物理的パラメーターにより、実用的な分取専用システムの導入が可能になります。分取システム を準備する際には、自動化、ポンプ、検出器フローセル、インジェクター、チューブ、カラムお よびフラクションコレクターをすべて検討する必要があります。モジュラーシステムは、最大限 の柔軟性を実現しており、スループットのニーズの拡大に応じて適合するように設計されています。
多くの場合、自動化のレベルは使用者のワークフローや予算により決定されます。一般的に、 新規ラボや大学のラボでは求められるスループットが低いため、マニュアルまたは半自動化の システムが好まれますが、大規模な製薬企業やメーカーでは多くの場合、ハイスループットの 自動化システムが使用されます。
図28. 2545クオータナリーグラジエントモジュールなどの低圧混合ポンプと
2489UV/Vis検出器と汎用フラクションコレクターを備えた分取システム
図29. ハイスループットフラクションコレクターと質量検出器ACQUITY QDaを備えたAutoPurification™システム
ポンプ流量および溶媒組成が2液、3液、4液混合のシステムにおいてアイソクラティックモードとグラジエントモードの両方で制御するコンピュータが必要です。ソフトウェアでも検出器およびフラクションコレクターの出力が記録されます。ソフトウェアパッケージの組み合わせによっては、分析法開発シミュレーションやデータ解析で使用することもできます。
溶媒デリバリーシステム(ポンプ)はクロマトグラフィー分離の心臓部です。クロマトグラフィーで使用されるポンプは、溶媒の圧縮性にかかわらず、脈流がなく正確、精密かつ再現性のある流量を送液しなければなりません。分取用ポンプは、小スケール分取の0.5mL/minから大スケールの150mL/min以上にわたり目標流量に基づいて選択します。ポンプは、高圧用(バイナリー)でも低圧用(クオータナリー)でも溶媒を混合できます。
バイナリーグラジエントモジュールは、混合チャンバー内で合流する2種類の異なる溶媒を混合します。このチャンバーの下流にはダンパー、第2のミキサーおよびパージバルブが設置されています。得られる溶媒の組成は、2つのポンプにより送液される両溶媒により決定されます。高圧混合ポンプは移動相に溶解した気体の影響を受けにくく、一般的に溶媒の脱気は必要ありません。その結果、システム容量が大幅に低下し、分析スケールでも分取スケールでも精密かつ同等の性能を達成できるポンプとなります。
図30. ウォーターズのバイナリーグラジエントモジュール (BGM) は、分析流量にも分取流量にも対応できる高圧混合バイナリーグラジエントポンプです。
クオータナリーポンプは、最大4種類の溶媒でグラジエントを実施することができ、短時間開放されるバルブを使用します。これらのバルブにより、少量の異なる溶媒を低圧下において正しい割合で混合することが可能になります。この送液方法では、溶解した気体により、気泡が形成される可能性があり、この気泡が流路の下流において圧縮、注入、分離、および検出の問題を引き起こす可能性があります。したがって、移動相は必ず脱気しなければなりません。移動相の脱気は、インラインデガッサー、ヘリウムパージまたは手動真空脱気により行うことができます。クオータナリーポンプは、それぞれに固有の流量範囲にわたり溶媒を非常に正確かつ精密に送液することができます。
図31. ウォーターズのクオータナリーグラジエントモジュール (QGM) は、それぞれに固有の流量範囲にわたり分取流量に対応できる低圧混合クオータナリーグラジエントポンプです。
サンプル負荷量 |
カラム内径 |
ウォーターズポンプ |
最大流量 |
µg–mg |
3.9– 7.8 mm |
1525バイナリーHPLCポンプ* |
10 mL/min |
µg–10s mg |
3.9– 19 mm |
1525バイナリーHPLCポンプ* およびEFキット |
22.5 mL/min |
mg–10s mg |
3.9– 50 mm |
2535クオータナリーグラジエント |
50 mL/min |
m–g |
4.6– 50 mm |
2545 バイナリー グラジエントモジュール * |
150 mL/min |
m–g |
4.6– 50 mm |
2545クオータナリーグラジエント |
150 mL/min |
mg–10s g |
7.8– 75 mm |
2555クオータナリーグラジエント |
300 mL/min |
図32. ウォーターズの溶媒デリバリーシステム *高圧混合
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