• アプリケーションノート

BioAccord™ LC-MS システムおよび waters_connect™ インフォマティクスを用いた合成オリゴヌクレオチド中の不純物プロファイリングのワークフロー

BioAccord™ LC-MS システムおよび waters_connect™ インフォマティクスを用いた合成オリゴヌクレオチド中の不純物プロファイリングのワークフロー

  • Kellen DeLaney
  • Jo-Anne Riley
  • Jonathan Fox
  • Heidi Gastall
  • Laetitia Denbigh
  • Ying Qing Yu
  • Waters Corporation

要約

合成オリゴヌクレオチド医薬品に治療薬としての関心が高まるにつれて、特にパイプラインに加わる新規モダリティーが長さと複雑さを増すにつれ、不純物プロファイルを決定するための効率的な分析法が重要になります。現在確立されている不純物分析用の HPLC-MS(シングル四重極)分析法は、時間がかかり、手動の解析ステップが必要になる場合があるため、人的ミスのリスクが生じて、規制対象の環境における実施には課題が生じます。ウォーターズコーポレーションは、オリゴヌクレオチド不純物分析ワークフローデータパッケージの開発により、これらの課題に対応しました。このワークフローは、UPLC-Tof MS である BioAccord システムで開発されました。これにより、この分析に、より迅速で頑健かつ分離能がより高い分離と、より高い質量分解能と高感度の検出がもたらされます。このワークフローには、設定不要の計算とレポートテンプレートを備えたメソッドが含まれており、データ分析ステップの多くを自動化して、それでもユーザー入力を必要とするいくつかのステップを簡素化することで、分析を合理化しています。これらのツールおよびトレーニングデータセットにより、ユーザーの負担が軽減し、合成オリゴヌクレオチド不純物プロファイルの分析が容易になります。

アプリケーションのメリット

  • ワークフローの合理化により、データ分析にかかる時間が数時間から数分に短縮
  • waters_connect インフォマティクス内の自動化されたコンプライアンス対応データ解析により、手動分析と人的ミスのリスクが低減
  • 使いやすく、すぐに適用可能なメソッドにより、トレーニングの負担が軽減し、日常的なメソッド実行に必要なユーザーの専門知識を軽減
  • BioAccord システムと Xevo QTof MS は、従来のシングル四重極 MS プラットフォームと比較して、より優れたクロマトグラフィー性能および質量分析性能を発揮1

はじめに

ここ数年、医薬品における新しいモダリティーが探索されており、核酸医薬品は大きな注目を集めています。これらのクラスの医薬品の中には、保護反応、カップリング反応、脱保護反応のサイクルによって合成される短い核酸鎖である合成オリゴヌクレオチドがあります。オリゴヌクレオチドは、特定の遺伝子を選択的にターゲットにするため、非常に大きなインパクトがありますが、その合成により、その有効性と安全性に影響する不純物が持ち込まれる可能性があります。合成オリゴヌクレオチドの長さと複雑さが増すにつれて、不純物プロファイルの複雑さも増し、これによって生成物の不純物成分の評価が困難になる可能性があります1

合成オリゴヌクレオチド生成物の不純物測定の分析法はすでに確立されています。ただし、これらの分析法には固有の課題が伴います。通常、不純物の特性解析はシングル四重極質量分析計で行います。この種の装置は、単純な短鎖オリゴヌクレオチドの分析には困難ではあるものの効果的であることが証明されていますが、開発のパイプラインに入ってくる新規のモダリティーには、ほぼ同重体である不純物成分を質量によって分離し、低レベルの不純物を定量するのに十分な感度と分離能を備えた、より高度な LC-MS 分析システムが必要になります。このため、BioAccord システムや Xevo QTof MS などの飛行時間(Tof)型検出器に切り替えることが、分析機能が向上し、ユーザーエクスペリエンスを簡素化できるため、非常に有益です2。 既存のワークフローでは、データの解析中に手動での操作が必要になることが多いため、データ分析にも課題があります。時間がかかるだけでなく、人的ミスの可能性に関連するリスクが伴うため、規制対象のラボ環境でこれらの分析法を実行することは困難です。

