研究目的のみに使用してください。診断用には使用できません。
ACQUITY RDa 検出器を、ACQUITY UPLC I-Class PLUS、waters_connect ソフトウェアプラットホーム、UNIFI アプリケーションと組み合わせることにより、大規模コホート試験での脂質の検出と確認が容易になります。ACQUITY RDa 検出器の質量精度、安定性、再現性、およびインテリジェントなライブラリースクリーニングにより、ルーチン操作が簡素化され、結果が明確に表示され、初心者でも操作できるようになり、迅速な意思決定と脂質の確認が容易になります。
ACQUITY RDa 検出器を用いた、体液中のターゲット脂質の頑健で再現性のある分析を実証します。
疫学、バイオバンク、トランスレーショナルメディシンなどの大規模な集団研究を対象とした「オミックス」解析が、ハイスループットの遺伝子配列解析やメタボロミクスなどの手法の出現にともなって、近年増加しています1,2。 これらのサンプルセットのサイズは数百から数千に及ぶことがあり、疾患進行、公衆衛生、年齢、性別、環境、食事の効果などの多様な領域の理解の助けとなるように、ハイスループットで再現性のあるデータが必要です3。 最近では、リピドミクスが、がんや糖尿病などの疾患を理解する上で非常に有望であり、これらの大規模研究で最前線のオミックスツールとして採用されています4,5。
生物学的に関心が持たれる脂質の検出、同定、分類は、多くの場合(特に複雑な異性体分析が必要な場合)、サンプルを完全に特性解析するために LC 分離、HRMS-MS/MS データ、統計分析が必要な、時間がかかる困難なプロセスです。疾患に対する可能性のあるバイオマーカーを仮定し、対象となる特定の脂質またはクラスに焦点を絞った分析を特定したら、それらに変更を加えてその生物医学的仮説の妥当性を試験することができます。大規模コホート研究から得られた血液サンプルおよび組織サンプルのリピドミクス分析には、これらの調査対象脂質を検出および確認するための頑健で迅速かつシンプルな LC-MS プラットホームが必要です。
ACQUITY RDa 検出器は、質量精度と頑健性、再現性、使いやすさを兼ね備えた高分解能飛行時間(ToF)型質量分析計です。ACQUITY RDa 検出器を ACQUITY UPLC と組み合わせることにより、リピドミクスサンプルの分析が簡素化されます。ここでは、大規模な生物学的データセットでの脂質の分析における、UNIFI アプリケーションを搭載したシステムの機能に、焦点を合わせます。
Avanti Lipidomics SPLASH 混合物を IPA で 1:50 に希釈し、ボルテックス混合してから注入しました。市販の Avanti Lipids SPLASH 混合物および NIST 血漿について LC-MS 分析を行いました。血漿の前処理は、氷冷 IPA で単純に除タンパク(IPA 600 μL と希釈 SPLASH 混合物 200 μL で希釈した 20 μL の血漿)してからボルテックス混合し、2 ~ 8 ℃ で 2 時間放置し、遠心分離して微粒子を除去することで行いました。追加のクリーンアップは行いませんでした。
LC-MS 分析は、ACQUITY RDa 検出器に接続した ACQUITY UPLC I-Class PLUS で実行しました。データ解析は、UNIFI アプリケーションを搭載した waters_connect ソフトウェアプラットホームを使用して行いました。
LC システム: |
ACQUITY UPLC I-Class PLUS |
カラム: |
ACQUITY UPLC CSH C18、1.7 μm(2.1×100 mm) |
カラム温度: |
55 ℃ |
サンプル温度: |
8 ℃ |
流速: |
0.4 mL/分 |
移動相 A: |
60:40 ACN:水、0.1% ギ酸、10 mM ギ酸アンモニウム |
移動相 B: |
90:10 IPA:ACN、0.1% ギ酸 |
注入量: |
1 μL |
MS システム: |
ACQUITY RDa 検出器 |
イオン化モード: |
