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Arc Premier™ システムを用いた風邪薬および咳止め薬の分析のための、分析のクオリティ・バイ・デザインに基づいた分析法開発

Arc Premier™ システムを用いた風邪薬および咳止め薬の分析のための、分析のクオリティ・バイ・デザインに基づいた分析法開発

  • Adam Bengtson
  • Fadi L. Alkhateeb
  • Paul D. Rainville
  • Waters Corporation

要約

医薬品有効成分化合物であるフェニレフリン、アセトアミノフェン、コハク酸ドキシラミン、グアイフェネシン、デキストロメトルファン、ジフェンヒドラミンの分離が、Arc™ Premier システムで質量分析計に適合する移動相および添加剤を使用して、分析時間 11 分間で達成できました。分析法開発は、ICH Q14 および USP <1220> のガイドラインに記載されている分析のクオリティ・バイ・デザイン(AQbD)の原則の複数の側面に沿って行いました。開発には Fusion QbD® ソフトウェア(S-Matrix Corporation)を使用しました。再現性のある最終的な分析法を、4 種類の咳止めシロップ製剤について、強い吸収を示すソルビン酸カリウム添加剤をさまざまな濃度でスパイクして正常に試験を行いました。

アプリケーションのメリット

  • フェニレフリン、アセトアミノフェン、コハク酸ドキシラミン、グアイフェネシン、デキストロメトルファン、ジフェンヒドラミンの分離する分析法の 1 つを、高吸収性のソルビン酸カリウム添加剤をスパイクしたサンプルを含む 4 種類の咳止めシロップ製剤について試験したところ、存在するすべての医薬品有効成分(API)について、ピークのスペクトルが均一であることがわかり、性能特性が維持されていた
  • Arc Premier システムと 2.7 μm CORTECS カラムを用いた迅速で信頼性が高く、再現性のある分析法
  • 質量分析計に適合する移動相により、ピークの同定および定量に質量検出器を使用できるようになる
  • Fusion QbD ソフトウェアの支援により、「ICH Q14 分析法開発」ガイドラインおよび「USP <1220> 分析法ライフサイクル」ガイドラインのいくつかの側面が分析法開発ワークフローに組み込まれている

はじめに

風邪やインフルエンザの症状を緩和することを目的とする咳止めシロップには、さまざまな剤形および製剤があります。これらの医薬品に含まれる API には、鼻詰まり薬、咳止め薬、去痰薬、鎮痛薬、解熱薬、抗ヒスタミン薬などがあります1。 これらの API は、圧搾錠剤、ゲルカプセル、シロップなどのさまざまな送達法で投与されます。製品の質を向上させるため、それぞれの送達法において添加剤が使用されています。シロップ製剤では、添加剤はシロップの甘味、粘度、風味、色、抗菌、緩衝性などの特性を調整するために使用されています。これらの製剤の独自の性質により、市場ではさまざまな API および添加剤がさまざまな濃度で使用されています。さまざまな製剤中に約 300 種類の食品添加剤の使用が許可されています2。 ある研究によると、60 種類の咳止めシロップ中に 100 種類を超える添加剤が含まれていることが明らかになっています3。 これらの添加剤は、問題のあるマトリックス効果や共溶出を引き起こすことがあり、そのために製剤の分析が困難になっています1

HPLC は、API および添加剤を高い感度および選択性で分離・定量できるため、咳止めシロップの分析に一般的に使用されています4。 現在、業界では別々のクロマトグラフィー分析法を使用して、医薬品製剤中の各 API を分析しています。このアプローチは、有効ではあるものの、非常に時間がかかり、大量の有害な有機溶媒の廃液が発生します。このような分析をより効率的にするための 1 つの解決策は、単一のクロマトグラフィー分析法を使用して、さまざまな医薬品製剤中の複数の API を分析することです。

