【日本国内編】 お客様事例

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大陽日酸株式会社様

Users Voice お客様活用事例トピックス

大陽日酸株式会社
開発・エンジニアリング本部
SI合成研究室
福田健治様にお話を伺いました。


福田健治様
―今日はお忙しい所、ありがとうございます。 よろしくお願いします。

 よろしくお願いします。

―まず福田様が ACQUITY UPLC をお知りになった経緯をを教えてください。

液クロメーカーとしてウォーターズは大変有名な会社ですし、展示会等で知っていました。アミノ酸の分析システムをWEBで検索して AccQ-Tag Ultra を知りました。

―今、お使いなのはEmpowerソフトウェアコントロール、TUV検出器の ACQUITY UPLC アミノ酸分析システム ですね。アミノ酸分析法というのも色々ありますが、今回のこのUPLCのアミノ酸分析法を購入された理由は何でしょうか。

はい。今までニンヒドリン式アミノ酸用HPLCをつかっていて、これだと1分析に1時間から短くても50分くらいかかっていました。装置が老朽化してきたので更新しようと思ったんです。15年くらい前のニンヒドリン式装置なんですが、50分とか1時間とかいう分析時間は最新式でも変わっていないんです。20から30分で分析できるものもありますが、ウォーターズのUPLCの倍くらいの価格になります。前処理は全くないので楽は楽なんですが。例えば反応のモニターに使いたくても1時間後のデータしか取れませんし、1日に10サンプルも20サンプルも出来ないので、誘導体化して分析するシステムに変えようと考えました。

OPAは前処理は反応の前後に人の手が必要になってくるんですよね。一方AccQ-Tagでは手がかかるのは反応前だけで、反応させてしまえば安定でそのまま分析できる状態です。数十サンプル分析しようとしたときトータルの時間としてはAccQ-Tagの方が短くなります。さらに、分析時間が同程度でもデータ処理に時間がかかってしまっては意味がありませんので、ソフトの使い勝手を重視しました。購入前にソフトの使い勝手を体験させていただいて、その結果トータルバランスで優れていましたのでACQUITY UPLCを選びました。

―分析時間はAccQ-Tag Ultraだと約9分ですね。サンプル処理数は現在お使いの一台でかなり数をこなせますか?

そうですね。ほとんど毎日5サンプルから20サンプル、多い時で50サンプル位を測っています。


―感度としては十分でしょうか?

はい。弊社ではアミノ酸そのものを取り扱っていて、分析していますので、微量成分を計ることはあまりないので、感度は充分です。


―アミノ酸を取り扱っておられるということですが、そのアミノ酸は合成アミノ酸ですか?

基本的にはタンパク質を構成している20種類のアミノ酸ですが、ちょっと特殊なんです。部署名のSI合成研室のSIは「Stable Isotope」安定同位体の略でして、取り扱っているアミノ酸は安定同位体で標識されています。例えばアミノ酸の窒素を15N、炭素を13Cにしたり、水素を重水素にしたアミノ酸です。用途は無細胞合成系によるNMRを用いたタンパク質構造解析と、MS用の内部標準物質などです。

―分析の目的は定量と定性のどちらですか?

両方です。


―このACQUITY UPLCというのはアミノ酸分析の場合はもうメソットが決まっているんですけれども、基本的には速い、あとは分離能が高い、感度が高い、と3つの点を私どもでは紹介しているんですね。それをアミノ酸だけだとなかなか感じていただくことが難しいかもしれないんですけれども、やっぱりスピードが一番でしょうか?

アミノ酸の分析計としては、もう驚異的に速いですね。


―驚異的に速いですか?

はい。


―ところでAccQ-Tagで反応させた誘導体というのは、UVでも蛍光でも検出できて、実はMSにも使えます。ちなみにあとAccQ-Tag法というのは2級アミノ誘導体ができるのが特徴のひとつなんですが、その点はお役に立っていますか?

一長一短です。生体成分のサンプルを測っている時にアミノ酸以外の物が結構誘導体化されて色々出てくることがあって。 


―見たくないものが誘導体化されて見えてしまうということですね。

見たくない時もありますが、アミノ酸以外で反応系に添加しているものを単品で分析して、検出されると分かれば、減りようが見えたりするので良い時もあります。


―逆に何かちょっとモニターしてみたりするのでしょうか?

はい。



Empowerソフトウェア の詳細についてお聞かせいただけますか?

データ処理からレポート編集までの操作が一番自分にあっているというか、自分が出したい形式がすぐに得られるというのがこのソフトウェアです。例えばクロマトを幾つも、別々に並べ、なおかつそれに簡単なコメントが全部載るということがなかなか他ので簡単に出来ないんですよね。それがパッと出来て、時間が短縮されるのがいいですね。解析の画面でスペクトルが1個に1個しか使えないソフトもありますが、Empowerは複数扱えます。それに1度に複数のクロマトの処理が出来る。私は他社製でも普通にできるものと思ったんですが、全てを簡単にできるものは他社にはありません。

―UPLCのコントロール画面はいかがですか?UPLCのポンプや圧力や温度など色々なものをモニターしているのですが。

トラブルがあって止まっている時にいつ止まったのか分かるのが非常に役に立っています(笑)。

―そうですか。ちなみにどの位のシステム圧で測定してらっしゃいますか?

