基質結合および切断に対して優先性を示します。これらの優先性を表 1 に示します。RapiZyme MC1 は、RNA を ApU、CpU、UpU の各部位のウリジンの 5' 末端で切断し、CpA と CpG ジヌクレオチドの組み合わせに対してはわずかに低い優先性を示します。なお、MC1 は GpU 結合を切断しません。RapiZyme クサチビンは、わずかに広い特異性を示し、RNA を CpA、CpG、CpU の各部位のシチジンの 3' 末端で切断し、ApU、GpU、UpU、UpA の各結合に対してはわずかに低い優先性を示します。さらに、クサチビンは CpC 結合をほとんどまたはまったく切断しません。特異性がわずかに広いにもかかわらず、これらの酵素を使用することにより、再現性のある部分消化を達成することができ、保護的ハイブリダイゼーションオリゴを用いることなく、このような結果が得られます。この機能により、オーバーラップした消化産物が生成され、シーケンスカバレッジが高まり、信頼性の高いデータ解釈が容易に行えます。ミスクリベージによる部分消化は、RapiZyme MC1 と RapiZyme クサチビンの両方のユニークな機能であり、これによってより多様な消化物成分が得られ、RNA 分析種の配列成分や構造の詳細を調査できる可能性が高まります。これらの長い消化産物から得られる質量値により、より厳密な MS/MS 分析および配列の解釈が必要な異性体が観測される頻度が低くなります。
データ解釈用インフォマティクス:Waters MicroApp mRNA Cleaver は、切断特異性に基づいて、RapiZyme RNase などの一般的な消化酵素について予想される消化産物の in silico 質量値を予測します。このファイルを使用して、waters_connect アプリ MAP Sequence による LC-MS 分析で観測された消化産物をマッチングおよび同定します。その結果を使用し、Coverage Viewer を用いて、一意の消化産物、または一意および一意でない消化産物のシーケンスカバーレッジを計算して可視化します。今回の試験では、これらの機能を、基質の RNA 分析種として HPRT sgRNA を使用して示しています。
RapiZyme RNase のバッチ間再現性
オリゴヌクレオチドマッピングのサンプル前処理においては、再現性のある RNA 基質の消化が最も重要です。HPRT sgRNA を用いた RapiZyme MC1 および RapiZyme クサチビンの再現性のある消化挙動を、複数のバッチにわたって 3 回繰り返しで評価しました。図 2 に、得られた酵素消化物の LC-UV-MS 分析を示します。RapiZyme MC1 では、一部の消化産物の存在量に若干の違いが見られましたが、いずれの酵素も、複数の UV プロファイルにわたって優れた再現性を示し、ピーク高さの差はわずかでした(図 2A および 2B)。さらに、MAP Sequence アプリを使用して MS シグナルを評価し、mRNA Cleaver へのインプットに基づいて消化産物とその保持時間を特定しました。mRNA Cleaver を使用し、4 箇所のミスクリベージを含む in silico の予測消化産物が生成されました。MAP Sequence アプリケーションを使用し、このようにして作成された消化産物ファイルを用いて、LC-MS データ内の消化産物を同定しました。MAP Sequence のアウトプット中の別の割り当てを手動で確認した後、オリゴヌクレオチド消化産物、元素組成、保持時間を示した UNIFI テンプレートの Excel ファイルを作成しました。再現性を実証して可視化するために、このファイルをライブラリーのコンポーネントとして waters_connect Administration ツールにインポートし、データ分析用の UNIFI 解析メソッドをすべての注入に適用できるようにしました。この MS 分析から、抽出イオンクロマトグラムの重ね描きがレビューモードで作成されました。これらを、RapiZyme クサチビンについて図 2C、RapiZyme MC1 について図 2D にそれぞれ示します。
RapiZyme クサチビンと RapiZyme MC1 による消化産物プロファイルを RNase T1 および RNase 4 と比較するために、「方法」セクションに記載されるように 4 つの RNase すべてで sgRNA を消化しました。4 つの RNase のトータルイオンクロマトグラム(TIC)を図 3 に示します。RapiZyme MC1 と RapiZyme クサチビンによる消化産物では、RNase T1 および RNase 4 と比較して、強いMS シグナルを示す消化産物の多様性が大きいことが容易に観察されます。さらに、RNase 4 消化物では、同様の質量ロード(50 pmol 相当の消化物)を注入して分析したにもかかわらず、シグナル強度が弱いことがわかりました。
mRNA Cleaver Microapp に基づく消化産物の予測では、これらの酵素についてミスクリベージが考慮されていましたが、RNase T1 消化物および RNase 4 消化物の LC-MS データの分析により、オーバーラップしない一連の消化産物が個別に存在することが明らかになりました。各酵素について認められた消化産物を、図 4 に示すように、比較の目的で、HPRT sgRNA 配列に個別に重ね描きしました。