AQbD は、分析法開発に向けての体系的アプローチであり、分析法のライフサイクル全体にわたって変動要因を特定および管理することによって、品質を確保することを目的としています。AQbD の原則は、USP や ICH などの規制機関が品質の保証と管理の必要性を強調している医薬品業界でますます重要になっています。AQbD では、統計ツール、実験計画法(DOE)、リスク評価、知識管理を使用して、分析法の頑健性、信頼性、一貫性を高めます。AQbD の原則を取り入れることで、分析者は、分析結果の全体的な質を向上させることができると同時に、分析法開発の時間とコストを削減できます。

ソフトウェアツールを使用して実験の設計と実行、データの分析、分析法の最適化においてユーザーを支援することにより、分析法開発に AQbD の原則を導入することができます。このソフトウェアは、所定の分析法における重要分析法パラメーター(CMP)および重要分析法特性(CMA)を特定するのに役立ちます。また、CMP と CMA 間の関係の判定にも役立ち、これによって分析法の質に影響する最も重要な要因を特定することができます。

今回示す研究では、咳止めシロップ製剤中の 6 種類の API を分離するための UHPLC 分析法を開発しました。この分析法を 4 種類の製剤について試験したところ、100% ソルビン酸カリウムをスパイクした場合において、各製剤に存在する API の分離とピーク純度を維持することができました。 

実験方法

サンプル前処理

標準溶液は、脱イオン水にフェニレフリン、アセトアミノフェン、コハク酸ドキシラミン、グアイフェネシン、デキストロメトルファン、ジフェンヒドラミンを溶解して濃度 1 µg/mL になるように調製しました。これら 6 種類の API の化学構造を図 1 に示します。製剤はオンライン薬局から購入したもので、その内容物を表 1 に記載します。分析用のサンプルを調製するため、製剤を脱イオン水で 1000 倍に希釈しました。製剤を脱イオン水で 1000 倍に希釈し、3 種類の濃度のソルビン酸カリウム(20%、50%、100%)をスパイクしてスパイクサンプルも調製しました。100% の場合、製剤中に含まれるソルビン酸カリウムの量の 2 倍です。

図 1.  分析した 6 種類の API の名前と構造 
表 1.  試験した製剤およびその内容物と既知の濃度

スクリーニング済み LC 条件:

カラム:

1. CORTECS Premier C18 2.7 µm、2.1 × 100 mm

2. CORTECS Premier C18+ 2.7 µm、2.1 × 100 mm

3. CORTECS Premier T3 2.7 µm、2.1 × 100 mm

4. CORTECS Premier Phenyl 2.7 µm、2.1 × 100 mm

カラム温度:

30 ~ 45 ℃

流速:

0.6 mL/分

移動相 A:

0.1% ギ酸含有脱イオン水

移動相 B:

0.1% ギ酸アセトニトリル溶液

グラジエント:

3 ~ 15 分で 3% ~ 70% アセトニトリル

最終 LC 条件:

LC システム:

Arc Premier システム

クオータナリーソルベントマネージャー

サンプルマネージャー FTN-R

補助ユニット付きカラムマネージャー

検出:

PDA 2998

ACQUITY QDa™ 質量検出器

バイアル:

2 mLTrueView

カラム:

CORTECS Premier T3 2.7 µm、2.1 × 100 mm

カラム温度:

45 ℃

サンプル温度:

20 ℃

注入量:

10 µL

流速:

0.6 mL/分

移動相 A:

0.1% ギ酸含有脱イオン水

移動相 B:

0.1% ギ酸アセトニトリル溶液

グラジエントテーブル:

注:QSM-r の[その他]設定でグラジエント開始が注入前 0.5 分になっている

データ管理

クロマトグラフィーソフトウェア:

Empower™ ソフトウェア 3.6.1

インフォマティクス:

