水性溶媒系 GPC 分析では、ポリマーの特性解析を行う化学者が全く新しい問題に直面します。水性溶媒系 GPC 分析用の最も標準的な高性能充塡剤は、カルボン酸残基を持つ親水性メタクリレートゲルから調製され、カラムケミストリーは全体として陰イオン電荷を帯びています。水溶性ポリマーの GPC 分析を行う際に一定の対策手順を行わない場合、サンプルと充塡材の間に電荷相互作用が生じる可能性があることを認識していなければなりません。理論上は、ポリマーが中性であれば、純水を溶媒として分析できます。ポリマーが陰イオン電荷を帯びている場合に溶離液として純水を用いると、ポリマーはカラムによって排除され、ボイドボリューム時間に溶出します。逆に、ポリマーが全体的に陽イオン電荷を帯びている場合は、サンプルがカラムに吸着し、溶出しません。このようなイオン性に関する多くの問題は、0.10 M NaNO3 などの電解質を添加することで簡単に解決することができます。中性サンプルの場合も、溶離液として 0.10 M NaNO3 を使用するとよいでしょう。適切な溶離液 (「水溶性ポリマーの溶媒選択ガイド」を参照) を使用することで解決する必要のある問題には、以下のようなものがあります。
吸着や分配作用など上記以外の相互作用が起きることもありますが、上記の 5 つの問題が最もよく見られるものです。既に示した水性溶媒の選択ガイドは、特定のアプリケーションに適した溶離液を選択する上で役に立ちます。このガイドに示したアプリケーションのほぼすべてのクロマトグラムを用意しております。特定のサンプルについてサポートが必要な場合は、当社までご連絡ください。
3 つの異なる水溶性ポリマーを、屈折率検出器を備えた Alliance システムで分析しました。分析したポリマーは (以下のとおり)、ヒドロキシエチルセルロース、ペクチン、およびポリアルギン酸です。複数の分析結果の分子量分布を重ね合わせて示してあります。再現性が優れていることをご確認ください。すべての分析で、3 本の Ultrahydrogel カラム (Ultrahydrogel Linear を 2 本および Ultrahydrogel 120 を 1 本) のカラムセットを使用しました。なお、溶離液は、中性および陰イオン性の親水性ポリマーに最適な 0.10 M の硝酸ナトリウムを使用しました。
ポリエチレンオキシド (PEO) の単分散標準試料を使用して作成した較正曲線であるため、表示されている分子量平均は PEO に基づいたものです。
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