高極性化合物の多くは高比率のアセトニトリルへの溶解が難しく、HILIC条件下でよく使用される初期組成(高比率のアセトニトリル:90-95%)の移動相と適合しないことがあります。特に分取精製においては、注入量が多くなるため溶解溶媒のピーク形状への影響が大きく見られます。
この問題解決のためにウォーターズでは2012年3月にXBridge Amide分取カラムを発売しました。非修飾のシリカやハイブリッドに比べて、アミド結合型固定相のHILICカラムでは極性化合物の保持が強くなることが多く、初期組成移動相のアセトニトリル比率を下げて、水比率を上げた溶解溶媒との適合性向上によるピーク形状の改善が考えられます。
高極性化合物をC18カラムで十分に保持するためには、100%水系または水リッチな移動相を使用する必要があります。このような移動相では従来のC18カラムで分析を行った場合、突然化合物が保持されなくなることがあります。これは水系移動相下でカラム圧が減少した際にC18の疎水性によりパーティクルの細孔から移動相が排除されてしまい、その結果化合物が保持されない状態で、この現象はDewettingと呼ばれます。Atlantis T3カラムでは官能基密度やエンドキャッピングなどを極性化合物分析のために最適化することで、極性化合物を十分に保持し、100%水系移動相でも安定した保持を実現します。
最新の高純度シリカを充てんしたSunFireシリカ分取カラムは、Optimum Bed Density(OBD)カラムデザインで優れたピーク形状、高負荷量だけでなく分析カラムとほぼ同等の理論段数、分析カラムからのシームレスなスケールアップを実現し、優れたカラム耐久性および安定性を示します。
負荷量の概算値 (mg)
内径(mm) | |||||
カラム長さ (mm) | 4.6 | 10 | 19 | 30 | 50 |
30 | - | 8 | 27 | - | - |
50 | 3 | 15 | 45 | 110 | 310 |
75 | - | - | - | 165 | - |
100 | 5 | 25 | 90 | 225 | 620 |
150 | 8 | 40 | 135 | 335 | 930 |
250 | 13 | 60 | 225 | 560 | 1550 |
妥当な流速 (mL/min) | 1.4 | 6.6 | 24 | 60 | 164 |
妥当な注入量 (μL) | 20 | 100 | 350 | 880 | 2450 |
*分取カラム選択のポイントついてより詳細を説明した企業内セミナーも用意しております。
適切なカラムを選択してきちんと計算を行っているのに上手くいかない場合、システムデュエルボリュームの違いによるグラジエントのかかりのずれが影響している可能性があります。その場合、イニシャルホールドを設定してシステムデュエルボリュームを補正する必要があります。
(例)
メソッド開発:
分取メソッド:
使用装置のシステムデュエルボリュームが分かれば、Prepカリキュレータで容易に計算できます。
Prepカリキュレーターはこちらから
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カラム寿命、負荷量両方の問題の改善としては、配管を通常配管からAt-Column Dilutionに変更するという方法があります。流路内やカラム内でのサンプルの析出を回避しできるためシステムの耐久性やカラムの寿命を向上し、さらに負荷量や分離度を改善します。 At-Column Dilutionの詳細はアプリケーションノートをご参照頂くか、企業内セミナー「分取メソッド開発ストラテジー」にてご紹介します。
*負荷量改善に対して、サンプルを分子型(塩基性化合物はアルカリ添加、酸性化合物は酸添加)にしてロードという方法もあります。Q6の回答をご参照下さい。
ウォーターズでは合成反応後のクリーンアップ用固相抽出カラムとしてPoraPakをご用意しております。 PoraPakは高流速でも背圧上昇が少ない硬質ポリマーベースの充てん剤です。
*グラジエント分析の移管方法やより短い分取カラムを使用した場合の最適化方法については企業内セミナーにてご紹介しています。
アイソクラティックでの強塩基アミトリプチリンのローディング比較(2.1×50mm):0.05-6μg負荷。 移動相:0.05%TFA in 39%アセトニトリル(カラムブランドGN)/ in 37%アセトニトリル(XSelect CSH) 注入量:1.5μL、流速:0.2mL/min、カラム温度:30℃、検出:260nm、装置:ACQUITY UPLC