Fusion QbD 9.9.1.b ビルド 334

結果および考察

この試験で導入した分析法開発ワークフローには、規制当局が USP <1220> および ICH Q14 で概説しているように、AQbD の原則に沿った複数のステップが含まれていました5,6。これらのステップには、Analytical Target Profile(分析法目標プロファイル、ATP)の決定、リスク評価、実験計画の作成、Method Operable Design Region(分析法の操作可能設計領域、MODR)の決定、最適化、検証が含まれていました。このワークフローを使用して、質の高い分析法が作成できました。

図 2.  導入した AQbD 分析法開発プロセスの視覚的表示

Analytical Target Profile(分析法目標プロファイル、ATP)

Analytical Target Profile(分析法目標プロファイル、ATP)は、分析法の開発における AQbD アプローチの重要な要素です。これには、分析法が意図した目的に適していることを確認するために満たす必要がある一連の特定の評価可能な特性が含まれます。ATP は、バイアス、精度、特異性、検出限界、定量限界、直線性、範囲、堅牢性、頑健性を含むがこれらに限定されない、重要な分析種特性および性能特性で構成されています。分析法の開発および最適化に関するガイダンスを取り入れることにより、ATP では、分析法が事前定義された基準を満たし、目的に適合する分析法が得られることが保証されます。

本試験では、ATP の目的は、許容できる検出・定量限界を達成しつつ、さまざまな風邪/咳止めシロップ製剤に含まれる添加剤から API を分離できる精密な分析法を開発することです。正確性および精度を実証するには、すべての分析種について、ピーク保持時間とピーク面積の相対標準偏差が 1% 未満であることが必要でした。分析法は、多量の添加剤ソルビン酸カリウムをスパイクした被験製剤においても性能が維持されることが必要でした。

試験は、適切なテクノロジーを選択することから始めました。以前の知見に基づき、さまざまな条件を自動的に探索できるように、このテクノロジーを、クオータナリーソルベントマネージャー(QSM)、カラムマネージャー(CM)、溶媒選択バルブを備えた Arc Premier システムに決めました。分析法開発とピーク同定を支援するため、QDa 質量検出器も採用しました。この試験では、特定の分析種は UV 吸光度が低く、質量検出器による定量が必要になる可能性があるため、質量分析に適合するように分析法を維持することが重要でした。このような分析法は、高圧と短い分析時間がメリットになる QA/QC の場面で使用することがあるため、CORTECS カラムのソリッドコアテクノロジーにメリットがあると判断されました。

リスク評価

試験のこの段階では、この分析法によって得られるデータの質、並びに目標を達成する能力に影響を及ぼす可能性のある高リスクパラメーターを徹底的に評価しました。この評価は、正しいクロマトグラフィー原理、予備知識、専門知識に基づいて行われます。

カラム固定相が化合物の分離に大きな影響を及ぼすことを考慮して、この試験ではこれを高リスクファクターと見なしました。そのため、幅広い選択性を確保し、すべての分析種が正常に分離される確率を最大にするために、4 種類の固定相ケミストリーを選択してスクリーニングしました。また、pH も分析法の性能に大きな影響を及ぼすと仮定しました。そこで広い pH 範囲で予備実験を実施した結果、ほとんどの分析種で低 pH が最適であることがわかりました。グラジエント時間とカラム温度は、そのばらつきによって製剤において共溶出が引き起こされる可能性があるため、これらはいずれも高リスクと見なしました。したがって、分析法開発プロセスの後のステップで、これら 2 つの要因を詳細に調査する必要があると判断しました。すべてのサンプルが水溶性であることを考えると、目的の分析種の抽出は容易で、強溶媒の影響を受けるリスクは低いため、サンプル前処理によってもたらされるリスクは標準試料と製剤のいずれにおいても低いと想定されました。製剤は室温保存が可能であるため、安定性は比較的に低リスク要因であると判明しました。すべての分析法と同様、検出は慎重に検討する必要があります。質量分析は、分析法開発におけるピーク同定に使用しましたが、一部の分析種の定量にも使用できます。これらの製剤に含まれる化学物質は、それらの化学的特性が大きく異なり、すべての分析種に最適な UV 波長はないため、標準的な 254 nm を使用しました。検出メソッドとパラメーターは、LOD と LOQ に影響しますが、保持時間には影響しません。ATP では低い検出限界ではなく分離に焦点を合わせていたため、これらの変数は、この分析法では低リスクと見なしました。すべての分析法パラメーターとそれぞれの影響が明らかになるように、図 3 にフィッシュボーンダイヤグラムを示しています。

