臨床研究のための、新しい Xevo™ TQ Absolute IVD によるステロイドホルモンのパネルの UPLC™-MS/MS 分析における究極的な分析感度
研究目的のみに使用してください。診断用には使用できません。
要約
このアプリケーションブリーフでは、臨床研究のための、わずか 100 µL の血清を使用したステロイドホルモンのパネルの分析における Xevo TQ Absolute IVD 質量分析計の高い分析感度および定量性能を実証しています。
アプリケーションのメリット
- Xevo TQ Absolute IVD を用いた低濃度のステロイドホルモンの定量
- シンプルな SPE サンプル前処理メソッド
- UPLC 分離による同重体化合物の選択的な検出
はじめに
ステロイドホルモンは多くの生化学的プロセスで中心的な役割を果たしています。これには、代謝、炎症、免疫機能、塩分と水分のバランスの制御や、性徴の発現、病気や怪我に耐える能力が含まれます。ステロイド生合成経路の一環をなす酵素は、これらの代謝プロセスにおいて極めて重要であり、経路のステロイドホルモンによってその機能障害を調べることで、臨床研究に利用することができます。
免疫測定法によるこれらのステロイドの測定は、アッセイの抗体と構造的に関連性のあるステロイドホルモンおよび合成誘導体との交差反応性の結果として、分析干渉を受けやすくなります。液体クロマトグラフィー - タンデム質量分析(LC-MS/MS)により、これらのステロイドホルモンを、高い分析感度で、正確かつ精密に測定できます。
StepWave™ XS イオン輸送光学系および拡張ダイナミックレンジ(XDR)を搭載した Xevo TQ Absolute IVD 質量分析計を使用することで、6 桁以上のリニアダイナミックレンジが実現され、分析感度、頑健性、信頼性が向上します。これに MassTrak™ 内分泌ステロイドキャリブレーション試薬および品質管理セットを用いた簡単なサンプル前処理メソッドと組み合わせて、Oasis™ MAX µElution™ テクノロジーとステロイドホルモンの UPLC 分離を活用することで、臨床研究のための分析選択性および分析感度の高いステロイドホルモン分析法が可能になります。調査したステロイドホルモンは、アンドロステンジオン、17-ヒドロキシプロゲステロン(17-OHP)、デヒドロエピアンドロステロン(DHEA)、プロゲステロン、ジヒドロテストステロン(DHT)、テストステロンです。
実験方法
サンプル前処理および UPLC-MS/MS 分析
サンプル抽出は Hamilton STAR リキッドハンドリングロボットを用いて行いました。100 µL の MassTrak 内分泌ステロイドキャリブレーション試薬、QC、およびサンプルに内部標準試料を添加しました。メタノールと水を使用して、試薬を添加するたびに混合し、サンプルを沈殿させました。サンプルの遠心分離中に、Oasis MAX µElution プレート(製品番号:186001829)のコンディショニングと平衡化を行いました。前処理した各サンプルのアリコートを個々のウェルにロードし、プレートにゆっくりと引き出しました。潜在的なイオン性干渉を低減するために、ギ酸含有 15% アセトニトリル水溶液およびアンモニア含有 15% アセトニトリル水溶液を使用して連続洗浄を実施しました。分析種は 60% アセトニトリル水溶液に続いて、水を添加して溶出させました。
その後、水/メタノール/フッ化アンモニウムのグラジエントと Waters™ CORTECS™ UPLC C18 カラムを使用して、ACQUITY UPLC I-Class FL システムと Xevo TQ Absolute IVD 質量分析計にサンプルを注入しました。
すべての分析種の検出に用いられたマルチプルリアクションモニタリング(MRM)のトランジション、定量トランジションと定性トランジションが図 2 に示されています。
結果および考察
すべての同重体ステロイドホルモンについて、注入間の時間が約 7.0 分でクロマトグラフィー分離が達成されています。代表的な抽出イオンクロマトグラムが図 2 に示されています。
検量線は表 1 に示す検量線範囲にわたって直線であり、5 回の実験でのすべての分析種に対する相関係数は > 0.99 で、% バイアスは ±15% 未満(キャリブレーション試薬 1 の場合は ±20%)が示されました。検量線の一例が図 3 に示されています。
精度性能を評価するため、低、中、高の MassTrak 内分泌 QC セットを 5 回の繰り返し測定でそれぞれ 5 回抽出し、分析することによって評価しました。すべてのステロイドホルモンについて、すべての濃度レベルでの実験内精度および合計精度が 6.8% CV 以下でした(表 2 を参照)。
分析感度を評価するため、キャリブレーション試薬 2 の溶液を Golden West Biologicals MSG4000 ストリップ済み血清で希釈して、低濃度のプールサンプルを作成しました。次に、各サンプルから 10 回繰り返し抽出して、それぞれについて 4 回分析しました。%CV を計算して、表 3 に示しました。20% 以下の %CV は、アンドロステンジオンでは 20.8 pg/mL、17-OHP では 17.9 pg/mL、プロゲステロンでは 11.9 pg/mL、テストステロンでは 3.3 pg/mL で得られました。図 4 には、これらの濃度での各分析種の代表的なクロマトグラムも示されています。
結論
Xevo TQ Absolute IVD では、臨床研究用のステロイドホルモンパネルの分析において優れた分析感度および定量性能が実証され、以下の性能特性が示されています:
- すべての実験において、ステロイドホルモンについて、検量線の相関係数(r2)が 0.99 超となりました。
- 実験内精度および合計精度の結果は CV 6.8% 以下でした。
- わずか 100 µL の血清から、%CV が 20% 以下で 10:1 を超える S:N(ptp)を達成できる分析感度の濃度はアンドロステンジオンでは 20.8 pg/mL、17-OHP では 17.9 pg/mL、プロゲステロンでは 11.9 pg/mL、テストステロンでは 3.3 pg/mL となりました。
研究目的のみに使用してください。診断用には使用できません。
720007892JA、2023 年 3 月