ポジティブイオンエレクトロスプレー、ネガティブイオンエレクトロスプレー |
取り込み範囲: |
100~800 m/z |
キャピラリー電圧: |
3 kV |
ACQUITY RDa 検出器の設定は既定値であり、フラグメンテーションエネルギーはカスタム値 150 ~ 170 v に設定。
MS ソフトウェア: |
waters_connect |
インフォマティクス: |
waters_connect |
血清や血漿などの血液製剤中の脂質のクロマトグラフィー分析に用いられる最も一般的なモードは、逆相 LC または HILIC です。逆相 LC では、クロマトグラムの始めに極性の高い脂質が溶出し、終了時に極性が最も低い脂質が溶出します。一方、HILIC 分析では、脂質はクラスごとにカラムから溶出し、最も極性の低い脂質が最初に溶出します。逆相 LC によって提供される追加のクロマトグラフィー分離により、これは体液中の脂質のプロファイリングに理想的なプラットホームになります。この試験では、分離時間がそれぞれ 12 分および 20 分の 2 種類の逆相メソッドを採用し、1 つ目は高速スクリーニングメソッド、2 つ目は特性解析のための高分解能 LC メソッドです。図 1 に示されているデータは、12 分のメソッドを使用して市販の NIST 血漿の注入で取得したプロファイルであり、上の LC-MS クロマトグラムはポジティブイオンモードで取り込まれており、下の BPI はネガティブイオンモードで取り込まれました。LPC、LPE、FFA の脂質は 0.75 ~ 1.7 分に溶出し、FFA はネガティブイオンモードでより大きいレスポンスを示しました。PI、PE、PG、PS、PC、Cer の脂質は 2.5 ~ 5.5 分に溶出し、ポジティブイオンモードでより強いレスポンスを示しました。SM および DG は 6.5 ~ 8 分に溶出し、ここでも DG がポジティブイオンモードでより大きいレスポンスを示しました。最後に、TAG および CE は最も脂溶性で、分析の最後に 8.5 ~ 9.5 分の間に溶出し、ポジティブイオンモードでのみ検出されました。
ACQUITY RDa 検出器付き UPLC-MS システムの再現性は、SPLASH 脂質混合物をスパイクした抽出 NIST 血漿の 400 回の繰り返し注入で判定しました。この試験は 20 分のメソッドで行い、連続分析時間の合計は 6 日間でした。図 2 に表示されているデータは、3 種の代表的な内因性脂質およびそれぞれの内部標準試料に対するシステムの再現性を示しており、1 つはグラジエントの最初に溶出するもの(LPC 16:0 tR 1.1 分)、1 つは中間に溶出するもの(PC 34:1 tR 5.8 分)、1 つは最後に溶出するもの(TAG 52:4 tR 15.4 分)です。 3 種の脂質および内部標準試料の保持時間再現性 RSD は、LPC、LPC IStd d7 LPC、PC、IStd d7 PC、TAG、IStd d7 TAG について、それぞれ 0.77%、0.81%、0.52%、0.56%、0.07%、0.09% でした。分析全体での 400 回の注入にわたって、LPC の保持時間は 0.1 分変化し、PC の保持時間は分析全体でわずか 0.15 分変化し、TAG の保持時間は分析全体で 0.1 分未満変化しました。400 回の注入分析にわたる MS シグナルレスポンスでのシグナル変動(RSD)は、LPC および IStd d7 LPC、PC、IStd d7 PC、TAG、IStd d7 TAG について、それぞれ 3.2%、4.1%、4.1%、4.7%、5.5%、9.8% でした。