図 3.  リスク評価に関する石川フィッシュボーンダイヤグラム。赤色のテキストは、高リスクの変数を示します。

実験計画

試験のこの段階において、リスク評価で特定された重要な分析法特性およびリスク要因に基づいて DOE を作成しました。その目的は、カラムケミストリー、グラジエント時間、温度がプロセスに及ぼす影響を十分に調査することでした。Fusion QbD で実験に用いるすべての変数と定数を選択した後、ソフトウェアにより、統計サンプリングを使用して、32 回の実行から成る実験計画が作成されました。必要なすべての装置メソッドと平衡化/コンディショニングステップは、Empower ソフトウェアプロジェクト内でソフトウェアによって自動的に作成されました。 

表 2.  Fusion QbD で設定されている重要な分析法特性、続いて作成されたモデルにて試験された範囲、および見つかった最良の回答

実験計画

次のステップでは、Empower CDS でデータを解析し、データを Fusion QbD ソフトウェアにインポートして、性能目標が満たされる Best Overall Answer(全体的に最適な回答、BOA)を見つけました。このスクリーニング段階で設定した性能目標は、分離度が 4 以上のピークの最大数および USP テーリング係数が 1.5 以下のピークの最大数でした。これらの目標は、スクリーニング実験のクロマトグラムの目視検査の後に設定しました。データを解析することで、モデル充足度 0.999 のシミュレーションが得られました。その結果、設定した性能基準を達成すると予測される条件の最適な組み合わせは、CORTECS Premier T3 カラム、温度 45 ℃、グラジエント時間 9 分であることが明らかになりました。図 4 に MODR を示します。ここで、白色の領域は、設定された性能特性を満たす分析法を表します。 

図 4.  グラジエント時間および温度に基づく、各カラムの Method Operable Design Region(分析法の操作可能設計領域)。最適化するパラメーターは、分離度が 4 より大きいピークの数、およびさまざまな化合物のさまざまな USP テーリングでした。

以前の知見とリスク評価段階で得られた情報を使用して Best Overall Answer(全体的に最適な回答)のさらなる最適化を行い、分析法の性能を向上させました。BOA の最適化は、Fusion QbD ソフトウェアを使用せずに達成できました。分析法のクロマトグラフィー特性を改善するために 3 つの変更を加えたところ、製剤がよりよく分離できました。グラジエントの最後の 1 分間にはピークが溶出していません。溶媒の廃棄量を減らし、分析時間を短縮させるために、分析法でのアセトニトリルの最大割合を 60% に下げ、グラジエント時間を 8 分に減らすことで、グラジエントの傾きをほぼ維持しました。最初に溶出するフェニレフリンのピークの溶出時間がボイド時間に近すぎるため、グラジエントの開始点を 1% アセトニトリルに下げました。 

検証

6 種類の API の最終的な分離を図 5 に示します。かなりのテーリングが見られたコハク酸ドキシラミンを除き、すべての分析種について分析法の性能目標が達成できました。理想的ではありませんが、このテーリングによって分析法の再現性が許容レベルを下回るまで低下することはありませんでした。再現性の結果を表 3 に示します。保持時間と面積の相対標準偏差により、分析法に再現性があることが示唆されます。これらの結果では、ATP で設定した目標が達成されました。