これらの課題に対処するため、本稿では、合成オリゴヌクレオチドの不純物分析のために特別に設計された新しくリリースされたワークフローについて詳説します。ここに示すワークフローでは、短いグラジエントでのデータ収集に ACQUITY Premier LC と組み合わせた BioAccord システムを使用することで、スループットが向上し、溶媒の消費量と有害な廃液の生成を最小限に抑えることができました。waters_connect インフォマティクスプラットフォームの UNIFI アプリでデータ分析を行いました。これによって、取り込み、解析、レポート作成が自動化され、収集されたデータの分析が合理化されます。データ分析は、図 1 に概説するように、オリゴヌクレオチドの予想される不純物と予期しない不純物を考慮した 2 つのワークフローで構成されています。

図 1.  オリゴヌクレオチド不純物分析ワークフローパッケージで使用した 2 つのワークフローのサマリー。各ワークフローのガイド付きデータレビュー画面のステップを左に示しています。

実験方法

サンプルの説明

ヌシネルセンを純水で希釈し、異なる容量をカラムに注入して、0.8 µg ~ 2.4 µg の範囲の検量線を生成しました。サンプルは 2 回繰り返しで取り込み、1 回はよりソフトなイオン化条件(400 ℃)、1 回はよりハードなイオン化条件(550 ℃)を用いました。サンプルセットの一例を図 2 に示します。

ヌシネルセンの配列は U-*C-A-*C-*U-*U-*U-*C-A-*U-A-A-*U-G-*C-*U-G-G(「C」および「U」がメチル化)です。精密質量は 7122.2763 Da です。

図 2.  さまざまな濃度レベルでの作業用標準試料溶液の注入と、異なるイオン化条件での 2 回のサンプル注入を含むサンプルセットの例

分析条件

LC 条件

LC システム:

ACQUITY™ Premier(バイナリー)

検出:

ACQUITY Premier TUV、λ = 260 nm

バイアル:

MaxPeak HPS を採用した QuanRecovery バイアル(製品番号:186009186)

カラム:

ACQUITY Premier Oligonucleotide C18 カラム(130 Å、1.7 µm、2.1 mm × 50 mm)(製品番号:186009484)

カラム温度:

50 ℃

サンプル温度:

6 ℃

注入量:

0.5 ~ 2.4 µL

流速:

0.250 mL/分

移動相 A:

5 mM TBuAA、1 µM EDTA、水:ACN(90:10)

移動相 B:

5 mM TBuAA、1 µM EDTA、水:ACN(20:80)

グラジエントテーブル

MS 条件

MS システム:

ACQUITY RDa™ 検出器

イオン化モード:

ESI、ネガティブ

取り込み範囲:

高(m/z 400 ~ 5000)

キャピラリー電圧:

0.80 kV

コーン電圧:

50 V

脱溶媒温度:

ソフトな条件:400 ℃

ハードな条件:550 ℃

インテリジェントデータキャプチャ:

オン

データ管理

統合された UNIFI アプリ(バージョン 3.6.0.21)の 2D Quan および Accurate Mass Screening ワークフローを使用して、waters_connect インフォマティクスプラットフォーム(バージョン3.2.0)でデータを取り込み、解析しました。

結果および考察

オリゴヌクレオチドの不純物プロファイリングにおける面倒なボトルネックは、必要なデータ分析を実行するのに長時間かかることで、特に、データ分析ソフトウェアによって自動的に実行されるステップを補足するために手作業が必要な場合です。現在、合成オリゴヌクレオチド中の不純物の分析に最も一般的に採用されているのは、Ionis Pharmaceuticals によって独自に開発された HPLC イオン対 RP-UV シングル四重極分析法です3。 この分析法は単純なオリゴヌクレオチドに適合していることが証明されていますが、手動の分析ステップが必要であり、より長く複雑な次世代オリゴヌクレオチドを評価する分析機能がありません。

オリゴヌクレオチドのパイプラインの成長と進化をサポートするニーズに対処するため、飛行時間型質量検出器を使用する UPLC 分析法が開発されました。ACQUITY Premier UPLC システムでは UPLC 分離にかかる時間が短いため、溶媒の消費量が減り、結果として生じる有毒廃液の生成が減ると同時に、分離の質と分析スループットが向上します。BioAccord システムの高分解能質量検出器を使用することで、不純物割り当てにおける質量測定誤差が少なくなり、ほぼ同重体の不純物の検出が改善します。例えば、配列不純物である n-U と n-C は、質量がわずか約 1 Da しか異なりません。チャージ状態 -4 では、その m/z 値が近すぎて(それぞれ 1681.0468 と 1681.2928)、シングル四重極 MS で区別できませんが、BioAccord システムでの Tof 検出では簡単に分離されます。

