• アプリケーションノート

最新の HPLC メソッドを用いた市販の栄養補助剤中のアミノ酸含量の分析

最新の HPLC メソッドを用いた市販の栄養補助剤中のアミノ酸含量の分析

  • Kimberly Martin
  • Paula Hong
  • Jennifer Simeone
  • Waters Corporation

要約

市販の栄養補助剤がますます一般的になるにつれて、これらの製品中のアミノ酸含量をモニターして、製品の安全性と有効性を確実に保つことが必要になっています。一方、これらの製品は国によってそれぞれ安全性要件が異なるさまざまな規制機関によって管理されています1,2。 栄養補助剤中のアミノ酸の医薬品特性は不明ですが、これらの栄養補助剤のラベル表示は正確であると想定されています。ラベル表示の正確さを検証するために、2 種類の天然栄養補助製品のサンプルを、最新の HPLC メソッドを使用して評価しました4

アプリケーションのメリット

  • 栄養補助食品サンプル中のアミノ酸を定量する機能
  • AccQ•Tag Ultra™ C18 2.5 µm カラムを使用することで、従来の HPLC メソッドと比較して分析時間が短縮し、より高いスループットおよび溶媒消費量の削減が実現

はじめに

プレカラム誘導体化メソッドを使用したアミノ酸分析は、定期的に幅広いアプリケーションで行われています。最近では、アミノ酸も広く販売され使用されているため、栄養補助食品の分析において、アミノ酸の分析もますます一般的になっています。栄養補助食品には、溶解特性が異なる多くの異なる形態があるため、さまざまな理由で分析が困難になる場合があります。最後に、香味料やその他の安定剤は、誘導体化される場合もあればされない場合もあり、そのことがアミノ酸分析に影響する場合があります。これらの栄養補助剤中のアミノ酸を定量する場合、プレカラム誘導体化メソッドが、多くの場合、定量に影響する可能性のある製剤中に存在する他の成分の干渉を最小限に抑えるのに有用です。この試験で使用したプレカラム誘導体化剤は 6-アミノキノリル-N-ヒドロキシスクシンイミジルカルバメート(AQC 試薬)です。反応は 80% 水系環境で行い、これによってサンプルマトリックス中の塩やその他の化合物からの干渉が最小限に抑えられます。

正確で信頼性の高い結果を得るには、栄養補助剤サンプル中のアミノ酸を定量するための優れた方法を持つことが重要です。本研究で紹介している方法を使用することで、粉末飲料混合液から錠剤まで、さまざまな栄養補助剤サンプル中のアミノ酸を確実に定量することができます。

実験方法

すべてのキャリブレーション標準試料は、Waters™ アミノ酸標準試料(製品番号:WAT088122)および Waters™ 細胞培地標準試料キット(製品番号:186009300)から、ノルバリン(製品番号:186009301)を内部標準、0.1 N HCl を希釈液として使用して調製しました3。 内部標準のストック溶液は、0.1 N HCl 中に濃度 2500 µM になるように調製しました。キャリブレーション試薬の最終濃度は、各栄養補助剤の含量の範囲に一致するように変え、ノルバリン(内部標準)は濃度 250 µM にしました。

アミノ酸栄養補助剤のサンプル前処理

購入したサンプルは、アミノ酸栄養補助錠剤(サンプル 1)1 点およびアミノ酸栄養補助粉末飲料混合液(サンプル 2)1 点でした。

サンプルは以下の手順に従って調製しました。

サンプル 1(アミノ酸栄養補助錠剤)は、乳鉢と乳棒を使用して破砕し、10 mL の 0.1 N HCl 水溶液で希釈しました。次に、サンプル 1 をシェーカーの上に置いて 30 分間振盪し、次いで 2000 rpm で 10 分間遠心分離しました。その後、上清をきれいな遠心分離チューブに移し、0.1 N HCl 水溶液で 1:10 希釈しました。

サンプル 2(粉末飲料混合液栄養補助剤)は、リストに記載されている 1 さじ分の重量を 1 回分の推奨量の液体に再溶解しました(0.1 N HCl 水溶液中 7.160 g)。サンプルを 30 分間攪拌し、続いて 2000 rpm で 10 分間遠心分離しました。次に、上清をきれいな遠心分離チューブに移し、0.1 N HCl 水溶液で 1:100 希釈しました。

次に、両方のサンプルを、Waters AccQ•Tag Ultra 誘導体化プロトコルを用いて誘導体化しました。

LC 条件

LC システム:

ACQUITY Arc™ システム、CH-A カラムヒーター搭載

検出:

ACQUITY Arc™ - 2489 UV 検出器、低拡散 10 mm UHPLC フローセル搭載(製品番号:176017007)

波長:

260 nm

サンプリングレート:

10 Hz

バイアル:

LCGC 品質保証透明ガラス 12 × 32 mm スクリューネックバイアル、トータルリカバリー、キャップおよび PTFE/シリコンセプタム付き(スリットなし)(製品番号 186000384C)

カラム:

AccQ•Tag™ Ultra C18、2.5 µm、4.6 × 150 mm(製品番号:186010407)