図 5.  6 種類の API を含む 1 µg/mL 標準試料の最終分析法のクロマトグラフィー結果。付属の表に、BOA から予想される USP テーリングと分析法の最終的な USP テーリングが記載されています。
表 3.  最終的な分析法で試験した 1 µg/mL 標準試料の再現性

分析法の検証と評価の一環として、USP <621> ガイドラインを使用して、6 種類の API の検出限界(LOD)と定量限界(LOQ)を評価しました7。 ブランクサンプルと最新の USP ガイドラインを使用して、ノイズを計算しました。波長 254 nm を計算に使用しました。すべての API に最適な単一の検出メソッドはないため、異なる波長または異なる検出器を使用することで、より低い LOD および LOQ が得られる可能性があります。LOD 濃度および LOQ 濃度は許容範囲内であることがわかりました。

表 4.  USP<621>ガイドラインに従い、シグナル対ノイズ比を使用して決定した LOD と LOQ

分析法の応用:医薬品製剤、添加剤のスパイクおよびピーク純度

試験のこの段階における目的は、咳止めシロップの医薬品製剤を分析することにより、開発した分析法の性能を評価することでした。さらに、サンプル中にさまざまな濃度で存在する 1 つの添加剤を正確に検出する能力を判定することによって、分析法の頑健性の評価を目指しました。ソルビン酸カリウムは、このような製剤で頻繁に使用されるため、これを対象の添加剤として特定しました8。 この抗菌性および抗真菌性の添加剤は、長期間使用すると毒性や発がん性を示す可能性があるため、厳密にモニターする必要があります9。 さらに、UV 吸光度が高いため、HPLC-UV 分析法の開発における有力な候補になります。

最終的な分析法は、4 種類の製剤すべてにおいて、4 つの濃度(スパイクなし、20%、50%、100% スパイク)のソルビン酸カリウムでそれぞれ試験しました。すべての濃度のすべての製剤で、許容できる分離度とクロマトグラフィー特性が達成されたことがわかりました。製剤 1 の各スパイクレベルで見られるクロマトグラムの例を図 6 に示します。図 7 に、すべての製剤でのソルビン酸カリウムの 100% スパイクを示します。クリティカルペアを含むすべての API の分離度は、すべての製剤において、ソルビン酸カリウムのどのスパイク濃度でも低下しませんでした。また、すべての API の保持時間、面積、テーリングが、どのスパイクレベルのどの製剤でも、有意に変化していませんでした。 

図 6.  ソルビン酸カリウムをさまざまな濃度でスパイクした単一の咳止めシロップ製剤の分離例:1000 倍希釈した製剤中に存在する元のソルビン酸カリウム(スパイクなし、20%、50%、および 100% スパイク)。ピークラベル:グアイフェネシン(GUA)、ソルビン酸カリウム(SOR)、メチルパラベン(MET)、デキストロメトルファン(DXM)。ラベル付けされたピークの USP 分離度(HH)が、それぞれの対応するクロマトグラムの右上に表示されています。 

ピーク純度の試験はどの分析法でも重要ですが、広範囲の添加剤を含む製剤を分析する場合、共溶出が原因で正確な結果が得られないため、特に重要です。これらの咳止めシロップには未知のピークが多数存在するため、共溶出を回避することが困難です。ピーク純度の試験は UV 分析を使用して行いました10。 API および添加剤であるソルビン酸カリウムとメチルパラベンについて試験しました。すべての純度アングルが純度しきい値を下回っており、スペクトルが均一であることが示され、ピークの純度が高いことが示唆されました。

図 7.  4 種類の製剤に 100% ソルビン酸カリウムをスパイクした場合のクロマトグラム。ピークラベル:アセトアミノフェン(ACE)、グアイフェネシン(GUA)、ソルビン酸カリウム(SOR)、メチルパラベン(MET)、デキストロメトルファン(DXM)、ジフェンヒドラミン(DPH)。