従来の Ionis 分析法では、ユーザーによる手動入力を必要とする多数のステップがあるため、スループットに限界があります。この分析法は、この手動での操作への依存のために、時間がかかるだけでなく、トレーニングが難しく、規制環境での実行が困難になります。初心者が従来の分析法を確実に実行するには、かなりのトレーニング(多くの場合、数週間から数ヶ月)が必要であり、手動のデータ解析に依存しているため、人的ミスに関連するリスクが増大します。

新しいオリゴヌクレオチド不純物分析ワークフローでは、データ分析ステップの多くが自動化され、それでもユーザーによる入力が必要ないくつかのステップが簡素化されて、時間、ミスのリスク、必要なユーザートレーニングが低減することで、データ分析が合理化しています。この自動データ解析アプローチを使用すると、解析に 1 日かかっていたデータセットを 1 時間以内にレビューできるようになります。データパッケージで提供されている既定の分析メソッドは、さまざまな完全長産物および関連する不純物に容易に適用できます。

データ解析のメソッドは、「ターゲット」および「ノンターゲット」とラベル付けされた 2 つの主要なワークフローで構成されています。ターゲットワークフローには、システム適合性のステップ、併行精度のチェック、検量線の生成、完全長産物(FLP)からクロマトグラフィー分離された不純物の UV 波形解析のステップが含まれ、FLP と共溶出する既知不純物の抽出イオンクロマトグラム(XIC)波形解析のレビューが容易になりました。ノンターゲットワークフローには、FLP のアイデンティティーを確認するためのシステム適合性試験(質量およびナトリウム付加イオンのレベルに基づく)、および FLP と共溶出するすべての未知不純物の XIC 波形解析のレビューが含まれます。

まとめると、図 1 にまとめたこれら 2 つのワークフローは、BioAccord LC-MS 装置で取り込まれた単一のデータセットに対してシームレスに機能し、ACQUITY Premier UPLC システムと ACQUITY Premier Oligonucleotide カラムのクロマトグラフィー性能を利用してより迅速な分離(従来の HPLC-SQ のおおよそ半分の時間)が可能になります。それに応じて、溶媒使用量の削減が実現し、有害な廃液の生成(この分析で使用する溶媒と有毒なフッ素化イオン対試薬における重要な課題)を低減することができます。

ターゲット不純物分析ワークフロー

ターゲットワークフローには、UNIFI アプリ内の定量アッセイ Tof 2D クロマトグラフィーワークフローを使用した、UV データまたは MS データのいずれかによるデータの質の分析および不純物ピークの波形解析のシステム適合性チェックが含まれています。ワークフローの最初のステップでは、UV 波形解析の手動調整を行うという選択肢がユーザーに提供されます。オリゴヌクレオチドは多くの場合、顕著なピークテーリングを示し(これは Premier UPLC システムと Oligonucleotide カラムによって大幅に低減しますが)、適切な波形解析の垂線がどこなのかを判定するのが困難になることがあります。確立された標準分析法では、FLP 波形解析のカットオフポイントは、FLP と共溶出する最後に溶出する不純物の保持時間に基づいて決定する必要があると規定されています3。 このワークフローのステップでは、これらの基準に基づいてカットオフポイントを計算し、この値を報告します。ユーザーは、この報告されたカットオフポイントになるように、UV の垂線を手動で調整するだけです。

ワークフローの次のステップは、注入の併行精度の評価です。これは、同じ濃度の作業用標準試料溶液(WSS)の繰り返し注入によって行います。このガイド付きデータレビューステップでは、各注入における FLP UV ピークに関する関連情報(実測保持時間、UV レスポンス、計算濃度など)が表形式で示されます。表の下部には、これらの各値の平均および % 相対標準偏差(RSD)が示されます。これらの情報を使用して、装置のパフォーマンスおよびデータの質を評価します。

同様に、次のガイド付きデータレビューステップでは、結果の適切な定量を確保するための、さまざまな濃度の WSS の注入から生成された検量線が示されます。検量線は UV データと MS データの両方について生成され、各検量線について、トレンドラインの式と R2 値が報告されます。図 3 に、ワークフロー内の検量線のレビューステップのスクリーンショットを示します。メソッドには限界チェックが含まれており、許容基準外の値を持つ結果にはフラグが立てられます。

図 3.  ワークフロー主導のデータレビューステップ。既知不純物定量のターゲットワークフローを使用した作業用標準溶液(WSS)中の完全長産物(FLP)の検量線を示しています。テーブル(上)には、検量線に含まれる各注入の情報が示されています。検量線(右下)には、トレンドラインの式と近似の質を示す R2 値が示されています。

