DESI XS

表面から化学情報を直接取得する

脱離エレクトロスプレーイオン化（DESI）質量分析は、幅広いサンプル表面から化学情報を直接取得できる手法です。DESI イメージングでは、情報量の多い鮮明なイメージを通して、表面もしくはその周辺の分子の空間分布についての情報が得られ、科学者は「この成分はサンプル中のどこに存在するのか？」という基礎的な疑問に答えることができます。

性能と操作性の向上

高性能スプレーヤーを使用することで、感度と解像度が共に向上し、サンプル中の成分の空間的局在をより迅速かつ容易に決定することができます。また、加熱トランスファーラインを用いたより効率的なイオントランスファーによってこの機能が補完され、DESI 手法の感度と対象分子の範囲がさらに拡大し、これまで不可能であった低濃度の化合物を視覚化できるようになりました。

スプレーヤーの操作性と再現性の向上により、最小限の最適化でより明瞭なイメージ生成が可能になるため、化合物を視覚化して得られた情報を新たな知見に変換し、迅速かつ容易に次のアクションに移ることができるようになりました。これらのテクノロジーの組み合わせにより、ラボ全体の生産性が向上し、個々のピクセルポイントでデータを取り込むために必要な時間が短縮することで、イメージ生成が加速します。

性能のための設計

このイオン源設計には、部分的に密閉された筺体が含まれます。このため、オープンな DESI イオン源と比較して環境安定性が高く、サンプル分析中の大気による干渉が低減します。それにより、ユーザーとサンプルの両方に安全な環境を提供し、溶媒蒸気やサンプルエアロゾルを隔てるポテンシャル障壁を提供しつつ、分析中のサンプルが汚染しないように保護します。

以前の視覚化とは異なり、このイオン源には DESI スプレーヤーとサンプルの側面を見るためのカメラが付属しています。これにより、DESI 分析に最適なスプレー位置を簡単に見つけることができます。このイオン源の内部コンポーネントは、堅牢性と使いやすさを考慮して設計されています。スプレーヤーのアーマチュアはケージ式ローラーベアリングを含むスプリング式アームで精密に製造されており、大規模なサンプル取り込みにおける精度と耐久性が実現します。

顕微鏡ステージの主要メーカーとの提携により、さまざまなホルダーを利用できるように設計されたこのイオン源に、先進的なステッピングモーターステージを組み込み、多様な種類の検体の測定が可能になりました。独自の S 字型カーブ加速アルゴリズムにより、振動を起こすことなく、位置決めを速やかにかつスムーズに行うことができ、その結果、サンプルの破壊が低減し、的を絞った一貫したイメージングが期待できます。このイオン源では、エレクトロニクスとガス取扱いをはじめて統合し、分析の最後にガスと電圧が自動的に止まります。これにより、環境への負荷が減少するだけでなく、MS イメージングの消耗品コストが削減でき、DESI スプレーヤーの寿命が延びます。

情報の強化によるディスカバリーの加速

DESI XS イオン源を使用すると、信頼性の高い一貫したシグナル強度のイオンイメージを生成でき、分子の空間分布を明瞭に視覚化できます。分析時の意思決定に確信が持て、ディスカバリー研究が加速します。明瞭な分布と成分を示すイメージは、High-Definition Imaging（HDI）ソフトウェアと付随する MS イメージング MicroApps で容易かつ迅速に処理されます。DESI XS は、Xevo G3 QToF、SYNAPT XS、SELECT SERIES Cyclic IMS、SELECT SERIES MRT を含む HRMS ラインナップにわたって使用可能です。

また、DESI XS は、SYNAPT XS および SELECT SERIES MRT でのみ使用できるフルスペクトル分子イメージングシステムソリューションの主要コンポーネントです。このソリューションは、ペプチド、脂質、低分子の代謝物質などの分析に適した分析手法の組み合わせを利用しています。採用しているデュアルイオン化手法が補完し合い、質量分析イメージングで得られる最も包括的な情報が得られます。