RapiZyme MC1 と RapiZyme クサチビンによる消化産物の両方でオーバーラップが認められ、これにより追加の配列位置やコンテキストが得られ、データ解釈の信頼性が向上しました。このような配列のオーバーラップは、RapiZyme MC1 および RapiZyme クサチビンによる再現性のある RNA の部分消化によって可能となります。さらに、RapiZyme MC1 および RapiZyme クサチビンの両方で、観測された消化産物を sgRNA 配列にマッピングしたところ、完全な(100%)シーケンスカバレッジが達成されました。一方、RNase T1 では、シーケンスカバーレッジが部分的で(約 78%)、カバレッジおよび非特異性にギャップがあり、単一の消化産物が、配列の少なくとも 2 つの領域にマッピングされる場合がありました。RNase 4 による消化では完全なシーケンスカバレッジが得られましたが、その消化産物は配列にオーバーラップがなく個別のものでした。
消化産物の末端のリン酸の種類に関しては、RapiZyme MC1 および RapiZyme クサチビンによる消化物では主に環状リン酸が見られたのに対し、RNase 4 では等量の環状リン酸と直鎖状リン酸が見られました。このことは、RNase 4 データの例全体にわたる低いシグナル強度を説明する上で役立ちます。一方、RNase T1 消化産物では直鎖状リン酸が主要な形態です(表 2)。他の酵素と比較し、RapiZyme MC1 では消化産物の長さも様々で、最も長い消化産物(27 nt)が見られました。
結論
この研究では、IP-RP-LC-MS を使用した合成 RNA 医薬品のサンプル前処理とデータ分析を含む、頑健な分析ワークフローを確立しました。
- 合成 sgRNA は、RapiZyme MC1 および RapiZyme クサチビンによって再現性よく消化され、サンプル前処理プロトコルで消費された RNA はわずか 100 pmol(3.2 µg RNA)、分析のために注入された RNA 消化物はわずか 50 pmol(1.6 µg)でした
- ACQUITY Premier バイナリーシステム、ACQUITY Premier Oligonucleotide BEH C18 カラム、IonHance HFIP 移動相試薬を用いて行ったイオン対逆相クロマトグラフィーを使用して、短い消化産物および長い消化産物の両方について、高いクロマトグラフィー分離能および優れた UV シグナルおよび MS シグナルが得られました
- mRNA Cleaver、MAP Sequence、Coverage Viewer を用いることにより、RNA 消化フラグメントを同定し、in silico RNA 消化計算によって容易になった精密質量マッチングに基づいて、配列にマッピングしました
- いずれの RapiZyme RNase でも配列がオーバーラップした完全なカバレッジが得られ、確実なデータ解釈およびアウトプットの信頼性が向上しました
mRNA ワクチン、CRISPR sgRNA、合成オリゴヌクレオチドなどの、より新しく高度な RNA 医薬品の勢いは増し続けています。特性解析に関連する複雑な問題に対処するためには、サンプル前処理、クロマトグラフィー分離、データ分析用のインフォマティクス、データ解釈のための新しいソリューションが必要です。このアプリケーションノートに概説される RapiZyme MC1 および RapiZyme クサチビンを使用する分析法では、一意な消化産物の生成および LC-MS 分析によって完全なシーケンスカバレッジを確実に得ることで、sgRNA などの RNA 医薬品を再現性よく特性解析およびモニタリングする方法を示しています。この研究では、切断優先性が異なる複数のヌクレアーゼを展開するための、直交かつ付加的な配列マッピング情報の生成を示しています。
RNA 特性解析のための waters_connect MAP Sequence ワークフローの詳細な情報は、RNA Digestion Product Mapping Using an Integrated UPLC-MS and Informatics Workflow, Waters Application Note(UPLC-MS とインフォマティクスを統合したワークフローを用いた RNA 消化産物のマッピング)(ウォーターズアプリケーションノート、720008553)に記載されています。
参考文献
- Gau, B.; Dawdy, A.; Wang, H.L. et al. (2023) Oligonucleotide Mapping Via Mass Spectrometry to Enable Comprehensive Primary Structure Characterization of an mRNA Vaccine Against SARS-Cov-2.Scientific Reports 13, 9038.
- Thakur P, Atway J, Limbach PA, Addepalli B. RNA Cleavage Properties of Nucleobase-Specific RNase MC1 and Cusativin are Determined by the Dinucleotide-Binding Interactions in the Enzyme-Active Site. Int J Mol Sci. 2022 Jun 24;23(13):7021.
- Gaye MM, Fox J, Vissers JPC, Reah I, Knowles C, Lauber M (2022) Synthetic mRNA Oligo Mapping Using Ion Pairing Liquid Chromatography and Mass Spectrometry.Waters Application Note – 720007669.June 2022.
720008539JA、2024 年 9 月