加水分解および細胞培地標準試料の場合のカラム温度:

43 ℃

サンプル温度:

20 ℃

注入量:

2 µL

流量:

1.5 mL/分

移動相 A:

AccQ•Tag™ Ultra 溶離液 A(製品番号:186003838)

移動相 B:

90:10(v/v)水:AccQ•Tag Ultra 溶離液 B

移動相 C:

Milli-Q 水

移動相 D:

AccQ•Tag™ Ultra 溶離液 B(製品番号:186003839)

サンプルマネージャ洗浄溶媒:

95:5(v/v)水:アセトニトリル

サンプルマネージャパージ溶媒:

95:5(v/v)水:アセトニトリル

グラジエントテーブル

データ管理

クロマトグラフィーデータシステム:

Empower 3、FR 3.6.1

結果および考察

複数の栄養補助剤を購入し、分析してアミノ酸含量を定量しました。6-アミノキノリル-N-ヒドロキシスクシンイミジルカルバメート(AQC)を使用してプレカラム誘導体化を行い、次に、UV または蛍光検出と組み合わせた HPLC または UHPLC システムを使用する逆相液体クロマトグラフィーを用いてサンプルを分析しました。結果を製品のラベル表示と比較しました。

食品および栄養補助剤中のアミノ酸分析は、製品の安全性および製品のラベル表示の正確さを確保するために重要です。細胞培地標準試料に含まれるアミノ酸の分離を図 1 に示します。

図 1.細胞培地標準試料のクロマトグラム。

アミノ酸栄養補助剤サンプルの結果

栄養補助錠剤(サンプル 1)の総アミノ酸含量は、5 錠あたり 5000 mg で、1 錠あたり 1000 mg と同等としました。アミノ酸含量は、1 錠の分析によって決定しました。サンプルあたりのアミノ酸含量は、注入 1 回あたりのアミノ酸重量に基づいて計算しました。重量は、合計して総値を求めているため、サンプルの希釈について調整しました。得られたアミノ酸含量の測定値は、1 錠あたり 1.008 mg で、ラベル表示との差は 1% 未満です(表 1)。

個別のアミノ酸の含量は、粉末飲料混合液(サンプル 2)について記載しています。重み付けしたサンプルサイズで報告されているアミノ酸ラベル表示は、粉末の重量と溶解に用いた水の量に基づいています。結果は、(合計希釈率に基づいて)サンプルのアミノ酸あたりの重量および総アミノ酸重量に変換しています。リストされているアミノ酸を同定し、得られた量とラベル表示の比較を表 2 に示します。

結果を、粉末状の飲料混合液栄養補助剤 1 点およびアミノ酸栄養補助剤錠 1 点を含む製品のラベル表示と比較しました。これらの結果により、多数の栄養補助剤中のアミノ酸含量を定量できることが実証されました。

図 2.アミノ酸栄養補助剤サンプル 1 および 2 のクロマトグラム。
表 1.サンプル 1 についてのアミノ酸栄養補助剤サンプルの定量結果とラベル表示(g)の比較。

サンプル中の干渉を最小限に抑え、正確な定量が行える Waters AccQ•Tag Ultra 誘導体化キットを使用して、すべてのサンプルを分析しました。サンプル 1 の 1 錠中のアミノ酸の総重量は、ラベル表示の 1% 以内であることがわかりました。

表 2.サンプル 2 についてのアミノ酸栄養補助剤サンプルの定量結果とラベル表示(g)の比較。

サンプル 2 のアミノ酸の総重量はラベル表示の 2.2% 以内で、個々のアミノ酸の含量はラベル表示の 4.5% 以内であることがわかりました。

結論

食品および栄養補助剤中のアミノ酸分析は、製品の安全性および製品のラベル表示の正確さを確保するために重要です。栄養補助食品の定量により、栄養補助剤サンプルのラベル表示に正しく一致していることが示され(アミノ酸含量で 4.5% 以内)、メソッドの正確さが実証されました。これらの結果により、多数の栄養補助剤中のアミノ酸含量を定量できることが実証されました。

参考文献

  1. Miro Smirga.International Regulations on Amino Acid Use in Foods and Supplement and Recommendations to Control Their Safety Based on Purity and Quality, Journal of Nutrition. 150:2602S-2605S. 2020.
  2. Ashley Roberts.The Safety and Regulatory Process for Amino Acids in Europe and the United States. Journal of Nutrition.146(Suppl):2635S-2642S, 2016.
  3. Amino Acid Standard Kits Care and Use Manual.Waters Care and Use Manual. 72000663EN.
  4. Kimberly Martin, Kenneth D. Berthelette, Paula Hong.Instrument Considerations for Reliable Amino Acid Analysis Using AccQ•Tag™ Ultra C18 2.5 µm Column.Waters Application Note. 720007678EN. 2022.
  5. Paula Hong, Donna Johnson, Donald A. Trinite, Bill Warren, and Ning Zhang.Comprehensive Guide to Hydrolysis and Analysis of Amino Acids.Waters Corporation.2019.

720008053JA、2023 年 9 月

トップに戻る トップに戻る