情報伝達テクノロジー - トレーサビリティの実現

Empower 3 で制御している ACQUITY UPLC システムに eCord 搭載のカラムを接続することにより、これらの 3 つのテクノロジーは独自の方法で相互に情報を伝達できるようになります。

eCord は ACQUITY UPLC から得られた直近の注入に関する重要な情報を記録することができ、さらに固有のカラム ID も情報として保存できます。

この ID は製品番号とシリアル番号から成り、Empower 3 に伝達され、生データセットと関連付けられます。 結果データやレポートなどはすべて、この生データセットに基づいて作成されます。 このため、特定の分析に使用されたカラムを常に把握することが可能です。この情報は、各分析および複数のプロジェクト間でカラム寿命を通して追跡できます。

カラム寿命のモニタリングと適合性管理チャート

このレベルのデータインテグリティにより、特定の LC カラムのデータの蓄積と確認を簡単に行うことができます。 特定の分析のあらゆるピークパラメーターやシステム適合性結果をグラフ形式や数値レポートで確認することができ、エクスポートも可能です。 管理またはアラート限界を設定する機能があり、カラムの性能が低下しているかどうか、また UPLC システムがベストな状態で稼働しているかどうかをユーザーは簡単に判断できます。アラート限界に達した場合には、そのカラムによるシステムのその後の使用を防止するようにイベントがトリガーされるように設定することもできます。

eCord

eCord はカラムハードウェアに接続しているデータ記録媒体です。 カラムの製品番号とシリアル番号から成る固有のカラム ID と試験成績書 (CoA) が記録されています。eCord の回路基盤に記録装置も搭載されており、ACQUITY UPLC システムとの接続時に、直近の重要なシステムパラメーター、カラムパラメーター、注入回数が保存されます。 eCord に保存されているデータにはシステムコンソールからアクセスできます。この機能により、カラムの履歴全体をすばやく確認し、基本的なトラブルシューティングツールとして活用することが可能です。他の Empower でカラムを使用している場合は、Empower 3 によってこの情報が自動的にインポートされます。

ACQUITY UPLC システム

eCord リーダーユニットは ACQUITY UPLC システムの一部です。 eCord リーダーユニットによって、UPLC システムとカラムおよび Empower 3 などのクロマトグラフィーデータソフトウェアの間の情報伝達が可能になります。Empower 3 で UPLC を制御していない場合は、最高温度、圧力、注入回数などの直近のシステムデータおよびカラムデータは eCord に保存され、システムコンソールから常にアクセスできます。

Empower 3 クロマトグラフィーソフトウェア

Empower 3 ソフトウェアは ACQUITY UPLC システムをユーザーが 1 箇所で制御できるクロマトグラフィーデータシステムです。Empower 3 のデータシステムにはデータとメソッドの固有の関連付けを行うリレーショナルデータベースが組み込まれています。Empower 3 で生成されるレポートと結果はすべて、クロマトグラフィーの実行中に生成される生データセットに基づいています。

eCord 搭載カラムを接続すると、Empower 3 は eCord 搭載カラムに保存されている情報をすべて（データが記録された場所にかかわりなく）自動的に読み取ります。 また、各クロマトグラフィー分析の実行時に、固有のカラム ID と生データセットが関連付けられます。

この作業はバックグラウンドで行われるため、カラムの使用状況および性能に関する漏れのないデータセットの生成にユーザーによる操作は不要です。

データの追跡が容易に

カラムの使用状況データの自動モニタリングと追跡は、ラボで重要なデータインテグリティを確保するワークフローの基礎となり得ます。この機能は、カラム寿命、システムインテグリティモニタリング、プロセス開発などの組織内の管理プロセスに活用できます。ACQUITY UPLC、eCord、Empower 3 のテクノロジーの統合によってデータモニタリングプロセスがバックグラウンドで処理され、ユーザーによるあらゆる操作が不要となるため、ユーザーは分析に集中することができます。