タンパク質消化物には数百ものペプチドが含まれることがあるため、信頼性の高い結果を得るためには分離が非常に重要です。UPLC^®ペプチド分析ソリューションは、比類のない分離と感度を従来のHPLC分析法よりも短時間で提供します。

ウォーターズの科学者は、ケミストリ、装置、ソフトウェア、分析法から操作性、文書化、アプリケーションサポート、リモートサービスまで、ペプチド分析のあらゆる側面を考慮して、UPLCペプチド分析ソリューションを作り上げました。ウォーターズのend-to-endシステムは、独自のペプチド分離テクノロジーカラムを高度なUPLC/MSパフォーマンスと結合したものです。その結果、複雑なタンパク質消化物の分離の向上、卓越したグリコペプチド分離、スループットの向上が実現されました。

UPLC ペプチド分析ソリューションの構成 :

• ACQUITY UPLC^® システム
• ACQUITY UPLC カラムマネージャ
• ACQUITY UPLC PDA、TUV または SQ 検出器
• 装置制御ソフトウェアとしてのMassLynx™ または Empower™ソフトウェア
• トリフルオロ酢酸(TFA)およびギ酸(FA)添加移動相向けに最適化されたポアサイズ130Å または300Å の ACQUITY UPLC BEH130およびBEH300 ペプチド分離テクノロジーカラム
• MassPREP™ スタンダード
• 高感度の精密質量UPLC/MSデータを取得するためのXevo™QTof MS、LCT Premier™XEおよびQ-Tof micro™質量分析装置
• 自動データ分析を行い、高分離能ペプチドMSデータの解析とレポーティングをするためのBiopharmaLynx™アプリケーションマネージャソフトウェア

UPLCペプチド分析ソリューションは、ウォーターズのソリューション(Assured Performance Solutions : APS)の1つであり、アプリケーション中心の極めて優れたパフォーマンスを提供できるよう特別に最適化された、装置、ケミストリ、ソフトウェア、定性ツールなどの業界をリードするテクノロジーを1つにまとめたシステムです。科学者が科学者のために設計したこれらのソリューションにより、アプリケーションのニーズを満たす最適なソリューションを確実に選択することができます。

ペプチド分析に成功するための鍵

ペプチドマッピングは、バイオ医薬品の包括的な特性解析にとって重要なテクニックです。ペプチドマッピングでは、各個々のペプチドフラグメントがシングルピークとなるよう分離する必要があります。タンパク質消化物が複雑であるため、これはクロマトグラフィの大きな課題となっています。

酵素によるタンパク質の消化によって大量のペプチドフラグメントが生成されることに加え、1つのペプチドについて考えられるさまざまな構造(翻訳後修飾、酸化など)も難しさの原因となります。ペプチドマッピングで十分な分離を得るためのプロセスは、単調で時間がかかります。多くの場合、優れた分析メソッドは測定時間が長く、必要とされる堅牢性を備えていません。これらの要素は、すべてUPLC^®ペプチド分析ソリューションによって対処することができます。

この専用のシステム構成には次のようなメリットがあります。:

• 分離、再現性、感度を向上
• クロマトグラフィの分離と、極端なモル比においても歪みのないピーク形状による、変異ペプチドの定性および定量分析
• 幅広いダイナミックレンジにより、定量の下限でも極端なモル比にあるペプチドを検出可能
• タンパク質の特性解析に不可欠なペプチドマッピングの柔軟性
• 品質管理試験が実施され、ペプチド消化物を使用して再現性が確認されたカラムを使用した分析法開発の選択

分離の大幅な向上

HPLCと比較するとUPLC^®のペプチドマッピングは大幅に向上します。小さいパーティクルの使用により可能になる分離によって狭いピークが得られるため、卓越した分離が実現されます。同様に、ペプチド分離テクノロジーに使用されている充填剤の界面化学により、幅広いペプチド構造できわめて優れたピーク形状が得られます。

この注目に値するカラムパフォーマンスは、最大の感度を維持しながら高い効率で分離を行うために必要となる、システム容量の削減、検出器バンド幅の広がりの最小化、データ取り込みレートの向上を特長とする、ACQUITY UPLC^®システムの最適化された装置以外では達成できないものです。

HPLCとUPLCの分離能の比較

酵母アルコールデヒドロゲナーゼのトリプシン消化物をHPLCとUPLCを使用して分離した結果の比較からわかるように、UPLCは2倍の分離能を備えています。

変異ペプチドの定性および定量分析

UPLCペプチド分析ソリューションのすべての要素が、微量ペプチドの定性検出と定量測定の成功に貢献しています。 :

• ACQUITY UPLCに基づく流路のパフォーマンスが保持時間の再現性を保証
• 大きいピークと小さいピークの両方についての高い分離能が正確な積分には不可欠
• ペプチド分離テクノロジーのパーティクルが、クロマトグラフィ分離と、極端なモル比においても歪みのないピーク形状を実現
• このシステムの高度な光学系および質量検出テクノロジーの幅広いダイナミックレンジにより、定量の下限値でも極端なモル比におけるペプチドを検出可能

AsnおよびGlyが含まれるペプチドの脱アミド化(T-16)により保持時間がシフトし、3つの固有のクロマトグラフィピークに分離する

修飾の代用としてペプチド混合物をウシ血清ヘモグロビンにスパイクし、ペプチド分離テクノロジーカラムで分離しました。代用ペプチドの濃度は、モルで表すと消化物濃度の0.2～2%でした。上のパネルは、2% (モル単位)でペプチド標準試薬がスパイクされたウシ血清ヘモグロビンのペプチドマッピングを表しています。ヘモグロビン消化物のカラムへの注入量は合計で200 pmolです。下のパネルは、代用ペプチドの溶出位置に注目しています。したがって、ここに示されるように、0.2%レベルまでの微量ペプチドを同定し、定量することができます。この感度における分離を達成するには、幅広い濃度域でピーク形状を維持する必要があります。