ナイロンおよびポリエステル

ナイロンおよびポリエステルの GPC 分析では、長年にわたり 100°C の m-クレゾールが溶媒として使用されており、実施するのが非常に困難だという歴史がありました。m-クレゾール以外にもさまざまな溶媒が試されてきましたが、その中ではヘキサフルオロイソプロパノール (HFIP) が優れています。HFIP にはナイロンとポリエステルが室温で溶解するという点で、m-クレゾールより優れています。欠点はコストです。HFIP は、1 L あたり約 1,000 ドルです。このため当社では、HFIP を溶媒として用いてこれら 2 つの多用されるポリマーの GPC 分析を行う際に、溶媒効率の高いカラム (内径 4.6 mm) を使って研究してきました。このカラムの長さは 30 cm ですが内径が (従来の 7.8 mm カラムと比較して) 小さく、溶媒使用量 (および廃棄コスト) を大幅に節約できます。通常、流速は約 0.35 mL/min です。これは通常使用する 7.8 x 300 mm カラムを 1.0 mL/min の流速で使用した場合とほぼ同じ溶離液の線速度となります。この溶媒効率の高い HFIP カラムには、0.05 mL/min で直接 HFIP に置換できるように、メタノールが封入されています。

当社の行ったナイロンおよびポリエステルの分析では、極性相互作用を防ぐため HFIP に 0.05 M トリフルオロ酢酸ナトリウムを添加しました。特にナイロンでは、HFIP に塩を添加しない場合、低分子量側にテーリングが出現します。この分析でも、dRI 検出器を備えた Alliance GPC システムを使用しました。Alliance システムのシステム容量は小さい (分散度が低い) ため、4.6 mm カラムでも優れた分離能が得られます。カラムは、HR2、HR3、および HR4 を使用しました。これらはそれぞれ 500 Å、103 Å、および 104  Å の範囲の高分離能カラムです。RI 検出器およびカラムの温度は 30°C に保ち、PMMA の単分散標準試料とサンプルの注入量は25 µL です。ポリスチレンは HFIP に溶解しないため、ポリ (メチルメタクリレート) の単分散標準試料を使用します。これで、優れた結果を得られます。

以下に、HFIP を溶離液として用いた PMMA スタンダードの 3 次多項式フィッティングによる較正曲線を示します (スタンダードはそれぞれ 3 回のインジェクション)。この較正曲線で、スタンダードの保持時間の再現性が優れていることを確認できます。


最初に分析を行ったサンプルは、以下に示すポリ (エチレンテレフタレート) (PET) およびポリ(ブチレンテレフタレート) (PBT) でした。



また以下に、ナイロン 6/6 の 5 つの分子量分布を重ね描きした結果を示します。ナイロン 6/6 のブロードスタンダードを使って較正を行ったため、ナイロンサンプルの「絶対」分子量が示されています。


HFIP を溶離液として使用した最後の分析では、カテーテルの製作に使用される医療用プラスチックグレードのポリエーテル/アミド共重合体の 2 つのサンプルを対象としています。これらの 2 つのサンプルは物性も加工性も異なりますが、FTIR、熱分析、レオロジー的測定、メルトフローインデックスなどではサンプル間の違いを確認できませんでした。

それぞれの分子量分布では(ここでは 5 つを重ね合わせて示してあります)、これら 2 つのサンプルは全く同じように見えます。



しかしながら、それぞれのサンプルの 5 つの MWD を重ね合わせて見ると、2 つのサンプル間に違いがあることを簡単に確認できます。Alliance システムの再現性が優れているため、これらの MWD のわずかな違いが実際に存在しており、インジェクション間のばらつきによるものではないと確信することができます。

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