貝毒

 

貝毒は渦鞭毛藻により生産され、これらを捕食する二枚貝を毒化させます。ヒトが毒化した二枚貝を摂取すると麻痺や下痢などの中毒症状を誘発するため、国内では出荷前に都道府県や生産者が貝毒検査を行い規制値以下の貝だけを出荷するリスク管理体制がとられています。

貝が有毒かどうかの判定は、従来マウス毒性試験により行われていました。しかし、動物愛護の観点、毒成分組成を明確にできない点、さらに検査に時間を要することもあり、EUをはじめとして国際的にはマウスを使用しない貝毒試験法の導入が進んでいます。ここでは機器分析法の導入が進む、下痢性・脂溶性貝毒に関する法規制と貝毒の分析法についてご紹介します。

 

国内の法規制と貝毒分析法

国際的な動向が考慮され、国内でも2015年3月6日に下痢性貝毒(オカダ酸群)については可食部当たり0.16 mgOA当量/kgの基準値の設定と機器分析による検査法の導入が、厚生労働省より通知されました。 現状ではオカダ酸群の認証標準品の供給が不安定なため、当面公定法として採用されてきたマウス毒性試験を行うこともできますが、貝の可食部に含まれる貝毒量が1グラム当たり0.05 MUを超える場合は、機器分析法によってオカダ酸群の定量を行い、基準値を超える違反がないかを確認することが求められています。 ウォーターズでは、下痢性貝毒の分析のための固相前処理精製を含むソリューションを揃えており、LC/MS/MS法へのスムーズな移行を支援しています。

下痢性貝毒LC/MS分析のための前処理手法

 

国外の法規制と貝毒分析法(EU)

世界的にはCODEX基準が貝毒の群別に設定されており、EUでは下痢性・脂溶性貝毒については2011年7月から公定法にLC/MS/MS法が採用されマウス毒性試験法と併用されてきましたが、2015年には完全にLC/MS/MSによる機器分析法に移行しました。

 

EUのSOPで対象としているのは、下痢性・脂溶性貝毒にアザスピロ酸群を加えた4群です。アザスピロ酸群については、Codex、米国およびEUでいずれも0.16 mg AZA1当量/kgの基準値が設定されています。 ウォーターズでは、EUのSOPに記載されている酸性および塩基性の移動相条件を用いて、UPLCカラムによる迅速なLC/MS/MS一斉分析法を開発、ご提案しています。

UPLC-MS/MSを用いた下痢性・脂溶性貝毒、アザスピロ酸群、ドウモイ酸の一斉分析

 

 

 

ウォーターズのシステムソリューション

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