次の 3 つのガイド付きデータレビューステップでは、図 4 に示すように、UV チャンネルと MS チャンネルをそれぞれ使用したピーク波形解析が示されます。FLP からクロマトグラフィー分離されたピークは、UV 波形解析を使用して定量されます。これらのピークはクロマトグラムに黄色で示され(図 4、左)、保持時間、面積、相対面積(%)がクロマトグラムの下の表に報告されています。また表には、純度の計算に使用できる早く溶出するピーク(FLP の前)と遅く溶出するピーク(FLP の後)の合計面積(%)が記載されています。

以下のガイド付きレビューステップでは、ターゲット成分リストに含まれている、FLP と共溶出する不純物ピークの XIC 波形解析をレビューすることができます。このステップでは、ソフトなイオン化条件とハードなイオン化条件で取り込みを行った注入におけるこれらのピークを比較することができます。イオン化の過程で付加イオンが生成されることがよくあります。この付加イオンが未知の場合、不純物と誤認されることがあります。付加イオンピークを不純物ピークから区別するために、(例えば、より高い脱溶媒温度を使用して)サンプルをよりハードな条件下でイオン化することがよくあります。これらのよりハードな条件下では付加イオンが遊離するため、ソフトな条件とハードな条件でのピークを比較することで、同じ m/z の不純物に対する付加イオンの寄与が明らかになります。

図 4. (上)UV データと(下)MS データからの抽出イオンクロマトグラム(XIC)を使用して、クロマトグラフィー分離された不純物と既知の共溶出する不純物をそれぞれ定量する、波形解析結果のサマリー

2 つの条件の間でピークを手動で比較すると時間がかかることがありますが、図 5 に示すように、このワークフローではこの 2 回の注入を重ね描きすることができるため、このステップが容易になります。ここでは、ハードなイオン化とソフトなイオン化の違いが、既知の不純物の m/z に対応する XIC 中に見られます。2 回の注入を重ね描きすると、ハードなイオン化では、ピークの一部が欠落している一方でピークの残りの部分は保持されていることがわかります。ハードな注入で欠落しているピークの部分は、m/z が不純物と同じの未知の付加イオンに起因する可能性があるため、波形解析から除外することができます。その結果、不純物の面積割合が少なくなり、サンプル中の実際の不純物量をよりよく反映します。リスト内の既知の不純物をそれぞれレビューし、必要に応じて手動で調整した後、得られた各ピークの XIC の波形解析の結果が、以下のガイド付きデータレビューワークフローステップに示されます(図 5 右)。

最後の 4 つのガイド付きデータレビューワークフローステップでは、(ターゲット成分リストのラベルで示されている)不純物の種類に基づいて不純物および付加イオンをグループ化し、複数の注入にわたる平均量をまとめることで、不純物と付加イオンをまとめています。

図 5.  ターゲットワークフローでハードなイオン化とソフトなイオン化を比較して、同じ m/z の既知の不純物から付加ピークを区別するためのガイド付きデータレビューワークフローステップ

ノンターゲット(共溶出未知化合物)不純物分析ワークフロー

ノンターゲットワークフローでは、UNIFI アプリ内の精密質量スクリーニングワークフローを使用して、追加のシステム適合性試験を行い、合計 XIC に基づいて、FLP と共溶出している未知不純物を定量します。最初のガイド付きデータレビューワークフローステップはアイデンティティーテストです。この試験では、サンプルから測定された m/z を、WSS 注入における同じ FLP の m/z またはノンターゲット成分リストに含まれる理論値のいずれかと比較することで、FLP のアイデンティティーを確認します。m/z の差が指定されたしきい値(例えば、0.2 m/z)より小さい場合、テストは合格です。このステップでは、FLP XIC および MS スペクトルも示され、同位体エンベロープが緑色で示されています(図 6)。

図 6.  ノンターゲットワークフローを使用して完全長産物(FLP)のアイデンティティーテストの結果を視覚化するガイド付きデータレビューワークフローステップ

ナトリウム付加イオンテスト機能も同様で、FLP のナトリウム付加イオンのピークの相対強度が FLP のピークと比較して指定されたしきい値(ここでは 3%)を下回っている場合に合格です。いずれのテストのしきい値も、メソッドでは容易に編集できます。