結論

フェニレフリン、アセトアミノフェン、コハク酸ドキシラミン、グアイフェネシン、デキストロメトルファン、ジフェンヒドラミンを分離するための単一の分析法が開発されました。これにより、コハク酸ドキシラミンを除くすべての分析種について望ましいクロマトグラフィー特性が得られました。コハク酸ドキシラミンのテーリングは望ましいレベルを超えていることが判明しましたが、分析法の再現性が許容レベルを下回るほど影響しませんでした。この分析法により、選択された一般的な咳止めシロップに含まれる添加剤からすべての API を分離することができました。PDA および Empower ソフトウェアの UV ピーク純度試験ツールで得られたデータを使用してピーク純度を試験しました。その結果から、被験サンプル中のすべての API のスペクトルが均一であることが示されました。分離度は、どのソルビン酸カリウムスパイク濃度のどの製剤においても影響を受けていませんでした。

様々な条件の自動探索を可能にするため、クオータナリーソルベントマネージャー(QSM)、カラムマネージャー(CM)、溶媒選択バルブを備えた Arc Premier システムを使用しました。信頼性の高い Arc Premier システムと CORTECS カラムにより、API 化合物の迅速な分離が可能になりました。これを実現するために、分析法開発とピーク同定を補助する QDa 質量検出器を使用できるように、質量分析計に適合性のある移動相を使用しました。

「USP <1220> 分析法のライフサイクル」および「ICH Q14 分析法開発」ガイドラインの公表により、AQbD の原則および分析法開発に対する強化されたアプローチのメリットが、より広く受け入れられるようになりました。Fusion QbD ソフトウェアは、実験の設計と実行、データの分析、分析法の最適化においてユーザーを支援します。このソフトウェアは、CMP と CMA 間の関係の判定に役立ち、これによって分析法の質に影響する最も重要な要因を特定することができます。これらのドキュメントで概説されている分析法開発ワークフローに AQbD の原則を取り入れることは、質の高い分析法の作成に役立ちました。

参考文献

  1. Özdemir A, Aksoy H, Dinç E, Băleanud D, Dermişc S. Determination Of Guaifenesin And Dextromethorphan In A Cough Syrup By Hplc With Fluorometric Detection.Revue Roumaine de Chimie.2006;51(2): 117–122.
  2. Dinç-Zor Ş, Dönmez ÖA, Aşçı B, Pingo E. Chemometric Optimization of an Hplc Method for the Simultaneous Analysis of a Multi Component Drug Product by the Help of Central Composite Design. Microchemical Journal.2020;152(152).
  3. Eccles R. What is the Role of Over 100 Excipients in Over the Counter (OTC) Cough Medicines? Lung Journal.2020;198: 727–734.
  4. Maziarz M, Rainville P. Robust and Rapid Method Development for Analysis of Active Pharmaceutical Ingredients in Multi-Component Cold and Flu Medication.Waters Application Note. 720006523.
  5. ICH Harmonized Guidelines, Analytical Procedure Development Q14, March 2022.
  6. USP General Chapter, USP-NF <1220> Analytical Procedure Life Cycle, The United States Pharmacopeia Convention, Official May 2022.
  7. USP Stage 4 Harmonization, USP-NF <621>Chromatography, The United States Pharmacopeia Convention, Official December 2022.
  8. Yuliana T, Gustin SSN, Alamsyah A, Budiman S, Hardian A, Yun YF, et al.HPLC Method for Simultaneous Determination of Dextromethorphan Hydrobromide, Chlorpheniramine Maleate and Potassium Sorbate in Cough Syrup.IOP Conference Series: Materials Science and Engineering.2021;1115(1).
  9. Grumbach E, Diehl D, Mazzeo J. Quantitation of Over the Counter Cold Medicine Formulations using UPLC Technology.Waters Application Note. 720002005. 2007.
  10. Maziarz M. Verifying Spectral Purity of a Chromatographic Peak Using Empower CDS Software.Waters Application Note. 720006582. 2019.

720007957JA、2023 年 7 月

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