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Andrew+ ピペッティングロボットによる自動サンプル前処理を用いたニトロソアミン不純物の LC-MS 定量性能の実証

Andrew+ ピペッティングロボットによる自動サンプル前処理を用いたニトロソアミン不純物の LC-MS 定量性能の実証

  • Mary Trudeau
  • Nigel Skinner
  • Waters Corporation



Andrew+ ピペッティングロボットについてもっと詳しく知りたいですか?

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要約

LC-MS 分析法の開発には、正確で堅牢な分析種定量のための柔軟で再現性のあるサンプル前処理が必要です。本研究では、ACQUITY UPLC I-Class PLUS システムおよび Xevo TQ-XS 質量分析計を使用し、正確で再現性のあるニトロソアミン不純物の LC-MS 定量のための、クラウドネイティブの OneLab ソフトウェアを搭載した Andrew+ ピペッティングロボットを用いた自動検量線生成について説明します。

アプリケーションのメリット

  • 正確で、高精度で、堅牢な分析定量性能
  • 使いやすさと時間の節約
  • 効率の向上とフェイルの低減によるコスト削減
  • ピペッティングの繰り返しの低減
  • 分析法の移管の自動化

はじめに

多くの場合、サンプル前処理は、ラボラトリーアナリストにとって最も時間のかかる、しかし極めて重要なステップです。サンプル前処理ステップでミスが発生すると、分析全体を通じてその影響でパフォーマンスのばらつきが大きくなり、極端な場合は分析が失敗となってしまいます。さらに、これらの分析法の開発、最適化、実行には時間がかかり、科学者間およびラボ間の移管が困難な場合があります1。     

キャリブレーション標準試料および品質管理(QC)試料の作成は、すべての定量分析の要件です。これらのサンプルは、濃縮液から分析種を連続(または段階)希釈するという基本的な手法を用いて作成します2。 このようなサンプル前処理は、分析法の信頼性の高い性能を確保するために一貫した前処理が必要であり、通常困難ではないが、繰り返しに多く時間がかかります。このことから、このタスクにラボの自動化を取り入れることは理想的です。これにより、アナリストは、他のタスクに従事し、サンプル前処理プロセスを効率化し、人為的ミスを減らし、一貫した分析法性能を確保することができます。

このアプリケーションブリーフの目的は、Andrew+ ピペッティングロボットを使用する N-ニトロソアミン不純物の LC-MS 定量用の自動サンプル前処理プロセスを開発し、その性能を実証することでした。N-ニトロソアミン不純物の発癌性およびさまざまな商品および医薬品での発現率のため、医薬品の開発および製造の実施中およびその後のルーチン定量において、堅牢で信頼性の高いサンプル前処理および分析が必要です。

結果および考察

キャリブレーションサンプル前処理プロトコルは、アプリケーションノート(製品番号:720006899EN)に記載しているサンプル前処理法に基づいて、Andrew+ ピペッティングロボット用に作成されました。簡単に説明すると、6 種のニトロソアミン不純物(NDMA、NDEA、NEIPA、NDIPA、NDBA、NMBA)が含まれている 3 つの検量線試料を調製しました。これらは、1 µg/mL の濃縮原液から、96 ウェルサンプルコレクションプレート(製品番号:186005837)で水/メタノール溶液(80/20)中に調製しました。試薬調製のプロトコルおよび検量線のプロトコルは、Andrew+ ピペッティングロボットの設計および実行のプロトコルに使用するクラウドネイティブソフトウェアである OneLab で生成されました。この開発されたプロトコルによって、0.025 ~ 100 ng/mL の範囲の検量線前処理のすべてのステップが実行されるだけでなく、調製中に使用する消耗品および試薬に関するすべての情報も提供されます。図 1 に、この分析で使用する OneLab での連続希釈/検量線生成(0.025 ~ 100 ng/mL)が強調されています。ニトロソアミン検量線生成後、分析プレートをシリコーン/PTFE 96 ウェルキャップマット(製品番号:186006332)でシールしました。調製したサンプルの LC-MS/MS 分析は、Waters Xevo TQ-XS タンデム質量分析計と ACQUITY UPLC I-Class PLUS システムを組み合わせて使用し、MassLynx ソフトウェアのコントロール下で行いました。LC-MS 分析法の完全な詳細は、アプリケーションノート(製品番号:720006899EN)にも記載されています。

図 1. 連続サンプル希釈および検量線作成用の Andrew+ ピペッティングロボットのデッキレイアウト

低分子分析法開発ガイダンス3,4 に従って開発した分析法は、直線性(相関係数 (R2) 0.98以上)、正確度(±15%)および精度(±15%)を実証できる必要があります。これらの基準は、Andrew+ ピペッティングロボットで行った OneLab サンプル調製法およびとそれに続く LC-MS 分析で、6 つの N- ニトロソアミン不純物すべてについて容易に達成されました。平均(N = 3)キャリブレーション性能が表 1 に示されています。6 種類の N- ニトロソアミン不純物すべてについて、リニアダイナミックレンジは 0.025 ~ 50 ng/mL で、単純な 1/x 重み付けを用いた線形回帰は 0.999 以上でした。さらに、平均正確度値は 90.7 ~ 108.0% の範囲で、RSD は 0.2% ~ 14.0% であり、高度に正確で再現性の高い方法であることが示されています。図 2 に、ニトロソアミン不純物 6 種のうち 3 種の代表的な検量線が示されています。 

表 1. 連続サンプル希釈および検量線作成に Andrew+ ピペッティングロボットを使用したニトロソアミン不純物純標準試料の LC-MS 定量性能
図 2. 連続サンプル希釈および検量線作成に Andrew+ ピペッティングロボットを使用した、代表的なニトロソアミン不純物標準試料検量線(NDMA、NDEA、NDBA)

OneLab で作成し、Andrew+ ピペッティングロボットで実行したこの開発された自動メソッドにより、単純な連続希釈を行い、アナリストによる手動介入なしで、ニトロソアミン不純物分析用の検量線を作成できました。この広範に適用可能なメソッドは、単独で使用することも、堅牢な LC-MS 定量分析のためのより複雑なサンプルワークフローの一部として使用することもできます。さらに、OneLab メソッドは、トレース可能で、簡単に移管できるため、メソッドの再現性性能(日間、ユーザー間、システム間、およびラボ間)が保証されます。 

参考文献

  1. Christler, Anna & Felföldi, Edit & Mosor, Magdalena & Sauer, Dominik & Walch, N. & Dürauer, Astrid & Jungbauer, Alois.(2020).Semi-Automation of Process Analytics Reduces Operator Effect.Bioprocess and Biosystems Engineering.43.10.1007/s00449-019-02254-y.
  2. Accurate and Consistent Serial Dilutions Made Easy with Andrew.Retrieved (22Feb2021) from https://www.andrewalliance.com/wp-content/uploads/2016/10/5_Serial_Dilutions_HD_20161005.pdf
  3. Viswanathan, C. T.; Bansal, S.; Booth, B.; DeStefano, A. J.; Rose, M. J.; Sailstad, J.; Shah, V. P.; Skelly, J. P.; Swann, P. G.; Weiner, R. Quantitative Bioanalytical Methods Validation and Implementation: Best Practices for Chromatographic and Ligand Binding Assays.Pharm.Res.2007, 24, 1962–1973.
  4. Bansal, S.; DeStefano, A. Key Elements of Bioanalytical Method Validation for Small Molecules.AAPS J. 2007, 9, E109–114.

720007134JA、2021 年 1 月

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