気にしていません。



―そうですか。アミノ酸の場合、メソッドが決まっているから良いですけれども、結構普通の使い方をされているお客様は、普通の装置、例えば4,000psiとか5,000psiとか使い慣れておられてますよね。これは高耐圧な15,000psiな訳ですよね。非常に高圧なので。キロに直すと約1,050キロぐらいになります。これに対して何か心配だったりしますか?

  あまり心配してないですね。

―そうですか。信用して頂いていているということでしょうか?

そうですね。弊社でも高圧を扱っているメーカーなんで(笑)。


―そうですか。あとACQUITY UPLCではカラムに付属しているeコードにカラムの使用履歴が残っていて、PCからそれが見られるんですが。

これは素晴らしいと思います。何回測ったか分かるというのは。


―それから、温度の記録や圧力の記録や、あといつサンプルをうったとか。それと、出荷時のデータや、バッチのデータがこのeコードに入っているんです。ですので、カラムの箱に証明書などの紙が入ってないじゃないですか。よく何本も使ってらっしゃる方は、箱を間違えたりすることもあるんですけど、シリアルナンバーも全てその中に入っているのでPCで知ることができるんです。
―ハードウェアの使い勝手についてはコメントはありますか。

ソフトウェアで全部この辺のバルブなどを制御するのは一長一短だと思うんですけれども、定常的な分析をしている現在はプライミングも全部ここから制御してもらってメソットを組むと、ほとんどオートでやってくれますので重宝しています。


―あとクロマト全般に関して、こういう装置があったらとかこういう仕組みがあったらとか、ご要望などはございますか?

そうですねぇ。実験台への固定がきっちりできるといいですね。



―そうですね。地震大国としては課題ですね。固定するベルトをかけるケースが多いでしょうか。検出器が2台の場合は横に置くほうがいいですね、2段で。接地面積を減らすようにデザインした理由のひとつが省スペースなんですよね。お客様の中には省スペースしたいということで積み重ねて使う方が多いです。

横にネジがあったりするので。違う目的のネジなんでしょうけど、これが使えれば…。固定用のネジ穴が開いているだけでもいいかもしれないですね。


―私どもとしては貴重なお話をたくさん聞かせていただきましたが、アミノ酸をこれから分析される方にメッセージがあればお聞かせください。

他のメーカーと比べて前処理から分析・解析・レポート作成と言う流れで、特に優れているのはソフトウェアの所だと思うんですが、前処理も他社製品に比べて楽ですし、ハード的にも高圧だからといって液漏れすることもなく心配なく使えます。やはりソフトウェアが秀逸なので、トータルのバランスとして一番良いと思います。

―ありがとうございます。

はい。あとは、お願いしたい事があるとすると、アミノ酸に関してはもう少しデータというか実績みたいな所をどんどん積み上げていってもらいたいですね。データを取り揃えてくれると助かるかなと。


―わかりました。そうですね。標準品の他にも、色々な生体試料でアプリケーションを出しているんですけれども、反応十分な量だと思って前処理反応をかけても、他に2級アミノ酸があるんですよ。それが食っているんじゃないかとかいう現象が出てくるケースなどがあるな、そうなると一件一件色々なケースを積み重ねていった方が良いな、と本当に思っているところです。
大陽日産株式会社開発・エンジニアリング本部SI合成研究室―ではここで、大陽日酸様のPRをお願いします。
このアミノ酸分析計を使った定量・定性分析をはじめ、きっちり品質評価しているアミノ酸です。安定同位体試薬というのは大変希少なので、品質についてJISやISOで規定があるわけではありませんが、タンパク質合成や内部標準物質として用いられているので厳しい品質管理をしています。


―ありがとうございます。他に会社としてメジャーな、例えば『うちの会社はこういう会社です』のような、そういったものはありますか?○○のリーディングカンパニーなど、そういう…。

何でアイソトープを扱っているかというところなんですが、同位体の13Cと15Nと重水素っていうのはガス状態から分離します。酸素ガスだったり、水を蒸留していたり、NOやCOなど。そういうものの中に含まれている少量の安定同位体を分離してくるんですが、大陽日酸は国内最大手の工業ガスメーカで、空気から酸素、窒素、アルゴンなどの工業ガスを蒸留精製する技術を持った会社です。その蒸留技術が究極的に至ったところが同位体の分離の蒸留ということになります。酸素ガスには16と17と18の同位体があるんですが、現在弊社ではそこから18 Oを蒸留して世界最高純度の18Oを製造しております。私の所属している部署ではそういう本業の技術の究極的なところの原料を利用したり、その他の安定同位体標識化合物を扱っています。

―ありがとうございました。



担当者コメント:
ACQUITY UPLC アミノ酸分析法 は食品・製薬分野でよくご利用いただいている分析法なのですが、同位体化合物の分析に用いられているという興味深いお話を伺うことができました。ウォーターズとしても様々な分野への応用が可能となるよう、データを充実させるべく取り組んで行きたいと思います。これからもよろしくお願いいたします。
今回取材にご協力頂いた大陽日酸株式会社SI事業部様ホームページはこちら


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