• アプリケーションノート

Andrew+ ピペッティングロボットおよび Xevo TQ-S micro を使用した血清中のメチルマロン酸の自動前処理および LC-MS/MS 分析

Andrew+ ピペッティングロボットおよび Xevo TQ-S micro を使用した血清中のメチルマロン酸の自動前処理および LC-MS/MS 分析

  • Danielle Cullen
  • Sarah Dunne
  • Waters Corporation

研究目的のみに使用してください。診断用には使用できません。

要約

本研究では、除タンパクおよびリン脂質除去に Ostro Plate を用いた、Andrew+ による血清からの MMA の自動抽出について説明します。MMA 用 Andrew+ プロトコルの開発においては、ハイスループットサンプル前処理を採用できる既存の MMA ワークフローと LC-MS 分析法を活用しました。MMA サンプルの前処理に Andrew+ を使用することで、分析時間を短縮しつつ柔軟で再現性のあるサンプル前処理が可能になります。

サンプルの定量は、ACQUITY UPLC CSH C18、1.7 μm カラム(製品番号: 186005297)を装着した ACQUITY UPLC I-Class システムで行い、検出は Waters Xevo TQ-S micro タンデム四重極型質量分析計で行いました。実証された LC-MS/MS 分析法を Andrew+ と併用することで、正確で頑健な分析物の定量が容易に行えます。

アプリケーションのメリット

  • サンプルを自動化して、熟練した科学者の貴重な時間を有効に活用
  • 分析法の移管の自動化
  • データ品質の向上およびミスの低減
  • 96 ウェルフォーマットによってさらにハイスループットを実現
  • 手動前処理と同等の結果

はじめに

メチルマロン酸(MMA)の分析によって、ビタミン B-12 の血清中濃度の状態を判定することができます。不十分な条件下でも、ビタミン B-12 の血清中濃度が正常または高くなる可能性があるため、MMA はビタミン B12 よりも望ましい指標となります1。 このバイオマーカーの研究において LC-MS/MS 分析を使用することは、ハイスループットで理想的です。血清サンプルの分析をさらに容易にするために、以前に簡素化した MMA ワークフローが Andrew+ で自動化されています2。 ウォーターズのメチルマロン酸分析法では、簡素化されたハイスループットフォーマットでよりクリアで再現性のある抽出を可能にするため、Ostro 除タンパクおよびリン脂質除去 96 ウェルプレート(製品番号: 186005518)を利用しています。 

自動化のための分析法の開発は、単純なワークフローを用いている場合でも、困難な作業と見なされます。Andrew+ MMA プロトコルは、使いやすいクラウドネイティブ OneLab ソフトウェアで作成されており、役に立つヒントやドラッグ & ドロップ機能によるガイドが搭載されています。MMA プロトコルには、現行のマニュアルの前処理ステップが記載されています。このステップには、Vacuum+ デバイスでのサンプルクリーンアップの前の、Astro プレート内での試薬の移送と完全な混合が含まれています。プロトコルには、デッキからの蒸発乾固のステップを行うユーザープロンプトが表示され、プレートの準備が完了した後、ユーザーは最終的なピペッティングステップのプロトコルを続行することができます。プロトコルの組み立ては簡単なので、ユーザーは正確なピペッティングや完全な混合に必要なリキッドハンドリングなどのパラメーターに集中することができます。これらのパラメーターの適切な調整は、サンプル前処理の正確度と精度を確保するために重要になる可能性があります。OneLab では、リキッドハンドリングパラメーターの調整が簡単で、ユーザーは手作業でのピペッティングの複雑さを把握することができます。自動前処理の調整の一例として、ボルテックスの代わりにピペット混合を使用する場合が挙げられます。混合速度を最適化することにより、サンプルが完全に混合され、精度と回収率の結果が改善しました。

自動化は、ハイスループットのサンプル前処理で生じるボトルネックを取り除くことができます。LC-MS/MS 分析と組み合わせて使用することで、効率的で頑健かつ分析時間を節約できるソリューションが実現します。さらに、使いやすいソフトウェアと均一なデッキ設定により、特にラボ間で移管する場合に、分析法の作成とパフォーマンスの維持が容易になります。

実験方法

結果および考察

プロトコルを開発した際に、ピペットのリキッドハンドリングパラメーターを改良し、サンプルのスムーズで一貫した移送と、抽出前の Astro プレート内での完全な混合が保証されました。蒸発乾固ステップのプロトコルにユーザープロンプトが追加され、デッキから離れて約 50 分間で完了しました。追加の推奨点として、この時点でプロトコルを 2 つの部分に分割し、必要に応じてその間 Andrew+ を使用できるようにすることができます。このプロトコルのデッキ構成を図 1 に示します。

図 1. Andrew+ での MMA のデッキ構成– ドミノ:1 および 2:チップ挿入システム。3、4 および 8:ディープウェルマイクロプレート。5 - :Microelution プレート Vacuum+。7:マイクロチューブ。

Andrew+ により、Recipe MMA 品質管理レベル 1 および品質管理レベル 2 の 8 アリコートのセットを、2 mL コレクションプレート(製品番号:186002482)の最初の 2 列にそれぞれ移しました。比較のため、同じ前処理手順を手動で実施しました。Andrew+ の各レベルでの 8 回のサンプル前処理の面積カウントを、手動前処理の場合と比較しました。Andrew+ では、手動前処理と比較して精度が向上していることが示されました。8 回の前処理での QC レベルは、自動の場合は 3.5% 以下、手動前処理の場合は 5.2% 以下でした(図 2 を参照)。

図 2. 手動前処理および Andrew+ 自動前処理で得られた品質管理の精度

面積の回収率も、Andrew+ と手作業による回収率を比較して計算しました。手動前処理と自動前処理の違いは、いずれの QC レベルでも 4% 未満で、Andrew+ が手作業に匹敵することを示しています。

UPLC-MS/MS による MMA および使用した材料の詳細については、Waters アプリケーションノート 720006806 を参照してください。

結論

MMA 用の自動サンプル前処理法を、Andrew+ を使用して適切に開発することができました。様々な濃度範囲にわたる QC サンプルの分析では、優れた精度と回収率を示しており、手動前処理の場合と一致していました。

参考文献

  1. Vashi, P.; Edwin, P.; Popiel, B.; Lammersfeld, C.; Gupta, D. (2016) Methylmalonic Acid and Homocysteine as Indicators of Vitamin B-12 Deficiency in Cancer.PLoS ONE 11(1): e0147843.doi:10.1371/journal.pone.0147843
  2. Foley, D.; Van Hulle, M.; Brown, H. A.; Calton, L. J. Analysis of Methylmalonic Acid in Serum Using the Xevo TQ-S micro for Clinical Research.Waters Application Note, 720006806, 2020.

720007187JA、2021 年 3 月

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