健康維持のニーズが高まる中、食生活の改善や食品の機能性成分の活用により生活習慣病の予防が期待されています。一方で、従来このような機能性を表示することができる食品は、国が個別に許可した特定保健用食品と、国の規格基準に適合した栄養機能食品に限られており、一般食品(いわゆる健康食品)は機能性成分を表示することができませんでした。
そこで、消費者が機能性成分に関する正しい情報を得て自ら食品を選択することができるよう、平成27年4月に「機能性表示食品」制度が導入されました。現在「食品」は表1に示す分類とされており、科学的根拠に基づいた機能性を有する成分を含有する製品には、その成分名を表示することができるようになりました。
表1 食品の分類
食品 | 保険機能食品 (機能性の表示ができる) |
特定保健用食品(トクホ) |
栄養機能食品 | ||
機能性表示食品 | ||
一般食品(栄養補助食品など、機能性の表示はできない) |
これにより新しく開発される機能性食品だけでなく、既存の健康食品についても成分分析を行って機能性成分の含有を証明し表示することで、より付加価値の高い製品として販売することができます。
保健機能食品は、表1に示したとおり3種類に分類されます:
生理的機能や特定の保健機能を示す有効性など科学的根拠に関する審査を受け、消費者庁の許可を受けた食品で「特定の保健の効果」を表示することができます。
認可されている主な保健効果の表示内容と機能成分
表示内容 |
保健機能成分(関与成分) |
お腹の調子を整える | イソマルトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、ポリデキストロース、キシロオリゴ糖、グアーガム分解物、サイリウム種皮、ビール酵母由来の食物繊維、フラクトオリゴ糖、ポリデキストロース、ラクチュロース、寒天由来の食物繊維、小麦ふすま、大豆オリゴ糖、低分子化アルギン酸ナトリウム、難消化性デキストリン、乳果オリゴ糖、ビフィズス菌、乳酸菌等 |
血圧が高めの方に適する | カゼインドデカペプチド、かつお節オリゴペプチド、サーデンペプチド、ラクトトリペプチド、杜仲葉配糖体 |
コレステロールが高めの方に適する | キトサン、サイリウム種皮由来の食物繊維、リン脂質結合大豆ペプチド、植物スタノールエステル、植物ステロール、低分子化アルギン酸ナトリウム、大豆たんぱく質 |
血糖値が気になる方に適する | L-アラビノース、グァバ葉ポリフェノール、難消化性デキストリン、小麦アルブミン、豆鼓エキス |
ミネラルの吸収を助ける | CCM(クエン酸リンゴ酸カルシウム)、CPP(カゼインホスホペプチド)、フラクトオリゴ糖、ヘム鉄 |
食後の血中の中性脂肪を抑える | ジアシルグリセロール、グロビン蛋白分解物 |
虫歯の原因になりにくい | マルチトール、パラチノース、茶ポリフェノール、還元パラチノース、エリスリトール |
歯の健康維持に役立つ | カゼインホスホペプチド-非結晶リン酸カルシウム複合体、キシリトール、マルチトール、リン酸一水素カルシウム、フクロノリ抽出物(フノラン)、還元パラチノース、第二リン酸カルシウム |
体脂肪がつきにくい | ジアシルグリセロール、ジアシルグリセロール植物性ステロール(β-シトステロール) |
骨の健康が気になる方に適する | 大豆イソフラボン、乳塩基性タンパク質 |
国が定めた栄養成分の規格基準に1つでも適合していれば製造業者等の責任で「栄養機能食品」と表示し、栄養成分の機能を表示することができる食品で「栄養成分の機能」を表示することができます。
<ミネラル類>
名称 |
栄養機能表示 |
亜鉛 | 亜鉛は、味覚を正常に保つのに必要な栄養素 亜鉛は、皮膚や粘膜の健康維持を助ける栄養素 亜鉛は、たんぱく質・核酸の代謝に関与して、健康の維持に役立つ栄養素 |
カルシウム | カルシウムは、骨や歯の形成に必要な栄養素 |
鉄 | 鉄は、赤血球を作るのに必要な栄養素 |
銅 | 銅は、赤血球の形成を助ける栄養素 銅は、多くの体内酵素の正常な働きと骨の形成を助ける栄養素 |
マグネシウム | マグネシウムは、骨や歯の形成に必要な栄養素 マグネシウムは、多くの体内酵素の正常な働きとエネルギー産生を助けるとともに、血液循環を正常に保つのに必要な栄養素 |
<ビタミン類>
名称 |
栄養機能表示 |
ナイアシン | ナイアシンは、皮膚や粘膜の健康維持を助ける栄養素 |
パントテン酸 | パントテン酸は、皮膚や粘膜の健康維持を助ける栄養素 |
ビオチン | ビオチンは、皮膚や粘膜の健康維持を助ける栄養素 |
ビタミンA | ビタミンAは、夜間の視力の維持を助ける栄養素 ビタミンAは、皮膚や粘膜の健康維持を助ける栄養素 |
ビタミンB1 | ビタミンB1は、炭水化物からのエネルギー産生と皮膚や粘膜の健康維持を助ける栄養素 |
ビタミンB2 | ビタミンB2は、皮膚や粘膜の健康維持を助ける栄養素 |
ビタミンB6 | ビタミンB6は、たんぱく質からのエネルギーの産生と皮膚や粘膜の健康維持を助ける栄養素 |
ビタミンB12 | ビタミンB12は、赤血球の形成を助ける栄養素 |
ビタミンC | ビタミンCは、皮膚や粘膜の健康維持を助けるとともに、抗酸化作用を持つ栄養素 |
ビタミンD | ビタミンDは、腸管でのカルシウムの吸収を促進し、骨の形成を助ける栄養素 |
ビタミンE | ビタミンEは、抗酸化作用により、体内の脂質を酸化から守り、細胞の健康維持を助ける栄養素 |
葉酸 | 葉酸は、赤血球の形成を助ける栄養素 葉酸は、胎児の正常な発育に寄与する栄養素 |
ビタミンAの前駆体であるβ-カロテンについては、ビタミンAと同様の栄養機能表示が認められている
安全性の根拠を明確化、生産・製造および品質の管理体制の整備、健康被害の情報収集体制の整備、機能性表示の根拠の明確化ほかのガイドラインに基づく情報を消費者庁に届け出ることで、事業者の責任において、科学的根拠に基づいた機能性を表示することができます。届け出の際は、機能性関与成分の定量試験結果の提出が求められており、特別な理由がない限り利害関係のない第三者が行うこととされています。一方届け出後の分析は、機能性関与成分および安全性を担保する必要がある成分について事前に届け出た頻度で行い、規格を満たしていることをモニターします。
出典引用:消費者庁ウェブサイト
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