ACQUITY RDa 検出器の質量精度を、Avanti SPLASH 混合試料を使用して、ポジティブイオンモードとネガティブイオンモードの両方で評価しました。 計 9 種の脂質をポジティブイオンモードで分析しました。これらの脂質は通常どおりに、[M+H]、[M+NH4]、および [M+Na] 分子種として観察されました。平均システム質量精度は ±2.4 mDa/±2.0 ppm と測定され、最大偏差は 1.9 mDa/4.8 ppm でした。ネガティブイオンモードでは、6 種の脂質を評価し、平均システム質量精度 ±1.2 mDa/±1.7 ppm および観察された最大偏差 -1.8 mDa/-2.7 ppm が実証されました。同定された脂質は通常どおり、M-H 分子種および M+COOH 分子種の両方でした。400 のサンプル分析バッチにわたる質量精度は、LPC で ±0.7 mDa(±1.5 ppm)、IStd d7 LPC で ±1.0 mDa(±1.9 ppm)、PC で ±6.0 mDa(±7.9 ppm)、IStd d7 PC で ±4.7 mDa(±6.2 ppm)、TAG で ±8.9 mDa(±10.2 ppm)、IStd d7 TAG で ±9.5 mDa(±11.3 ppm)と測定されました。図 3 のデータは、UNIFI を搭載した ACQUITY RDa 付き UPLC-MS システムを用いた 15:0、18:1 (d7) PC 脂質の分析例です。
これらの結果から、ACQUITY RDa 検出器により、非常に長い取り込み時間とサンプルセットサイズにわたって頑健で再現性のあるデータが、優れた保持時間再現性、一貫した質量精度、安定したレスポンスで提供されることが実証されます。そのためこれは、対象の脂質が以前に特性解析されている大きな脂質データセットのルーチン分析に最適です。
ターゲット脂質の検出と確認には、高度に再現性の高い MS 精度、MS レスポンス、クロマトグラフィー性能だけでなく、診断フラグメントイオン情報およびこれらのデータセットを解析するためのインフォマティクスが必要です。脂質のプリカーサーイオンおよびフラグメントイオンのデータは、MS イオン源に低コーン電圧および高コーン電圧を印加することで取り込みました。図 4 に示すデータは、高エネルギーコーン電圧ランプを使用して親脂質のフラグメンテーション情報が得られた、内因性脂質 LPC 16:0 のデータの例です。高コーン電圧スペクトルには、注釈がついており(青色のマーカー)、スペクトル内のどのイオンが理論上のフラグメントに対応するかが示されています。これは構造および質量精度の一致を含むフラグメントイオンの詳細の表示に拡張できます。取り込んだ LC-MS データは、UNIFI アプリケーションを使用して解析され、脂質の同定結果を確認しました。これは、脂質の保持時間、プリカーサーイオン、フラグメントイオンの情報を UNIFI ライブラリーと比較することで達成しました。市販の MS スペクトルライブラリーからカスタムライブラリーを作成しました。UNIFI アプリケーション内では、.mol ファイルをインポートしてライブラリーを生成することもできます。ここで、構造式および化学式が生成され、個々の分析法に固有の保持時間などの追加情報も入力できます。
この結果から、サンプル内に存在する脂質が同定されました。これには、脂質割り当ての同定基準として使用される質量精度、保持時間、検出器でのカウント、レスポンス、付加イオンなどの情報が使用されました。UNIFI スペクトルビュー機能により、個々の脂質フラグメントを同定し、.mol ファイルから生成され、理論的に導出されたフラグメンテーションデータと照合することができます。
ACQUITY UPLC I-Class PLUS および UNIFI アプリケーションを搭載した waters_connect ソフトウェアプラットホームと組み合わせた ACQUITY RDa 検出器により、保持時間と精密質量ライブラリーデータベースを使用して脂質を簡単にルーチン分析する頑健なシステムが提供されます。UNIFI アプリケーションにより、統合ライブラリー検索ツールを搭載した簡単にカスタマイズできるソリューションが提供され、分析および解析が簡素化され、迅速に追跡できます。これにより、レポート形式に簡単に変換できる明瞭な結果が生成され、迅速な意思決定が可能になります。ACQUITY RDa 検出器によって得られるデータは、優れた質量精度および対象範囲を示し、強力なソフトウェアプラットホームと相まって、研究ラボでのターゲット分析アプリケーションに最適です。
720007257JA、2021 年 5 月