ターゲットワークフローと同様に、ノンターゲットワークフローでも、ソフトなイオン化とハードなイオン化を比較することで、不純物ピークを付加イオンピークから区別することができます。ディスプレイ(図 7)には、ソフトなイオン化とハードなイオン化の XIC クロマトグラムとスペクトルの比較を示すミラープロットが含まれています。クロマトグラム上の緑線は差を示し、ユーザーは、ピークが存在する場合、ピークのどの部分が付加イオンの存在によるものかを簡単に知ることができます。次にそれに応じて波形解析を手動で変更することができます。

ガイド付きデータレビューワークフローの最終ステップでは、FLP と共溶出する検出されたすべての未知不純物がリストされ、そのスペクトルおよび定量に使用された XIC の波形解析が示されます。不純物は、指定した検出のしきい値(たとえば FLP より低い m/z では相対強度 0.2%、FLP より高い m/z では相対強度 0.3%)を上回る場合にのみこのリストに含まれます。二重カウントを避けるために、このリストでは、FLP からクロマトグラフィー分離されたものや既知不純物として成分リストに存在するものを除外しています。

図 7.  付加イオンを同じ m/z の不純物ピークから区別するために、ノンターゲットワークフローのミラープロットを使用して、ハードなイオン化とソフトなイオン化を比較するガイド付きデータレビューワークフローステップ

レポートテンプレート

オリゴヌクレオチド不純物分析ワークフローのデータパッケージに含まれるレポートテンプレートを利用して、データおよび結果を迅速に伝達するために明確かつ簡潔にデータを体系的にまとめることができます。ターゲットワークフローおよびノンターゲットワークフローについて個別のレポートが作成されます。ノンターゲットワークフローのレポートページの例(図 8)には、分析に関する基本情報を示すヘッダーページが含まれており、そのワークフローによって生成されたシステム適合性情報のサマリーがそれに続きます。その他のページには、検出されたすべての不純物とその相対レスポンスをリスト化した表など、不純物の定量に関連する情報が示されています。最終レポートのセクションには、定量された各不純物の個別の XIC など、データの質の確認情報が含まれています。

図 8.  不純物分析のノンターゲットワークフロー用に設計され、カスタマイズされたレポートテンプレートから作成されたレポートのページの例

結論

合成オリゴヌクレオチドが医薬品としてより注目されるにつれて、複雑な不純物プロファイルを迅速かつ確実に分析するための新しい分析法が必要になっています。手動データ分析を減らすことは、スループットを高め、人的ミスのリスクを減らすための鍵になります。当社のアプローチでは、自動データ解析を含む最新のワークフローを使用して、十分に確立された HPLC シングル四重極 MS 分析法の欠点を解決しました。このデータパッケージは、waters_connect 内のコンプライアンス対応の UNIFI アプリを使用して動作する UPLC-Tof MS システムで開発されました。データパッケージ全体で、必要なデータ分析の大部分を自動化し、ユーザーは、まだ手動での操作が必要なステップを簡単に実行できるようにガイドされます。これらの統合されたガイド付きデータレビューワークフローステップにより、データ分析の各部分でユーザーは導かれ、内蔵されたレポートテンプレートにより、大量のデータが明確で簡潔な表および視覚表示に示されて、迅速な伝達が行えます。このワークフローパッケージは、さまざまな合成オリゴヌクレオチド産物および不純物に容易に適合するように設計されているため、新しい分子ごとに長時間かかる分析法開発を行うという問題が軽減されます。最終的に、次世代のオリゴヌクレオチドには、このアプリケーションノートで説明したツールと方法が必要になります。

参考文献

  1. Pourshashian S. Therapeutic Oligonucleotides, Impurities, Degradants, and Their Characterization by Mass Spectrometry.Mass Spectrom Rev. 2019 Dec, 40(2), 75–109.
  2. Doneanu CE, Knowles C, Fox J, Harry E, Yu YQ, Fredette J, Chen W. Analysis of Oligonucleotide Impurities on the BioAccord System with ACQUITY Premier.Waters Application Note.2021 July; 720007301.
  3. Rentel C, Gaus H, Bradley K, Luu N, Kolkey K, Mai B, Madsen M, Pearce M, Bock B, Capaldi D. Assay, Purity, and Impurity Profile of Phosphorothioate Oligonucleotide Therapeutics by Ion Pair-HPLC-MS.Nucleic Acid Therapeutics.2022 March, 32(3), 206–220.

720008206JA、2024 年 1 月

トップに戻る トップに戻る